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ガルダフェリナ年代記  作者: 常世神命
エルベリア王国編 一章 王国再生
8/32

八話 ようやく三年目も終わり頃に差し掛かった筈なのだが

セフェラ「アンハッピーニュー嫌ぁー!!」

ベリアル「・・・」

バセレイル「・・・」

ベリアル「・・・あまりの事で、僕も言葉を失ったよ。っていうか、来年もそのネタやるつもりなの?勘弁してよね」

バセレイル「お約束では、27年中の投稿とかおっしゃっていましたけど・・・今は何日でしょうねぇ・・・」

ベリアル「年越し蕎麦を食べて、おせちも食べて、七草、セフェラには遠い昔の話しだけど、成人の日も過ぎて・・・ねぇ」

セフェラ「ホント。読者の皆様におかれましては、大変申し訳無く、私の不徳と致す所です」(平身低頭)

ベリアル「そうそう。地に額を擦り付ける位の気持ちで謝罪した方がいいよ」

バセレイル「次話は、今月中に上げれますか?」

セフェラ「出来るだけ早く上げたいけど、辺境領リネルメ興隆記の方が先になるからどうかなぁ・・・」

ベリアル「セフェラって、言葉の綾でなくホント非才だもんね」

バセレイル「それでは、第八話をどうぞ」

オレが、ガルダフェリナ年代記の世界に転生したのが、ゲームで言えばスタートして2ターン目であり、年月にすると約半月。

居なかった1ターン目を含め、そこから数えて68ターン目に、とうとうレバオラまで鉄道が開通してしまった。


三年目の晩秋。オレは新しく出来た、レバオラ中央駅のホームに来ていた。

この日は、朝から雲ひとつ無い快晴であり、開通式典日和となった。


「バセレイル。何時(いつ)くらいに到着する予定なんだ?」


「陛下。あと半刻(約一時間位)程で到着する予定です」

オレの問いに、バセレイルはそう答える。


まったく。オレの持っている、ゲームの常識が音を立てて崩れるのが分かるよ。

オレが、ゲームでこの国をプレーした時は、三年経っても精々2~3万人がいい所なのだが、現時点で、推定20万人を超える国民が住んでいる。

正直、あり得ないと思ったよ。

しかし、これが今、ゲームではないこの世界での現実だ。

そう思うしかない。


「陛下。いい加減諦めたらどうですか。先月は、シェラベリエで高炉での製鉄がスタートしました。それに加え、余剰コークスの輸出も始まりました。リゼルア向けだけですがね。それと、この、ザールラント~レバオラ線が開通した事に因り、ミスリル銀や貴金属の輸出も伸びるでしょう。当然、この鉄道景気に水を差す輩も出る事でしょう。目まぐるしく変化する中、国民は大いに戸惑う事になります。だけど、陛下。貴方は戸惑う事は許されません。貴方が戸惑う事は、王国の衰退、ひいては諸外国の侵攻を招きます。リゼルアからの支援は、ラナバルラント関連が未だに片付かないので期待出来ませんので、この諸問題に関しては、エルベリアが独力で解決せねばなりません・・・ここまではよろしいですか?」

バセレイルは、捲し立てる様に言ったが、いずれも喫緊の課題であり、バセレイルの言う通り、早急に対処せねば、エルベリアは歴史上から消滅する。


「ウム。大丈夫だ。最終的にはオレが決断するが、事前準備等は任せていいか?」


「・・・承知致しました。あと、高炉での製鉄が始まりましたが、今後慢性的な鉄不足に陥る可能性が有りますので、こちらは今すぐ決裁して下さい」

バセレイルはそう言うと、一冊の紙の束をオレに渡す。

それには、国営製鉄所の高炉の二期工事の計画書と書いてある。

概要としては、現在日産5トンの粗鋼の生産量を、三倍の日産15トンに増やす為に、高炉を新規で四基建設する為の物だ。


「これだけ生産しても、まだ不足するというのか」


「現にリゼルアでは慢性的な鉄不足です」


「ちなみに、どれくらい生産しているんだ?」


「リゼルアでは、ロンテ市を中核として、平炉にて生産していますが、平炉では日産5万トンが限界ですね。ラナバルラントにも建設の計画が有りますが、ラナバルラント国内には有用な鉄鉱石の鉱脈が有りませんので、リゼルアから輸送せねばならない為に、主に輸送面に問題が有り、計画は頓挫しています。リゼルア国内での計画も同様です」

・・・日産5万トンだと!?


