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「すべてを手に入れる17」のチャコ視点の小話

チャコ視点です。

 一気に力を増やして、一気に力を減らしたせいか、体が本当にしんどい。

そんな体に唯ちゃんがそっと手を当ててくれた。

その温かい力が気持ちよくて、うっとりと目を細める。

そして、唯ちゃんと話す。

これが最後の役割だから……。


 ああ、結局これって何のトゥルーエンドなんだろうって思いながら目を閉じた。

でも、唯ちゃんはまだ言葉を続けて……。

そして、唯ちゃんが教えてくれたのは、驚きの事実だった。


 自分が何度も消えていて。

唯ちゃんは助けるために、何度も時間を遡っているのだという。


 その話はどこかぼんやりと聞きながら、その濡れている緑色の瞳をじっと見た。

途中から泣き出してしまった唯ちゃんからはボロボロと涙が零れてくる。

その目に手を当てて、涙を拭いてあげたいのに、この体じゃあもう力が出ない。


 唯ちゃんは妖雲の巫女じゃなくなった。

こっちに差し出していたものも全部返せたと思う。

みんなに言いたい事も言えたし、自分がやりたい事は全部できたはず。


 だけど……。


 友孝様がそばにきて頭を撫でる。

告げられた言葉に友孝様は友孝様だなって再認識させられた。


「あー……。」


 もう後は消えるだけ。

なのに、思わず声を出してしまう。


 唯ちゃんは何度もコンティニューしてがんばったんだ。

だから、みんなと一緒に先に進めばいい。

ずっと同じ時にいるなんて、そんなの唯ちゃんのためにならない。


「……これで……お別れかぁ……。」


 これでいい。

唯ちゃんは先に進むべきだ。


 自分で選んだ道。

自分で選んだ事。


 なのに……。


「唯ちゃん……。」


 かっこわるい。


 ――置いて行かないで。

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