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オープニングについて

「巴先輩って、どんなオープニングがお好きですか?」

「オープニング? ドラマとか映画とかアニメとかの?」

「漫画や小説もーーまあ、物語であれば何でも。とにかく、巴先輩は好みのオープニングあります?」

「好みのオープニングねぇ……」

 そもそも自分の中でオープニングをタイプ分けしたことがなかったから、まずはそこからだな。

 何となくではあるけれど、オープニングには説明が多いものと少ないものとがあると思う。

 説明の多いものだと、舞台設定についての説明がナレーションや字幕などで為されているパターンがある。スターウォーズあたりが分かりやすい例じゃないだろうか。SFや歴史小説もそうかもしれない。

 一方、説明の少ないものだと、説明が為されないまま最初のワンシーンから物語が始まり展開していく。説明という事前情報がないから、準備なしに物語を追っていかなければならない。ただ、それ故にシーンの中から物語の情報を集めていかなければならないから、より物語に惹きつけられるという側面がある。

 ふむ。

「私は説明が少ないオープニングが好みかな」

「なるほどなるほど。ただ、この小説のオープニングって雑談の体を装いながらも、わたしたち二人の性格がよくわかるようになっていますよね。これも巴先輩の言う説明の多いオープニングですよね」

「なるほど、確かに」

 口には出してないけどな。

 勝手に地の文を読むな。

「では、この小説の説明の少ないパターンを、先輩に実演していただきましょう」

「え、嫌だよ」

「軽く断らないでくださいよ。いやいや、説明が少ないパターンという可能性を示したのは、巴先輩じゃあないですか」

「この小説でそのオープニングをやれば良いなんて一言も言ってないし、何よりもめんどくさい」

「勿論タダでやって欲しいとは言っていません。不肖尽くす後輩、椎菜ちゃんがお飲み物を用意させていただきます。沢山話すと喉が渇くでしょう」

「飲み物くらいで大学二年生が釣られると思うな」

「コンビニでよく300〜400円くらいの美味しいフルーツジュースが売っていますよね。アレをご用意しようと思っていたんですけど……」

「よーし」



『雑談に価値を見出すとすれば、どこにあるのか。

 コミュニケーション能力の高さであったり、会話の中身にウィットに富んだものがあったり、だとか。

 とりあえず思いついたものを挙げたけれど、そもそも『雑草』『雑魚』みたいに『雑』を冠した雑談に価値を見出すのは結構難しい。

 雑談に価値を見出すとすれば、なんていう前提自体がそもそも成り立ちづらい。

 では、価値じゃなくて好みで考えてみればどうか。

 雑談のどこが好きなのか。

 私は雑談の緩さが好きだ。

 思いつきを自由に話せる。議論のようで議論にならない話をしたって良い。楽しく話せれば良い。楽しいと言い切れなくても、気が晴れれば万々歳。

 そんな雑談が誰とでもできる訳ではないけれど、例えばあの後輩が相手なら。

 説明しがたい不思議な関係でありながら、少なくとも気の置けない仲ではある、あの後輩相手だったなら、あるいはーー。



「おおー、良いじゃないですか! 即興で作った割にはその後が気になりそうな仄めかしのあるオープニングじゃないですか! この『ゆりざつだん!』のオープニングはこれで行きましょう」

「いや、これもう2話めだから」

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