年間にすると、1,825万トンになる。


オレのゲーム知識では、この数字はガルダフェリナに於いて破格というより、あり得ない数字だ。

日本の粗鋼生産量が、(およ)そ1億トンを超える程度なのに対し、この世界では、製鉄文化が浸透しきれていない処か、大半の国は青銅器文化な為、戦争に使用する武器の大半は青銅製という状況で、粗鋼の年間生産量が1,825万トンという数字は異常だと言う事がお分かり頂けるだろうか。


それにもかかわらず、まだ鉄が足りないと来た。

・・・現状に見合う言葉が出て来ない。

これでは、バセレイルが鉄の増産を訴える訳だ。

恐らく、この国で生産された粗鋼の大半はリゼルアへの輸出用だろう。


シェラベリエはまだ発展途上の町だ。

まだ未開発の土地があり余っているので、今の内に用地の接収をしておこう。


「途方も無い量だな・・・それでも足りないという状況を鑑みれば、この計画書の内容では(いささ)か物足りないのではないか?」


「ええ。正にその通りです。それではこちらが、その計画書に修正を加えた第二案です」

バセレイルはそう言うと、もう一冊の計画書をオレに寄越す。


それには、新規に建設する高炉の数が40基とあり、生産量の目標を日産100トンにしている所と、コークス炉を新規で3基建設する所が、変更・追加されている。

バセレイルが言うには、現在の予算規模からすると、これが限界だそうだ。





そうしている内に、一番列車がホームに入って来る。

列車は、機関車の煙突からは白い煙り、下からは蒸気を出しながら、徐々にスピードを落としていく。


列車が停止すると、乗客が降りて来るのだが、この列車は、これから執り行われる式典の関係で、一般人は乗車していないという話しだ。


・・・・・・ん?一般人が乗車してない?一体誰が乗っているんだ?


列車から降りて来たのは、若者と言うには些か年をとりすぎた年頃の女性だ。

・・・どこかで見た様な感じがするのだが・・・


「お疲れメアラ。こちらがマーゼベル陛下だよ」

ベリアルは、オレの事をそう紹介する。

もう少し何かしら有っても良さそうな気はするが・・・


「フフ。順調の様ですわねベリアル。マーゼベル陛下お初にお目にかかります。私は、リゼルア王国で首相を務めさせて頂いております、メアラ・サスタカーンにございます」

メアラはそう言うと、恭しく頭を下げる。


「丁寧な挨拶痛み入る」

・・・どこかで見たかと思えば、某国の首相を務めた女傑じゃないか。

オレがこの世界に飛ばされる前に、突如失踪した元首相として、連日ニュースなどで話題となっていたな。

この世界に来ていたとは・・・道理で某特番に出ていた有名霊媒師が「最早この世には存在しません」と言った訳だ。

この()()()()()というのは、()()としても存在しない。という話しだったらしい。

オレの見間違いでなければだが・・・





式典は、何のアクシデントも起こる事無く、見所が無いまま無事終了した。

式典中、彼女の事がどうにも気になって仕方なく、式典どころではながったがな。


彼女は、前政権の政策の失敗に因り、ハイパーインフレが吹き荒れ経済恐慌真っ只中の某国の首相に就任した。

首相に就任してから、卓越したその手腕により、某国はハイパーインフレの呪縛から脱却するだけでなく、景気は好況に転じ、国内の経済を急成長させ、結果、周辺国の経済を牽引するまでの存在になるまでとなった。


外交においても、某国の南と北にそれぞれ在る大国が軍事的緊張に陥り世界的大戦に発展するかと危ぶまれた時に、両国の間に入り仲裁をし、ついには世界的な規模での軍縮の条約を提唱、両国を含む多くの国が批准した事に因り、メアラ女史が首相を務めていた5年の間に、ノーベル平和賞を受賞し、三度も候補に上がった。


