七話 町を造る事にした筈なのだが・・・
ベリアル「いつもありがとうございます。初めての方も、そうでない方も、僕がみんなのアイドル、ベリアルだよ。よろしくね♪」
バセレイル「・・・」
ベリアル「バセレイル君。そこで黙って居られると、僕も困るんだけど」
バセレイル「閣下の挨拶が少々アレなので二の句が次げませんでした」
ベリアル「・・・セフェラのが伝染ったかな?」
バセレイル「それだけでは無い様な気がしますが・・・それではどうぞ」
「まぁ、そんなに悩む事も無いと思うよ」
後ろの方から声がしたので振り向いてみれば、そこには小学校高学年位の背丈をした女性が居たのだが・・・
ん?何か浮いていないか?
そう、その女性は足を組み、宙に浮いているのだ。
「閣下なぜこの様な場所に」
声を掛けられてから、最初に口を開いたのは、バセレイルであった。
ん?このちっこいのが、例のベリアルか。
良く見ると、背中に黒い羽が生えてるぞ。
「マーゼベル君。ちっこいは酷いなぁ」
!!!
オレの考えが読まれただとぉ!?
「まぁ、驚く事もないよ。僕は占卜が多少得意なだけだし」
占いが多少得意、というレベルでは無い気がするが。
「閣下。百発百中というのは、多少得意というレベルでは無い気がしますが」
百発百中だとぉ!?
「ん?いや、外れる時は外れるし、百発百中は大袈裟だよ」
そう言うと、ベリアルは苦笑いをする。
「そうそう。脱線する所だったね。人材の話しなら、僕がここに来る道すがら見付けて来たよ」
ベリアルはそう言うと、連れて来た者を前に出す。
・・・全員女性なんだが。
「ん?この僕が、むさい男なんか連れて来る訳無いじゃん」
そう言うと、ベリアル殿は豪快に笑う。
ひとり目は、オラヴィア・エンプーサ
年の頃は、大体二十才位で、緑色で腰まで有る長い髪を、ひとつに上手纏めていて、目の色も緑色。
身の丈は凡そ170セン・・・8.5デルセル位で、出る所は出て・・・デカイなぁ。
うん。ホントにデカイんだよ。
思わず、バセレイルの方をチラ見してしまうほd・・・痛っ、バセレイル悪かったからつねらんで。
ふたり目は、タチアナ・アラゼリル
うん。こいつは、オレの屋敷に居た通いのメイドだな。
年は、確かに十七とか言ってたな。
ああ、燃える様な赤い髪をしていて、その胸の辺りまで有る髪は左右で纏められていて、所謂ツインテールと言えばいいだろう。
いつもは気にしていなかったのだが、問題の胸は、オラヴィア程の爆乳ではないが、それでもFカップは有りそうだ。
タチアナの胸を見ていたら、またバセレイルにつねられた。
三人目は、ディルティナ・マーゼベル
オレの妹だ。
えーと、年はオレのふたつ下だから、十六だった筈だ。
以上!
痛い痛い。ティナやそんなにつねらんでよ。
ただでさえ、バセレイルにつねられて痛いんだから。
分かった分かった。ほかの娘と同じ様にちゃんと説明するから。
この兄を信じろ・・・何、その疑惑の目は。大丈夫だから。
オホン。
では改めまして、容姿は、オレの妹だから当然美人だ。
以じょu・・・悪かった悪かったから、つねらないで・・・ってか、バセレイルまで一緒になって・・・何?さっさとしろ?
