二人の少女
変わった男を拾ったもんじゃのう...
厳密にはわしがというよりわしの護衛をしてくれているフィレスが拾ったんじゃがのう...
今いるところはチクリン街道と呼ばれるところじゃ。
タケと呼ばれる植物が群生している地域でそのド真ん中を通る道じゃ。
今はある学園に受験しに向かっているのじゃ、まぁトラブルがあって少しでもショートカットする為にココを使っているのじゃ。
フィレスはかなり強いしわしもまぁそこそこの魔法の使い手だと自負しておる。だから少々治安が悪くても進もうと判断したわけじゃ。
まぁ二人とも決心つけて通ると決めたのじゃが入り口あたりで
「ファーーーーwwwwwwww」
と叫ぶ声が聞こえてじゃな。なんじゃと思って近づくと此奴がいたのじゃ。
黒髪で顔つきはまぁまぁ、大半が真っ黒だが腕と足に白いラインが4本ずつあり、『hyuuma』とネコみたいな動物が翔る姿が刺繍された服を着ていたのじゃ。
フィレスがなんも警戒せずに近づいた辺り悪い奴じゃないのじゃろう。それにしても此奴はやっぱ不思議な奴じゃのう。
目を開けるといつの間にか握っていたメモ紙。なんで異世界で竹林やねんとツッコミ入れたかったけどまずはメモを見る。
『バグとか全部うっそぴょ〜ん、実際は世界を滅茶苦茶に引っかき回して欲しいんだよん』
俺はメモを見て一言、
「ファーーーーwwwwwwww」
メモをひっくり返すと、
『ごっめーん、スマホ細工あるせいで食料や衣類の準備するの忘れてたンゴ
許してニキ〜』
........流石に軽く白目剥いた。メモの右下辺りに小さく、
『《ステータス》って唱えるといいよん』
「《ステータス》」
二階堂 伊吹
年齢:16
職業:戦士Lv1
スキル
剣:2
短剣:6
槍:10
薙刀:10
槌:5
弓:3
格闘:7
投擲術:7
複合魔法:6
退魔術:7
錬金術:5
付与:9
潜伏:7
気配察知:8
ユニークスキル
謎の魔眼
変身
称号
神の悪友
神を殴りし者
神に殴られし者
救世主
アットホームダディー
「うっし、今度ぶん殴るか」
せんせー、質問です!!スキルの横に振られた文字がどういう事か一切分かりません!!
どーすっかなーとボヤいていた所に二人の女の子が見える。
片方はニッコニコしながら、もう片方は不貞腐れた顔をしている。うーむ、可愛い。
ニッコニコしている方は水色の髪の毛をツインテールにしてて、髪色と似た水色の目をしている。胸は控えめだけどピッカピカに光る銀色の胸当てを見る辺り初心者といったところか。俺も最初防具勝った時思い出すわ〜
でも剣は細かい傷があるから訓練は結構しているのだろう。
不貞腐れている方は緑色の髪の毛の一部をツーサイドアップと言うんだっけ??
括るリボンは同じリボンで仲がいいんだろう、胸は水色の娘以上に無さそうだがそれがまた中途半端に露出度が高い魔術師っぽい装いの魅力が上がる。
しかも緑色の娘は耳を見る辺りエルフだろう。地球じゃ漫画やアニメ以外で見ることなかったけど。その前ではエルフの友人いっぱいいたけど。
腰には杖を刺しているあたり魔法使いだろうな。
さて、今の格好はhyuumaジャージ。
某有名メーカーをパチったジャージである。
「どうしましたか??」
「気付いたらここにいてびっくりしたから叫んだんだわ、すまん」
とりあえず頭を下げておく。よし、まずはこの娘達に道案内を頼んで着いた街を最初の活動拠点としよう。無一文だし。
「ふむ、匂い的に山賊や盗賊じゃないようじゃのう」
「匂い??」
「奴らは基本的に汗や血の匂いで臭いのじゃ。
じゃがお主からは花と紅茶の香りがするのう」
この娘かなり鼻がいいみたいだ。まあ直前までハウステンボスで紅茶飲んでたからなぁ...ちなみに結界で誰も近寄れないようにしていたらしい。
「そういりゃお嬢ちゃんたちは一体どこへ向かうん??」
「フィレスです!!」
水色の娘がそう言うと思いっきり緑髪の娘が水色の娘の耳を引っ張る。
「痛いよセシルちゃん〜」
「アホか!!知らん男にホイホイ名前を教えるな!!それにわしの名前も教えるなアホ!!」
あっ、だいたい関係わかったわ。おーけーおーけー、そういうノリね。
「オッスおいら二階堂伊吹!!」
「お主の名前など聞いておらんッ!!」
「まーまー、そうカリカリすんなってせっちゃん〜」
頭を撫でる。
「変な名前で呼ぶな頭を撫でるなアホッ!!わしの名前はセシル=エメラル=マグノリアじゃ!!
よく覚えとけ!!」
多分俺は今ニタァと意地の悪い顔をしているだろう。そう、ちょうど今フィレスがしているように。
「なんじゃその顔はッ!!お主らなんじゃそのおもちゃを見つけたような顔は!!」
「まぁまぁ、落ち着いて落ち着いて、セシル=エメラル=マグノリアちゃん」
「そうだよ、セシル=エメラル=マグノリアちゃん!!」
「お主何故わしの名前を...ハッ!!」
セシルは何をやらかしたか気付き口に手を当てる。そしてみるみるうちに顔が真っ赤になっていく。
「で、フィレス。俺現在無一文&迷子なんよ。友人にふざけて転移魔法でぶっ飛ばされてさ」
「そうなんですか....その友人さんはすごい魔法使いなんですね!!」
凄い魔法使いね...魔法使い....
「そんでフィレスとせっちゃん「せっちゃん言うな!!」に道案内を頼みたいんだわ。
こっから最寄りの街まで、その代わりに護衛するし」
「そうですか...一応私達がこれから行くのはダーガンって街なのですが、それより元の街に戻りたいとは??」
「ねーなー、ハウステンボスと言っても分からないだろ??」
「はい」
「だからお願いできる??」
「分かりましたっ!!その依頼お受けしますっ!!」
「アホォッ!!」
スパーンッとセシルがフィレスの頭を叩く。快音が響き渡る。
「お主がホイホイそういう風に依頼を受けるから遅刻しかけているのじゃろうが!!
いい加減そういう風に相手を簡単に信用するのをやめい!!もし相手がわしらを騙そうとしていたらどうするつもりなのじゃ!!」
セシルを無視して俺が歩き出すとフィレスも続いて歩く。手を差し出すと素直に握ってくれる、うんいい娘だ。
「お〜いせっちゃん置いていくぞ〜」
「セシルちゃん早く来ないの〜??」
100mぐらい歩いたところで説教に夢中で俺たちが動いた事に気づかないセシルを呼ぶ。
「お主ら!!待てッ!!」
セシルが慌てて追ってきたためフィレスと顔を見合わせて一言、
「「逃げるか!!」」
一気に走りだす。セシルは虚を突かれた為ずっと後ろで怒鳴っていた。