その5年が経過すると、突如(周到に根回しされていたので政治的な混乱無し)として辞意を表明して、首相から退き、単身日本に行った事でも有名だ。

その後、謎の失踪を遂げ、今に至ると言う事だ。





式典が終わった後、列車はリゼルアへ向かう乗客を乗せ発車した。

列車を見送った後、オレ達は、城・・・ではないな。

()()に向かって馬車を走らせた。

その車中で、オレは先ほどから気になっていた事を、当の本人に聞いてみた。

「・・・メアラ殿は、私の事を・・・その・・・」


「リル陛下からですか?ええ。マーゼベル陛下が転生者という事は伺っておりますわ」


「・・・それなら話しは早い。貴女は某国の首相を務めていたメアラ元首相で間違いないか?」


「はい。間違い有りませんわ」

ああ。ソッコーで肯定されたわ。


リル嬢は羨ましいなぁ。

バセレイルにすら業務の半分を投げてるのに、オレ、こんな人が部下に居たら、業務を全て丸投げする自信があるな。

そんな仕事量にもかかわらず、きっちり片付けてアフター5でサヨナラしそうに見えるのは、オレだけかな?


それはさておき、馬車が屋敷に到着した。

メアラ女史を屋敷の中に案内し、しばらく後に、晩餐会(メアラ女史の歓迎会とも言う)を開き、メアラ女史と世間話的な話しをしつつ、晩餐会は終了。

この世界には、マスメディア等の物が無いので、メアラ女史が来訪した事を知る者は少ないのだが、大事をとって、屋敷に泊まって貰う事にした。

本当はいろいろ有ったのだが、オレ的に面白味が無いので端折(はしょ)ってみた。





翌日、屋敷の在る丘から少し下った所に官邸が在るので、メアラ女史と共に向かった。

官邸に向かって何をするかと言えば、エルベリアとリゼルアとの外交関係についての話しをするのだ。


国力等、あらゆる面に於いて、我がエルベリアは劣っているばかりか、安全保障面でもおんぶに抱っこ状態なので、エルベリアにとって相当厳しい内容だろうが、多少は譲歩して貰うにしても、かなりの部分は向こうの要求を飲まねばならぬだろう。

そうせねば、このエルベリアは早晩滅亡の憂き目に遇うであろう。


「・・・メアラ首相。この文面で間違い無いのであろうか?」

あまりの内容にオレは驚いた。


ある程度端折ってるが内容はこうだ。





リゼルアはエルベリアと対等な関係を取る。


リゼルア王国とエルベリア王国は、互いに大使館を設置する。


有事に際しては、共同で事に当たり連係を取る。


被疑者が外国人(リゼルア人若しくはエルベリア人に限る)の場合、犯罪が発生した当該国の法で裁く事とする。

被疑者が帰属国に逃亡した際は、相手国は被疑者の引き渡しを請求する事ができる。


関税は、主要三品目(粗鋼・小麦・木材)は撤廃。そのほかは事務レベルでの交渉とし、将来的には完全撤廃とする。


エルベリアは、産出したミスリル銀、金、白金の九割をリゼルアへ輸出せねばならない。

リゼルアはそれを相場価格で買い取る。


ラナバルラントとの国境から、レバオラ迄の鉄道路線及びその関係施設の帰属は、リゼルア鉄道株式会社のものとする。但しレバオラ中央駅駅舎並びに、その関連施設の帰属はエルベリアとし、それ以外の鉄道及びその関連施設の地所は、エルベリアからの借地として、99年有償で借用するものとする。


上記以外の案件は、今後事務レベルでの話し合いに拠って決める事とする。


最後に、この条約が発効した後に、リゼルアはエルベリアに対して、五千挺のマスケット及びその弾丸50万発分を無償で進呈する。





・・・内容が内容だけに言葉が出ない。


本来ならば、こう言った事は長い時間を掛けて、お互いの妥協点を見つけ、擦り合わせて行く物なのだが、エルベリアには専門の外交官が皆無なので、バセレイルとベリアル殿との間で、事前に話し合っていたのだろう。


それにしても破格な内容だ。

やはり、塩だろうか。

ザルヘルバ王国(現リゼルア王国)には砂漠が在るのだが、中央アジアの様に、昔はは海だったが・・・というのでは無く、中国のタクラマカンやゴビ砂漠みたいに、初めから陸だった所が山脈等の要因に因り、雨が少なくなり砂漠になったので、塩が採れない。