ティナの事は追々話すとして、この三人がそう言う事らしい。
三人中ふたりがオレの関係者なのには驚いた。
「お兄様。どう言う事ですの?」
状況が飲み込めないアホな愚妹は、オレに詰めよって来る。
いや!痛いからつねらんで。
「あー。本人から聞いたかも知れないが、こちらの者は、ベリアル・・・「陛下。閣下は外務大臣です」という名で、リゼルア王国の外務大臣を務めている。今回は、こちらの要請に応えてくれて、大臣自らこのエルベリアに足を運んでくれたのだ」
オレがベリアル殿の説明をすると、途中肩書きが分からなかったので、詰まりそうになったが、バセレイルがそれとなく周りに分からない様に、そっと小声で教えてくれた。
「それでお兄様。私たちは何をするのでしょうか?」
「ティナが頭で残るふたりが補佐役という感じで、三人には、これから新たに造る町の運営をしてもらいたい」
「ハァ・・・お兄様。見渡す限り草原じゃないのよ」
まぁ、確かに遠くに山は見えるが、今居る周辺は草原しか見えないわな。
だから、これから造る町と言ったんだ。
今は乾期だから草も疎らだが、バセレイルの話しでは乾燥限界とやらを僅かに超えている為、雨は少ないのだが、温暖湿潤冬季小雨気候(Cwb)らしい。
最初のCは温帯。
真ん中のwは冬季小雨。夏季小雨の場合はs。
最後のbは、一番暑い月の平均気温が10℃以上22℃未満で、尚且つ、月の平均気温が10℃以上の月が4ヶ月以上有るという事だ。
確か、東京の場合はCfaとなっていた筈だ。
最初は一緒。
二文字目のfは一年を通して湿潤しているという事。
一見、冬は乾燥するので、wかと思いがちだが、これは、最少降水月の降水量に10掛けた数よりも、最多降水月の降水量の方が多い場合に使う。
そこまで差の無い東京の場合はこれに当てはまらない。
三文字目のaは、一番暑い月の平均気温が22℃以上の場合となる。
まぁ、脱線してしまったが、要するに、農業をするには多少条件は悪いが、全く不適という訳でもない。
そう言う土地なのだが、四国程の広さの王国に於いて、総人口が現時点でも六万人を少し超える位しか住んでいないので、当然、もっと条件の良い土地に居るために、この辺りは、この様な風景になっている。
尤も、その辺の設定はゲームには無いのだがな。
でだ、誰も住んでいないので、ここに町を造り、あまつさえ工業都市にしたいとは思っていたのだが、そこに、ベリアル殿が割って入って来る。
「この場所に町を?確かに、街道の上だけど、僕はオススメ出来ないね」
「という事は、リゼルアはこの国がこれ以上力をつけるのは、具合が悪いという事なのか?」
「違う違う。この場所を中心とするのは、オススメ出来ないという事だよ。ってか、リゼルアからしたら逆に富国強兵に邁進して貰いたいんだけど」
「ん?」
思わずオレは首を傾げてしまった。
「風水的に言えば、ここから北に大体二万セル程行った所に、龍穴が在りそうだから、どうせ造るのならそこにした方がいいよ」
今度は風水と来たか。
先程の温暖湿潤冬季小雨気候さえ、右から左なのに、勘弁して欲しい。
というか、なぜベリアル殿がこの国の詳細な地図を持って居るのだ。
オレですら持って居ないのに・・・
兎に角、ベリアル殿が言うには、オレが開発しようとしている鉄鉱脈の在る北の山が玄武に当たり、西に在るラナエル街道が白虎、東にエーベレンスから流れて来る川、名前は忘れたが、それが青龍で、南に在る海が鳳凰に当たるという事らしい。
これが四神という事らしいのだが、それぞれを加味して、中心はどこかと見たら、ベリアル殿が先程示した地点であり、ここほどの四神相応の地なぞそうそう無いので、いっそのこと遷都したら?という事だが、今の所その気は無い。
それで、その場所が丁度、今居る場所から真北に二万セル行った所だと言うのだが、正直、道無き所を延々と二万セルも歩きたくない。
「確かに話しを聞けば、ベリアル殿の言う事は尤もなのだが、オレとしても、北の山には鉄鉱石や石炭の鉱脈が在るので、将来的には街道を南北に通す予定なのだが、何分、現時点では未開の地であり、当然道が無いので、徒歩でその場所に行くには困難だから、先ずは、その為の拠点をこの場所に作りたいのだが、よろしいだろうか?」
「ん!そう言えばそうだよね。僕は訳無いけど、イルっちや陛下を含め僕以外は歩きだもんね。うっかり失念してたよ。勿論そう言う事なら大丈夫だよ」
ベリアル殿は、苦笑いしながらそう言った。
それから三ヵ月後、ベリアル殿が示していた地点までの街道が出来上がった。
「いやー。時間掛かったねぇ。やっぱり首都からこちら側の、街道の具合が悪いというのはあるね」
そう、ベリアル殿の言う通り、レバオラから東の街道の整備はなされていない。
その、悪路badな道な為、資材の輸送に時間が掛かったのだ。
とすると、レバオラからここまで、直接街道を引っ張るのも手だな。
それは追々やるとして、今は町の建設だな。
「とすると、道はこういう感じで整備して・・・・・・だから庁舎はここだよ・・・・・・あっ!工業区画は郊外にするからね・・・ねぇ陛下。上下水はどうする?」
ベリアル殿は、色々と人夫や文官に指示していく。
ん?あんたは外交が専門じゃなかったのか?
