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特別編・明けたところで言い訳

「新年明けましておめでとうございます。今年も『ゆりざつだん!』をよろしくお願いします」

そう言って、晴れ着に身を包んだ椎菜は恭しくお辞儀するのだった。

「待て待て。新年の挨拶をするにはもう遅いだろ。もう1月10日だよ」

「1月ならばセーフでしょう。それに、多少遅れてしまうのもしょうがないじゃないですか。年末年始は忙しいんですから」

「年末年始が忙しいのは確かにそうだけど、それ、誰から誰への言い訳なんだ?」

「言い訳ではありません。有り触れた必然でしかないのです。それよりも、巴先輩。実はこの小説全体を揺るがす大変な事態が起きてるんですよ」

「え、何? 今ってそんな大変なことになってるのか?」

「はい。なんと、なんとですよ。この『ゆりざつだん!』の作中時間が現実時間に追いつけなくなってしまいました」

「何だと! ……いや、元々現実時間に追いつこうとしていたのか?」

「おや、ご存知なかったんですか。今までも台風や夏休み明けの宿題の話をしたことがあったじゃないですか。その話と掲載された時期って合っているでしょう。……まあ、さらに後に来た台風は雑談してられないくらい酷いものだったのですが」

「災害の多い年だったよな」

「ですね。まあ、そんなこともあったり、なかったとしても元々忙しい時期でしたからね、更新も遅れてしまうというものですよ」

「わかるよ。わかるんだけど、だからさっきから誰発信の言い訳なんだよ」

「そんなこんなでモタモタしていたら、秋に少しずつ話を進める予定だったところが、現実時間は冬どころか年すら越してしまいました」

「そういうことだったのか。じゃあ、今後はどうすれば良いんだ?」

「巴先輩の妹さんが登場する予定もありますし、急に作中時間の季節をすっ飛ばす訳にはいかないでしょうね。こちらはこちらでのんびり時間を進めましょうか」

「だな。まあ、夏にクリスマス回みたいなことは避けたいが」

「クリスマス回! 巴先輩はわたしとクリスマスを過ごしていただけるのですか?」

「は? クリスマスの頃にはもう授業も終わってるだろうし、実家に帰る予定だけど」

「何やってるんですか! 大事なカップルイベントを潰しては、ラブコメのジャンルが廃るというものですよ」

「ラブコメじゃないだろ。ラブ要素がどこにある」

「あるでしょう。わたしから巴先輩への有り余る愛が。あとは先輩がそれを受け入れるだけですよ」

「えー、やめとくー」

「振るにしても雑すぎません?」

「そんな訳で、新年も『ゆりざつだん!』をよろしくお願いしゃーす」

「次回はそのまま秋のお話をお送りします」

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