なので、ゲームでザルヘルバ王国をプレイした場合、先ずは海を目指して外征するのがセオリーである。

ザルヘルバ王国自体は、我がエルベリアと違い、国力は上から数えた方が早い国なので、製鉄法と二圃制を開発出来れば、外征も成功し易くなる。


ルートは今回と同様に、ラナバルラントを攻めて、次に我が国というルートが一番難易度が低いのだが、ラナバルラントの攻略に時間が掛かってしまうと、エルベリアを他所に盗られて、ラナバルラントより強い国を攻略しないといけなくなるので、難易度は低いが時間(ターン)との勝負になるから、地味に上級者向けの国ではある。


今回は、我がエルベリアにバセレイルを送り込み、我が国と友好的な関係が築けるならば、攻めるよりは、エルベリアに対しての警戒を減らせるので、負担は少なくなると判断したため、それならば、富国強兵を手伝ってやろうという方針なのだろう。


我がエルベリアに、リゼルアの安全保障の一端を担わせよう。

という事だろう。


資源の面()()なら、我が国は世界有数の資源大国であるので、それも充てにしているのだろう。

何と言っても、我が国には小規模ながらも、国土に油田が埋蔵されている場所が数ヵ所在る。


まあ、全てを合わせても日産千バレル(米バレルで)にも満たないが、エルベリア沖の海底には、地球でも無い様な巨大油田が眠っている・・・・・・しかし、ゲームでも採掘例がほとんど無い位に、採掘技術の開発には困難を極めるが・・・


なので大体は、魔法を併用した代替品の開発の方が優先される。

それでも、開発に着手出来るのはほんの一握りの者に限られる。


ちなみに、オレは海底油田派で、一回だけだが技術開発に成功したので、その回は、世界を征服する事が出来た。

セオリーでは、国際的な連合を組織して、その連合で世界を征服する物なので、単一国家が世界を征服する自体、オレが初めてだったらしいので、当時のネットでは、相当話題になったのを覚えている。


「ハイ。相違ありません。それで、マーゼベル陛下はサインして頂けますでしょうか?」

メアラはオレに微笑みそう答える。


「サインするも何も、こちらからお願いしたい位だ」


「そう言って頂けますと、私もこちらに来た甲斐がありますわ」

オレとメアラは条約にサインした後、握手を交わした。





バセレイル「ここまでありがとうございます。誤字、脱字などありましたらよろしくお願いします・・・ヘボ作者はベリアル閣下にドナドナされて、反省会をしている最中ですので、僭越ながらわたくしめが八話の後書きを務めさせて頂きます・・・・・・何から話しましょうか?・・・そうですね、エルベリアの気候風土でもお話し致しましょうか。作品中にも有りますが、エルベリアの面積は四国程の大きさが有りまして、北はラナバルラントと接していますが、この度のレバオラまでの鉄道開通等以前は未開の地であり、人自体住んで居りませんでしたので、最近どんな物か分かって来ました。エルベリア北部は温暖では有りますが、雨は意外と少なく、乾燥限界を多少超えた雨量が有りますので、かろうじて温帯(C)に区分されます。現在はエルフを中心とした林業と、街道開通後に開かれた鉱山に因る鉱業が盛んです。首都レバオラを含む中部は、北部に比べ標高が低く(大体200m~300m北部は1,000m超)なりますので、亜熱帯という感じでしょうか。区分は熱帯(A)になり、弱いですが乾期が有りますので、()()サバナ気候(Aw)に分けられます。あまり使われませんが、熱帯モンスーン気候(Am)というのが有りまして、中部の気候はこれが適当なのですが、一般的にはサバナ気候に含まれます。中部は王国の食糧庫と喩えられる位、小麦等の穀物の生産が盛んです。南部は王国では一番低地となり、気候も熱帯雨林気候(Af)に分けられますが、残念ながら熱帯特有の産業が有りません。次話は、その辺りのお話しになります。それでは皆様、今後ともガルダフェリナ年代記をよろしくお願いします。ブクマや評価を頂けましたら幸いにございます」

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