それにしても上下水かぁ。川が近くに在れば良かったんだが、一番近い川でも大体1万セル有るぞ。
「近くに川が無いからなぁ。飲み水は、井戸を掘るとして、下水はなぁ・・・雨水は道の脇に側溝を造るとして、生活排水がなぁ・・・」
「ちなみに、陛下はどれくらいのを想定してるの?」
どれくらいかぁ・・・オレ的には五万位の都市を想定しているが・・・
「フム。首都から随分離れているし、二、三万人位が精々だろう。まぁ、今は何も無いに等しいがな」
「僕としては、首都のレバオラの発展次第だけど、15万から30万位は想定した町造りをした方がいいよ。ちなみに、リゼルアの首都であるザールラントの人口は中心地区だけで200万。近郊も合わせた首都圏は500万を超えるから、ひょっとしたら僕の想定以上に人が流入する可能性は否めないね」
と、ベリアル殿は言ったが、中心地区。つまりザールラント市とする範囲だけで200万の人口とか・・・
ゲームでは、オレだって、運良く大国スタートで、色々上手く回って、ようやく首都の人口が80万前後位で、廃人さんでさえ100万人を幾らか超える程度が精々なのに、200万に達しているとか、正直どうにもいかんよ。
ってか、オレは技術屋なんだよ!
それに今は、工事関係者の宿泊等の施設すら無いし、いくら何でも一年満たない内に、10万どころか、5万を超える未来が想像出来ない。
「そうは言っても、それだけの大工事をする余裕は、我が国には無いし、すぐにそこまで増加するとは思えないし、正直言うと、喫緊の問題になるとは到底思えない。だから先ずは、1万人を想定して町造りをし、そこから先は、二次、三次と拡張計画を作成すれば良いと思うのだが、どうだろうか?」
「・・・分かった。ではそれで行こう・・・地図地図と・・・・・・ああ、そうか。適当な場所が無いんだね。それなら仕方ないか。それでも、街路の整備と、当該用地の接収はしておかないとね。あと、恐らく龍穴はこの場所だから、ここに行政庁舎を建てさせるよ」
ベリアル殿はそう言うと、オレに地図を指し示して見せる。
更に二ヵ月が過ぎ、街道しか無かった所に、作業員の宿舎と、簡素ではあるが庁舎が出来た。
「ベリアル様。ここはこんな感じでよろしいでしょうか?」
「ん?・・・ああ。これなら、こっちに持って来た方がいいよ」
「・・・確かにそうですわね」
今、妹のディルティナは、ベリアル殿に師事をして内政について学んでいる。
「ねぇ、ベルっち。ホントにティナっちは君の妹かい?」
「失礼な。見目麗しく聡明な所が、オレに似てるではないか」
オレがそう言い返すと、ベリアル殿は怪訝な顔をした。
カン
カン
カン
それから、ようやく官営の鍛治工房が出来た。
規模自体はそんなに大きくないが、ドワーフの職人を五人雇い入れ、主に、工具や農具の修理や新規の製造を行っている。
将来的には、近代的な転炉での、製鉄所の開設
をしたいとは思っている。
「転炉?リゼルアだってまだ平炉で、この国は鍛造に因る製鉄主流なのに、それは当分無理な話しだね。」
またベリアル殿に読まれたらしい。
ってか、既に平炉を導入してるのかよ!
昔は・・・かなり昔なのだが、現在の様な転炉の技術が開発されるまで、世界の製鉄業は平炉が主流であった。
第二次大戦後、アルカリ性の耐火物の実用化や、電気炉や新たな転炉の方式の普及に因り、平炉は廃れて行った。
現在の地球に於いて、平炉での粗鋼の生産量的には2・3%らしいが、今でも途上国を中心に利用されている。
とはいえ、ゲームであるガルダフェリナ年代記では、スタート時の金属加工技術レベルは、平炉はおろか製鉄技術すら無い青銅器時代からのスタートの国が殆どなので、先ずは、製鉄法の発見からスタートせねばならないのだ。
時代的には13世紀頃なのに、金属加工技術だけ青銅器時代なのかは、プレイヤーの間で相当議論の的にはなったが。
それが、オレが転生した、ガルダフェリナ年代記の世界では、他国は知らないが、ゲームを元に言うと、スタートして二年と少し、ターン数にして大体50ターンほどでは、研究に資金を回せ易い大国ですら、製鉄法を発見出来るか怪しい時分に、旧ザルヘルバ王国、現リゼルア王国では、既に平炉を運用している様だ。
まったく。オレのゲーム知識が無駄になるじゃないか。
その後、この町・・・シェラベリエが、世界に冠たる重工業都市として発展するまでには、まだ、かなりの年月を必要とするのだが、それはまた別の話しだ。
バセレイル「ここまでありがとうございます。誤字、脱字などございましたらお気軽にお願いします。前回から開きましたね」
ベリアル「そうだね。セフェラは忙しいって言ってたけど、怪しいもんだよ」
バセレイル「左様にございますね」
ベリアル「年内は、煽ってあと二回以上は更新させたいけど」
バセレイル「難しい物ですね」
ベリアル「そうなんだよね。それでは今後とも」
バセレイル「ガルダフェリナ年代記を」
ベリアル・バセレイル「「よろしくお願いします」」
バセレイル「ブクマや評価を頂けましたら嬉しく思います」
ベリアル「皆さんお願いします」




