五話 金回りは良くなって来た筈なんだが・・・
バセレイル「いつもありがとうございます。陛下とへぼ作者は暫く・・・当分出て来ないという事ですので、今後とも私が司会進行役を致しますので、よろしくお願いします。それでは、第五話です」
以前の、エルベリアの経済規模は、精々2万ディナールと言った所だった。
それが、街道の整備に当たり三ヵ月の間に、7千ディナールが人件費等の経費として支払われた。
更に、街道沿いの、鉱山開発のために、木材の売却益45万ディナールが設備投資として消費される。
それに、各村には人口に因りベット数は異なるが、全ての村に医療機関が設立されるし、一定以上の人口に付きに学校が建設される。
規模は、一学年180人の3学年540人で、凡そ五千人に一校の割合だ。
今後、人口が増える事を見込んだ大きさになっている。
対象は満六才から八才までの男女で、満九才の年の12月25日に卒業となる。
「バセレイル。そう言えば、我が国には、大型船が入港出来る港が無いなぁ」
「そんな余計なお金は、どこにも有りませんよ」
バセレイルめ。そう言われては、二の句が継げんではないか。
「そこを何とかならぬのか?」
「塩の税金が、凡そ1,000ディナール。ミスリル銀鉱石の上がりはこれからなのに、なる訳無いでしょ。逆立ちしてもそんなお金有りませんよ」
「木材の売却金が有るだろう」
バセレイルは素っ気なく突っぱねるが、オレは諦めない。
「売却金?全て使い途が決まっているので、1ディルハムも回せませんよ。というか、港造っても、貿易相手も居ないのに、どうするんですか!」
確かに、バセレイルの言う通り、今は相手は居ない。今、最大の貿易相手はリゼルアであり、次がエーベレンスだ。
二ヵ国共陸路で十分だし、リゼルアは内陸国だ。
しかしだ。大型船が停泊出来る様な港が出来れば、それだけ交易も活発になるとオレは思っている。
造船にも手を出したい。
最初はキャラベル級の小型船になろうが、将来的には戦列艦位の超大型船を造りたい。
ゲームでは、内政自体はちゃんとやっていたが、ガチで外交に手一杯で、規模はあまり大きく無く、海には一切手は出せなかった。
だが、今はどうだ?
建前では、我が国とリゼルアとは対等の関係だが、実際、周辺国からしてみれば、我が国は、リゼルアの属国になったと思うだろうし、レバオラまでの街道が完成した今、リゼルアの援軍を警戒して、周辺国は我が国に侵攻し難くなったであろう。
しばらくどころか、数年先位迄は我が国の安全は、保証された様なものだ。
だから、無理に外交に秀でた者を、引っ張って来なくて良くなったし、寧ろ、内政に秀でた者をいかに引っ張って来るかが、重要になって来ている位、今は、内政に傾注出来る。
ならば、ゲーム時代には出来なかった海関係に手を出すのは、自然な流れだろう。
海は男のロマンなのだ!!
だが!
バセレイルはその事が分かっていない。
しかし、転生しても、金、金、金とは何とも世知辛い事だなぁ。
オレとしては、海関係は福祉の次に重要なファクターなのだ。
さて、どうしてくれようか・・・
そう言えば、塩の税金が1,000ディナールって言っていたな。
それ以外の税はどうなっているのだ?
「バセレイル。そう言えば我が国の税制はどうなっているのだ?」
「現時点では、製塩税だけですよ」
えっ?
今、何て言った?
我が国の税制は、製塩した塩を商人に売却した時に掛かる、製塩税だけしか存在しないだと!
