冒険の始まり
笑いと涙の冒険活劇!
俺は相原 尊
現在29歳 独身男性 彼女居ない歴29年。
趣味オンラインゲームのみ 仕事会社員
まぁ、ごく平凡な人生を送っている。
でもそれは、昨日までの話だが……
昨日俺は、死んでしまったからだ。
簡単な事さ、通勤途中電車が来たので駅の階段を
2段降りして間に合うと思ったら、足を滑らし
後頭部を強く打ったが、打ち所が悪く脳内出血
数時間後には、29歳の短い人生を終わらせた。
なんとも不甲斐ない結末。何も無い人生だった。
両親を悲しませるだけで、生まれて来たような
もので、あまりにも気の抜けた最後。
しかし……俺は全く違う世界で、転生した!
「いててててっ あれっココは何処だ?」
[システムオープン]
転生完了。名前を設定して下さい。
「あれ? 何処から聞こえた?システム?」
[システムオープン]
システムとは、この世界を運営しています。
まずこの世界での、名前を設定して下さい。
「そうか、俺はやっぱり死んだんだな。救急車
が来た所までは、何となく記憶があるが……
それでココに転生したと言う事なのね。」
[システムオープン]
ご推察と通りです。では名前を設定して下さい。
「名前を設定しないと、次に進まないのね。
じゃあ、タケル で頼むよ」
俺は、死も転生も直ぐに受け入れた。何故なら
前のクソ人生など、早く忘れたいからだ。
[システムオープン]
タケル……設定しました。
現在のステータスを表示します。
名前:タケル
レベル:999
クラス:破壊者SSS+
武器:無し
防具:布の服
スキル:破邪閃光 額、指先から出る閃光
全てを破壊せしめるレーザービーム
「あれ?間違いで無ければ、俺レベル999?
凄くね? 最初からこれじゃ完全チートだな
それに破壊者って何?」
[システムオープン]
クラス:破壊者とは、この世界の破壊者であり
創造者、最高レベルのクラスとなります。
「ほほう、破壊者であり創造者ってインドの
シヴァ神のようだな。世界を作り変える時は
必ず壊す神がいると聞く。其れが俺って事か」
俺は今いるこの世界を、探索する事にした。
何か地図でも無いかな?
[システムオープン]
オートマップを記録します。
「おっこれは、マップが考えるだけで頭に浮かぶ
便利だなぁ。するとココは大きな大陸の最北端
って事だな。よしでは下に行けば、街があるから
とにかく行ってみよう。」
俺はマップの通り、南下して トリキスと言う街
に行ってみる事にした。
30分くらい歩くと、森に入り更に進んだが、
突然魔物が襲って来た!
[システムオープン]
魔物:毒キノコ10匹 Lv10-11
スキル:レッドポイズン 毒を吐きかけ痺れさせる
「あぁ〜いきなりかよ! 」
[システムオープン]
オートバトルに設定しますか?
「しまーす!」
[システムオープン]
オートバトルにしました。
破邪閃光発動!額から夥しい閃光が放たれた!
10匹の毒キノコは、襲うまえにその閃光により
蒸発した!
「うわ〜凄げ〜強力な閃光攻撃! アイツら
何だか分からん内に、死んだんだろうなぁ」
[システムオープン]
回収:150リル
「まぁ最初出るのは雑魚キャラだよな
しかし、この閃光破壊力強すぎる。調整出来ん
のかね?」
[システムオープン]
破邪閃光は弱、中、強、特強と調整可能。
ただ今のは、自動で弱を発動。
「今ので弱かよ! 特強飛んでもない事になるな。
使い何処間違えると、街が無くなるレベルだよ」
とにかく先に進もう。
更に30分程進むと、左側に泉が見えて来た。
マップには、森の泉と記載されている。
何とベタな命名だ。
「助けて〜! 助けて〜!」
何か森の泉方面から、女の声が聞こえる!
大体こう言う場合は、罠が多い。
俺は、気を張って泉に近づいた。
すると、目にしたのは木の上に登った女と
下で蠢く人影が数体見えた。
更に近づくと、取り囲んでいるのは、ゴブリン
達だった。その数10体。
ゴブリン達は、皆目が血走り今にも襲わんと待ち
構えていた。
「助けて〜!助けて〜!」
こう言う場面は、男なら助かるわな。
「お〜い ゴブリン! こっちにもいるぞ!」
[システムオープン]
魔物:ゴブリン 10匹 Lv15-16
スキル:集団攻撃 通常の倍の攻撃効果
ゴブリン達は、振り向き俺に気づき 悍ましい顔で
襲って来た。
「グオオオオオオ〜」
するとオートバトルが発動。
ものの1秒で、10匹のゴブリン達は蒸発した。
[システムオープン]
回収:500リル、棍棒、スピア
「おっ武器が回収出来たなw スピア装備!」
[システムオープン]
スピアを装備しました。
スキル:百連突きを習得
「うぉ、スキルまで習得出来たよw 」
「すみませ〜ん」
「おっ そうだった。木の上に女がいたんだ
お〜い 大丈夫か?」
「はい、大丈夫何ですが、降りれませ〜ん」
上がるには上がったが、降りれないのかw
困った女だよ。木の上には、どうしたらいいか?
