長崎某所にて
現在、風車が回る花畑でカフェタイム中、お相手は髭の生えたおっさん。
金属製のテーブルと椅子の為、ケツが痛くてしゃーない。
今飲んでる紅茶は一切知らん。けど美味いからどうでもいいや。
「でさー、なんで俺ここに呼ばれたの??
呼び出される理由一つぐらいしかわからないんだけど」
「そう焦るな。だいたいお前の想像通りと思われ」
「まーじか」
じゃぁ今日でこの光景も見納めか〜、と言っても昔約束しちゃったしな...
「で、どいったとこに送還されちゃうわけ??」
「お前のいた前の世界に似てるとこだな」
「ぬかしおる」
お互い一切顔は笑わずに声だけ「ワハハハ」と言う。
「つまりは若返って??」
「転生して??」
「「世界を救えッ!!」」
「説明ッ!!
いろいろと実験的に作ったRPG風世界に無理ゲーレベルの敵が登場しちゃったから指導或いは討伐しろッ!!」
とりあえず顔面を殴っとく。
「何をするのだァァァ!!俺は神だぞ!!」
「一昨日家で石橋スペシャルを一緒にプレイした奴を神としは認めない」
「うっせーぞビーツマニア、ロクに橋も作れないくせに」
「あ??ゴッドハンドの癖に飴玉キャッチ出来ない奴〜」
お互い胸倉を掴みあい、さっきと同様の声だけ笑いをする。
「それじゃぁそこが最後の約束って事でいい??」
「そうだなぁ...
全く初めてだぞ??世界を救ってやるからもう一度命をくれと言ってきたアホは」
「そのおかげで救えたんだからいいだろ???」
お互い胸倉を離してどかっと音を立てて座る。
「そんで二つの約束をしたんだよなあ...」
「あん時は俺もなりたての神だったから約束は同じ数だと言ってなぁ...」
俺は目の前のおっさんを指差して言う。
「お前に対して言った約束はまず生き返らせろ、そんで全て終わったら平和な世界に転生させろ」
おっさんは俺を指差して言う。
「俺はお前に対しての約束はまず世界を絶対に救え。そして転生させた後もう一度だけ別の世界を救えってな。
あの時はほんっとひよっこで人間というよりお前を見下してたからな...
どうせ救えないんだしせいぜい自分の駒として扱おうって思ってたからな」
紅茶はとっくの昔に冷めているが二人で息を吐いて飲む。
それにしてもやっぱいい景色だわ、ハウステンボス。死ぬ前に一度は行ってみたいと延々思ってたからなぁ...
「で、何故世界が滅亡寸前までになったんだ??」
「いや、まだ余裕はあるんだよ。でも誰かにウイルスを混入された所為でヤベェんだわ。
初めて作ってみた世界故に手放すのは惜しい」
「ウイルスって言われてもよくわかんねぇぞ??」
「魔王」
「おk」
つまりウイルスが何かに感染して魔王となった所為でモンスター共が統率し始めて世界侵略が始まったとかそういう系??
「そういう系」
「心を読むな。
そうそう、RPG風世界ってどういう事??」
「レベルシステムとスキルシステムを導入したんよ。
数多のゲームとラノベとなろうとアルポ作品を読み漁り、ゴッチャゴチャにミキサーでかき混ぜた感じでな」
「うわ、糞そう」
「ちゃんとバランス類は調整してるぞ。こう見えてもRPGツクールで作ったゲーム全部高評価だから」
あー、そういりゃコイツ一時そんなのにアホほどハマってたなぁ...俺もデバッグに何回付き合わされたか。
「だいたい把握、ちゃっちゃと行った方がいい系??」
「いい系だな、ちょっと面白そうなイベントあるし。
レベル類はどうする??」
「どうする??とか言いつつお前Lv1にするんだろ??」
「大正解、素のステータスは今の状態で行くから大丈夫だろ??
頑張ってカンスト目指してくださいな。
後、面白そうな能力一つつけとくから」
「うぃーっす。あ、後スマホでいつでも連絡出来るようにしてくれね??」
「そこらへんは既にしてある。安心しろ。
こっちの世界での手続き類も終わらしとくから」
「あいよ、じゃ行ってくるから送ってちょ」
「うっす、頑張ってな〜。向こうの名前も二階堂 伊吹な〜」
「あざーっす」
足元に魔方陣が展開され、俺は光に包まれる。そういりゃ俺、道場の電気消したっけ?とどうでもいい考えと共に。