確かに、以前の我が国の経済規模から言えば、税を掛けても意味をなさない位に小さ過ぎた。
だが、今はどうだ。
木材の売却金が、国内に回り始めた事に因って、今年の経済成長率の見込みは、300%を超えるらしい。
日本の高度経済成長期も真っ青・・・我が国の経済規模が小さ過ぎたというのもあるが、来年以降も年率30%を超える、超高度経済成長を今後も維持していくらしいので、これを機に税制改革に乗り出すべきだ。
増えた税収は、全て海関係にブッ込む。
決まりだな。
「バセレイル。時に、今後の事を考えて、税制改革に乗り出したいのだが、どうだろうか?」
「・・・税制改革ですか?」
「ああ、そうだ」
バセレイルの奴。何言ってるだこいつはって顔をしたぞ。
「・・・陛下。私はリゼルアの人間です。従って、極端な話し、この国が力をつけて貰っては困るのですよ。今後ともこの国は、生かさず殺さず、有用な資源は、本国で精練しますし、好景気なのは今のうちだけで、永続的に我が国リゼルアに搾取される関係が続きますので、ハッキリ言って、港なんて作られると迷惑なんですよ。それに、学校や医療施設も建物だけで、人員の手配は一切していませんし、作業員はラナバルラントから連れて来ていますので、1ディルハムもこの国には落ちませんよ。木材の売却金などと言う想定外のお金を、エルベリアに回らない様に使い切るのには苦労しましたよ。あっ、経済成長の話しですが、全て嘘ですので、実際に税制改革しても、雀の涙程度の税金しか入りませんよ」
と、バセレイルは、笑いながらオレに言った。
バセレイルが、オレに従っていたのは全部振りで、我が国は、第二次大戦前の、欧米列強に支配される植民地の様な扱いを受けていた訳だ。
これなら、本当にエーベレンスの属国になった方がマシだったではないか。
エーベレンスとは友好的な関係では無かったから、相当な上納金を納めねばならない事にはなるが、それでも、幾らからは手元に残った訳で、今回の様に、手元に残ったお金がほぼ0という事にはならなかっただろう。
オレの顔は悔しさに歪む。
「悔しいですか?ホントこんな弱小国と、我がリゼルアと同等とか有り得ないですよ」
「・・・そう言う事ならば、もう一切貴国の手は借りん。今後はエーベレンスに従う事にする。従って貴様は、我が国がエーベレンスに恭順する為の贄になって貰う」
そう言うとオレは、バセレイルに向かって抜刀する。
当然、バセレイルは焦る。
「ホントに我がリゼルアを敵に回してよろしいんですか?こちらには、ミニエー銃を装備した兵士が四万も居るんですよ」
「あんな街道程度、オレが行って直ぐに使えない様にしてやる。そちらが到着した頃には、レバオラは、エーベレンスの兵士で埋め尽くされておるわ」
オレは、バセレイルに躙り寄る。
「いいんですか?私が死んだら、制圧部隊が雪崩れ込む手筈になっているのですよ」
バセレイルはそう言ったが、どうせ苦しみ紛れのブラフだろう。
まぁ、本当だとしても、今日の明日には、レバオラまで到達出来まい。
なら、その間に対策すればいいだけの話だ。
「そんな脅しがオレに効くと思うか?」
オレは躙り寄り、バセレイルは後退る。
「ブラフだと思っているんですか?」
「ブラフでないにしろ、貴様を切って捨て、直ぐに街道を潰せはいいだけの話だ。今、言える事は、貴様及びリゼルア王国が我が国に対して背信行為をした事だ。貴様が死ぬのには十分な理由だ」
その刹那。
オレは、バセレイルを斬り捨て・・・たのは、執務室の机の角だ。
バセレイルは「ひっ」と叫び尻餅を着く。
「こ、こんな事をしてただで済むと思って・・・いるんですか?」
バセレイルは、声を震わしながらそう言う。
「ただで済まんのは、貴様の方ではないか?」
オレがそう言うと、執務室の扉がガチャりと開く。
何と!
そこには、バセレイルがもう一人居るではないか。
「全く失礼な話しですねぇ。私に化けるならもっとおしとやかな態度にしてください」
そう、さっきまでオレと話していたのは、国は分からんが、我が国とリゼルアを仲違いさせようとした間諜だったのだ。
全く、バセレイルの様な美人を、オレが見間違える訳無いだろう。
尤も、偽バセレイルとご対面したのは、今回が初めてであったがな。
本当のバセレイルは、先ずは目が冷たい。
しかも、隠れSの様な感じがしてならない。
その上、極めて冷静だから、オレのこの程度の脅しなんかでビビったりはしない。
それに、もう半分は我が国に染まっている様なものなので、我が国に不利益な事は絶対しない。
但し、リゼルアの優先順位が上なのは仕方がない。
「陛下。何か失礼な事考えてませんか?」
相変わらず鋭い奴だ。
「さてバセレイル。この偽バセレイルをどうしてくれようか」
「陛下。その間諜を偽バセレイルとか言うの止めてください。何か私が嘘つきみたいな感じがするでは無いですか。兎も角、身柄はこちらで預かります。本国に連行して背後関係を洗い出します」
そう言うと、バセレイルは間諜を引き摺って、執務室を退室した。
「陛下。そんな事を考えていたのですか?」
翌日、オレはバセレイルに詰問されていた。
「何の事だ?港の事か?」
オレは、取り敢えずしらばっくれてみる。
「違いますよ。エーベレンスとの事ですよ」
「それこそブラフだろう」
あの、偽バセレイルを嵌めた作戦は、多分にアドリブが含まれていたのだが、ほんの少しは本音が混じっていたのは否めない。
ホントに鋭い奴だ。
「本当ですか?」
「オレとリルーエット嬢は同郷の間柄だ。そんな事する意味が無いどころか、我が国にとって不利益にしかならない。それよりどうなんだ?」
バセレイルがあまりに鋭いので、話題を変えてみる。