[システムオープン]
破邪閃光を指先から、極細にしてレーザー放射
してカッターに変更可能。
「おぉ〜そうか カッターにして木を切り木ごと
降ろすかな。」
俺は木の下に行き、指先を木に向け水平に移動
した。すると木はスッとカッターで切った様に
切れて倒れそうになったが、両手で支え持ち
ゆっくり倒した。女は地面に近くなると飛び降り
て、ペタンと尻もちをついた。
「おい、大丈夫か? 怪我はないか?」
「…はい大丈夫です。ありがとうございました」
「ゴブリンに追われていたのか?」
「はい、森で薬草取りをしていたら、見つかって
しまい追われて、無我夢中で木に登った所を
お助け頂きました。」
「そうか、何処まで帰るんだ?」
「はい、トリキスの街まで帰ります。」
「おぉ そりゃ都合がいい。俺もトリキスに用事
があるから、案内してくれないか? また一人では
襲われる事もあるやしれん。」
「あぁ〜ありがとうございます。本当に助かり
ます。帰りもどうしようかと思っていた所です。
どうぞご案内致します。」
「それから、俺はタケルだ。」
「申し遅れました。私はユアンと申します。」
俺とユアンは、トリキスに向かった。
1時間程歩いた所で、森を抜けトリキスが見えて
来た。
街に入ると、露天の店が多く立ち並び活気ある
街で、下を見ると歩いている道に、石が敷き詰め
られ、綺麗な石畳の道だった。
「じゃあ この辺で案内は良いよ。後はブラブラ
してみるから。」
「えぇ〜ダメです! お礼も出来ていませんので
是非 私の家に寄って下さい!」
「いや、そんな 良いよ 当然の事した だけだし」
「いえ、寄って頂きます!私の気持ちがこれでは
晴れませんので!後生ですからお寄り下さい!」
「あぁ〜分かった 分かった。じゃ飯でもご馳走
してくれないか? 腹ペコだ それでチャラだ。」
「はい! 喜んで! どうぞ、こちらです!」
俺は彼女の家に向かった。
家は、街の中心部から少し離れた所にあった。
「ココが私の家です。お入り下さい!」
「ここは、宿屋?」
「はい、私と母二人で宿屋を営んでおります。
お母さん! 戻ったよ!」
奥から母らしき女性が、出て来た。
「あんまり遅いから心配したよ!どうしたの?」
彼女は、今までの事を説明し俺の事も話した。
「本当に、娘を助けて頂きありがとうございまし
た。何とお礼を申し上げて良いのやら……」
母は、突然泣き出した。溢れる涙が頬をつたう。
「母は、父を亡くしてから私と二人で、この宿を
営んでおりますが、最近涙脆くなっております。
どうぞお気になさらないで下さい。」
「いや、俺も早くから兄を亡くしているから
気持ちは良く分かる。しかし、二人並ぶと本当に
兄弟の様だな。とても親子とは思えない。」
「えっ? そんなぁ お客様、お上手なぁ!」
母が照れながら、顔を手で隠した。
先程の涙は、無くなり満面の笑顔になった。
それを見た娘は
「タケルさんて、優しいんですね。母を一瞬で
笑顔にさせてくれた。力だけでなく心も強いお方
本当に尊敬致します。私決めました!タケルさん
のお嫁さんになります!」
それには、母も驚いたがすぐにとりなおして
「ユアン 貴方がこのお方を好きになるのは本当に
分かります! でも今日からは、貴方とは恋敵よ!
私も一目で、このお方に惚れてしまいました!」
「はぁ! いえいえ 二人とも、待って下さい。
まぁ まぁ落ち着いて話しましょう。」
それからは、二人で私が 私がと 俺の取り合いで
言い合っている……一体どうしたもんか。
「お母さんじゃ タケルさんに決めてもらいまし
ょうよ!」
「そうね、そうしましょ タケル様ぁ 如何です?
私と、娘のどちらをお好みです?」
「いや、私は確かに初めてお二人を前にして
綺麗な人達だなぁとは、思いましたがまだ結婚
は先の話です。どうですかまずは、この世界で
最初の友達と言う事で、これからもこの宿を好意
にして行くと言う事では?」
二人は顔を見合わせて、ニコっと笑い。
「はい、ではこらからもずっとこの宿をお使い
下さいませ。お代は頂きません。タケル様は
私達の英雄ですから。泊まって頂けるだけで
光栄と存じます。」
母からそう切り出され、俺は好意に甘える事にした。
「本当にありがとう! 英雄になれる様、俺も頑張
ってこの世界を旅するつもりだ。そして休む時は
いつもここに帰って来ますので、よろしくお願い
致します!」
二人は思わずタケルに抱きついた!
「はい、いつでも戻って来て下さい。ココが貴方様
の家だと思ってお使い下さい!」
俺は二人の背中を、両手で抱いて小さく頷いた。
「ありがとう!」
冒険に続く
通勤途中に思いつきで書いています。
まだまだ初心者ですので、暖かく見守って下さい