表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

地震だ!

 こんにちは、ナコです! 今家からすごい臭いがしてて、妹の奈子二(なこつー)がお腹から血を流して倒れていました! まあ奈子二はいつもこうなのでいいのですが、問題はこの臭い! 奈子二の隣に見たことのない缶詰が置いてあるんです! シュールストレミングだそうです!


 とりあえずこんな臭いものが家にあってはいけないので、三村くんの部屋に中身だけぶちまけて来た。あいつは苦しんで死ぬべきだからだ。


 ところでみなさんは、好きな食べ物はありますか? 私はありません。でも私には取っておきの嫌いな食べ物があります。それはうどんでございます。うどんか土かって言われたら土を選ぶくらいのうどん嫌いです。うどんと髪だったらどっちがいいって? 髪は食べ物じゃないだろ!


 ということで今日はうどん屋さんに行こう。最近は安くて美味しいうどん屋さんが増えてきてて、とても嬉しい。


 近くのうどん屋さん『ミニカー』までは直線距離で1kmなので、歩いていこうと思う。もう5月だからなかなか暑いなぁ。そろそろ半袖用意しないと⋯⋯


 グラグラグラグラグラグラ


 ゾガゾガゾガゾガゾガゾガ


 地震だ。初めて経験するほどの大きさだ。間違いなく震度7だろう。地割れに飲まれそうで怖いので、私は足早にうどん屋に向かった。


 パッカーン


 ストン


 落ちてしまった。めちゃくちゃ気をつけていたのに地割れに飲まれてしまった。仕方がないのでこれからは私は地底人として生きていこう。しばらく地下を歩いていると、小さな街を見つけた。ここを乗っ取ってナコの街にしてやろうか。


「真希さん! こんなにホコリが!」


 あーやだやだ、地底にも姑っているんだね。


「どうなふうに掃除をしたらこんなにホコリが残るのかしらねぇ! ねぇ!?」


 あーうっせうっせうっせ。じゃあお前が掃除しろよ。


「掃除なんかしてねぇよ!」


 してないのかよ。嫁もなかなか血気盛んだな。でも、地底人って地上人とあまり変わらないんだね。ちょっと安心したよ。


 私はしばらく歩いた。なんだかんだ初めての地底は楽しい。こんな地下文明があったのも驚きだ。ドラえもんでしか見た事なかったから。


 おや、駅のホームにとんでもないレベルの美少女がいる。綺麗なドレスを身にまとい、ポン・デ・リングのような髪型をしている。そして、そのポン・デ・リングの玉ひとつひとつから毒針のようなものが生えている。後ろにスーツを着たゴリマッチョが2人立っている。美少女の護衛でもしているのだろうか。


 しばらく眺めていたら、ゴリマッチョ2人が美少女に襲いかかった。しまった! こいつら敵だったのか! 助けないと、間に合うか⋯⋯!?


 私の心配をよそに美少女は2人のゴリマッチョを軽々と持ち上げ、線路に投げ捨てた。


「おい、そこのあんた、助けてくれぇ! 轢かれちまう!」


 あわわわわ、助けないと⋯⋯! 電車来ちゃうもんね!


「あ、はい!」


 私は返事をして線路に近づいた。


「待ちなさい!」


 えっ。


「今の見てなかったの? 助けたら落とされるわよ」


 美少女が私を睨みつけて言った。


「助けてぇ! 電車来た!」


 バーン グチャグチャ


 ゴリマッチョ2人は電車に轢かれてしまった。見殺しにしてしまった⋯⋯


 そういえば、電車まで走ってるなんて本当に地上の文明そのままなのでは? ていうかこれって地下鉄? ならこの電車に乗れば帰れるんじゃない?


「あなた、強いわね。私と手を組みなさい」


 さっきの美少女が私に話しかけてきた。私の力を見抜いている。この女、ただものでは無いな。しかし、手を組むとはどういう事だろうか。


「どういう事だ、貴様は何と戦っているんだ」


 警戒しているのでちょっと堅い話し方をしてみた。


「この世界には魔王がいるの。その魔王を倒すために、私と手を組んでほしいの。私の名はウミマロ、よろしくね」


 変な名前だなぁ。よろしくって言われても、私はそんな危なそうなことしたくないよ。


「ごめんね、私には無理」


 そう言って私は電車に乗り込んだ。ゴリマッチョ2人を轢いた電車はそのまま走り出した。


 電車内でご飯を食べている高校生たちがいる。こいつらは群れてると自分が偉くなったと勘違いするのだ。


「お前たち、いったいどんな教育を受けてきたんだ!」


 正義感の強そうな男が言った。それに対し、金髪リーゼントで刺青だらけの明らかにリーダーらしき高校生が答えた。


「朝忙しくてご飯を食べる時間がなかったんです、本当にすみません」


「ん、」


 男は黙ってしまった。確かに、注意してこうやって謝られたらそれ以上何言えばいいのか分からなくなる。こういう場合ってどうすればいいのだろうか。


『次は〜右足公園〜右足公園〜』


 駅ですらないのか。夜の公園で髪の長い女が手招きをしていたので、私はここで降りることにした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  三村くんに何故、直接手をくださなかった?!  彼への評価は同意見です。  電車のなか、飲食禁止とうたってないうえに、駅弁売ってるくらいなら、こんでもないかぎり、食べていいのでは?  よく…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