「港の事ですか?当面無理ですね。我がリゼルアとしても、海上の勢力圏を構築したいのですが、何分ラナバルラントへの持ち出しが多くて、資金をこちらに回して貰えないのですよ。エルベリアの税制の改革をしても、効果が出てくるのは来年以降になりますから、港の件はそれからですね」
「木材の売却金は残って無いのか?」
「確かに、5万ディナール程残っていますが、これは何かの時の為に残しておきたいので、港湾開発には回せませんので悪しからず。今年から着工したいなら、早くミスリル銀の鉱山を稼働させて、その鉱石の売却益を充てにするしか無いですね。ちなみに、現在の木材の切り出しは、日産で10本程度ですので、月に750ディナールの儲けにしかなりませんから、充てに出来ませんよ・・・まさか!?」
「そのまさかだ。バセレイルも、リゼルアは海上の事に意欲的。なのだろう?それなら、少しずつでも取り掛かった方が良いのではないかな?」
「確かにそうですが・・・・・・分かりました。何とかしましょう。それより一つ懸案が有るのですが・・・」
何だ?あのバセレイルが歯切れの悪い。
「どうしたのだ?」
「人口の件ですが。エルベリアは年内には、総人口が五万人を超えます」
「良い事ではないか」
「本来ならそうなのですが、今回はその内容が問題でして・・・エルベリアに流入する者の七割は、西隣の国であるカボベレンスから流れて来ていると思われます」
「カボベレンスと言えば、この大陸の南部領域の雄ではないか」
「そうなのですが、私がこちらに来る少し前に、革命が起きて、ドロレンス王朝が倒れてしまったのですよ。それ以降、国内には粛清の嵐が吹き荒れて、ラナバルラントにも多数のカボベレンス難民が流入しているので、今、ラナバルラントでは、その難民の対応を巡る問題が、最大の懸案となっています」
「・・・難民。という事は着の身着のままの者が多いという事か」
「着の身着のままというか、命からがら逃げて来た。と言った方がいいですね。今は、西に在る、バハラスという村の近くの荒れ地に、五百名の兵士を向かわせ、難民の為のテントを張らせて対応していますが、カボベレンスは我がリゼルアの三倍以上の八千万の人口を誇る大国ですが、リゼルアの間諜の報告に拠ると、カボベレンス国内では、革命が起きて一年も経っていませんが、既に50万人以上の人が粛清の犠牲者となっていて、今後も増加の傾向の様ですので、周辺国へ逃れる難民は増える一方だろうと、私は予測しています」
「リゼルアも同じ見解か?」
「同様の見解です。ですので、戦後復興して行かねばならないラナバルラントにとって、相当の足枷になっていますので、リゼルアからの支援は無いものと思っていてください」
「まぁ、それはそれで仕方がないな。そもそも、リゼルアの支援は無い方がいいがな・・・となると、ミスリル銀鉱石は買い取り出来るのか?」
「それは、多少なりとも減少せざるを得ないですね。出来たら、同額の旧式銃との交換をして頂けると助かります」
「旧式と言うと?」
「マスケットになります。ミスリル銀鉱石10キロに付き一挺で」
「いや、5キロだ」
「せめて8キロ500で」
「6キロだ」
「陛下も商売上手ですね7キロ500」
「鉄や石炭はどうするんだ?6キロ200」
「うぅ・・・それを言われると・・・分かりました。それで手を打ちましょう」
ウム。中々良い買い物をしたな。
バセレイルは苦笑いをしていたがな。
現状では、ミスリル銀鉱石等の、お金に依る売却は多少減らざるを得ないが、その分マスケットを入手する事が出来る様になった。
銃の文化自体は門外不出なので、我が国が入手するには、闇商人からリゼルア産のを入手するしかないが、価格が一挺90ディナールからというから、数揃えるには莫大な資金が要る。
しかし、今回の契約では、マスケット一挺当たりの価格がミスリル銀鉱石6.2キロという事なので、ミスリル銀鉱石の現在の価格は1キロ4ディナールで取引されているので、マスケット一挺当たりに換算すると24ED800EDMという事になる。
ブローカーから買う時の値段の三分の一以下で入手出来る。
現在、我が国の兵力は、
槍歩兵800
弓歩兵400
騎兵50
工兵60
輜重隊90
以上1,400人だが、内1,100人分の銃は、近々無償支援を受けるので、残りの150人分を購入すればいい訳だ。
これを、ミスリル銀鉱石に換算すると、1,116キロとなる。
1トンちょいか。まぁ、採掘量は増加傾向だから、そう遠からず達成出来るだろう。
バセレイル曰く、
「マスケットなんて、スナイドル銃の配備が進んでいるリゼルアでは、無用の長物なのだから、全部こちらに回してくれればいいのに、ホントにサラ女史は・・・」
と、半分愚痴っていたが・・・
どうやら、サラ女史という人物が、リゼルアの財布を握っているみたいだ。
バセレイル「ここまでありがとうございます。誤字、脱字などございましたら、お気軽にお知らせくださいませ。漸くへぼ作者の顔を見ないで済むのは有り難いですね。それにしても、我が祖国リゼルアは難民に悩まされる歴史ですね。異常気象に因る環境難民に始まり、今回はカボベレンスから脱出する政治難民。更に今回のそれはエルベリアにも影響が出ていますので、上手くやれば国力増強になりますが、下手を打てば治安の悪化延いては内乱に繋がりますので、対応は誤れないですね。次のお話しですが、私が陛下と一緒に国内視察行脚の旅に出る。というお話しです。主にラナエル街道沿いを中心に視察するのですが、さてどうなる事やら・・・それでは今後とも、ガルダフェリナ年代記をよろしくお願いします」




