追い打ち
朝から決められる綺麗な土下座。微動だにしないその姿を見れば誰もがこう思うだろう。
誠心誠意謝っているのだと。
土下座されている相手はセシル、土下座しているのはなんと賞金首ギルドのギルマスである。
夜は流石に手伝えない為ぼーっと二人がウェイトレスをする姿を見ながら晩飯を食べていたんだよ。
そこに現れたのは賞金首ギルドの方々、俺を見て速攻相席し、酒を注文。そのまま流れで外に飲みに行って事件は起きた。
ギルマスが中身入りのジョッキを俺の左手に落としたのだ。当然完全骨折、あまりにもの激痛に酒が一瞬で消えたほどである。
元々セシルは治癒系の魔法が苦手である。ヒーラーのいる神殿に行きゃいいっちゃいいんだがじっとしとけば治るもんだからと面倒臭がったのも失敗の一つである。
ちなみにヒーラーは数が少ない為見つけ次第速攻神殿の連中が抱え込む。その為基本的に骨折とかしたら自然治癒待ちか神殿に行かないといけない。
そして悪いのはギルマスだからと朝から早々土下座をしているのであった。
俺??正座中である。
「一応じゃが伊吹は片手でも戦えるのじゃな??」
「まぁな、でも薙刀振るのはちょっと厳しいから1m程度の槍があったら嬉しい」
「ほれ、短槍ならあるぞ??でも両腕じゃないとスキル発動難しくないのか??
剣とか片手で戦いやすい武器にした方が」
「剣ぶっちゃけ苦手」
うん、マジ苦手。なんというかしっくり来ないんだよなぁ...短剣ならまだしも。
「まぁまずは朝食を摂るのじゃ。一応応急処置しておるしこやつらも反省しとるのじゃ。どうせ伊吹じゃから問題なさそうじゃし」
「うん、まぁ多分伊吹さんなら大丈夫だよ。なんだかんだで笑いながら突破しそうだもの」
「あーそれわかるわ。賞金首ギルド一同伊吹はんの活躍に期待しているし」
「お前らの俺に対しての評価が酷いことだけは理解した」
というわけで何も問題無く受験しに行き、筆記試験は突破。基本が四則計算、最終問題だけはちょっと変わっていた。問題はこうだ。
A、B、C、D、E、F、Gの7人が円卓に座ります。それぞれの席には1、2、3と席名が振られています。席には1〜7の数字が書かれたクジを引いて、出た番号に引いた本人が座ります。さて何通りの座り方があるでしょうか。あとAとBが隣同士に座る場合何通りの座り方があるでしょうか。Aが1の席に、Bが2の席に座ることができる確率はいくらでしょうか。
流石に絶句した。難しくてではない、簡単すぎてだ。
だってさ??最初は1+10とか2×30×6とかそんな糞みたいな問題だぜ??
最終問題は基本的に最難関問題が持ってこられることが多いけど流石にこれは酷い。まぁ筆記試験は最低限の知能チェックって所だろう。セシルもフィレスも簡単なはずと言ってたし。
俺は試験時間が1時間の中15分ほどで解き終わり、左手をぶつけないように庇いながら寝た。