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ガルダフェリナ年代記  作者: 常世神命
ティべリア王国編 一章 マリーの内政
23/32

六話 ギッテリア領の開発が思わしくないわよ

べリアル「いつもありがとうございます。えー、1ヵ月ぶりの更新になり大変申し訳ありません。ヘボ作者には色々言いたい事はあるけど、巻きでという事なので、前書きは割愛致します」








「うーん」


 わたしは今、メニューから地図を呼び出して、その画面とにらめっこをしている。

 あれから更に半月程経ち、アルカーラルの人口は300人程、ギッテは1,500人程、セジュレクトが200人程と、ギッテリア領の総人口は2千人を少し超えた程度になった。

 最初が、50人程しか居ないギッテだけだった頃にくらべれば、製鉄産業のお陰で、少しずつではあるが発展して来た。


 鉄鉱石の還元用の炭の調達は、半月程度では好転なぞしない。

 高炉の建設も、試験炉型を1基増やしただけで、商用型の建設は未だ出来ずにいる。


「マリー様。お茶が入りました」


 ルチアがお茶を入れてくれる。


「もう、そんな時間なの?」


「七つ刻の鐘が鳴ってから、半刻程経っております」


 六つ刻が鳴った事すら気付かなかったわ。


「根を詰め過ぎますと、お身体に障りますよ」


「ありがとうルチア。気を付けるわ」


「ところで、何をそんなに悩まれておられるのですか?」


『鉄鉱石の精錬用の、木炭の調達が思わしくないからですよルチア殿』


 入室して来たバベレヘムが代わりに説明してくれる。


「左様にございますか。確かに、父上の領地では木炭の価格が昨年より3割程高くなっていましたね。マリー様の父君の領地より南に位置しているとは言え、冬の朝は寒いですから、少なからず、暖房用の木炭は必要になりますので、これから冬になりますから、更に価格は上がりますね」


 石炭が現状で入手出来ない以上、製鉄には木炭を使用している。

 木炭は、いろいろバッティングしている項目も多く、なかにも、冬期の暖房用に使用するのが大きい。

 このギッテリアでは不用な物だが、ルチアの実家のクッカル男爵領や、マリアディアの実家のマウガン伯爵領は優に及ばず、王国北部の冬は青森県並には寒いので、木炭は必需品であり、その有無は死活問題に繋がる為に、生産量には王国も関与してはいるのだが、この製鉄事業の影響の煽りを受け、晩夏にもかかわらずその不足を指し示すかの様に、木炭の価格が上昇している。

 なので、このまま事業を拡大して行けば、木炭の不足は深刻化し、王国の経済に影を落とす事になりかねず、そうならない様にするならば、アルカーラルの製鉄所の一時閉鎖も考慮に入れなければならず、それは、製鉄事業を経済の根幹としたアルカーラル、ひいてはギッテリア子爵領の衰退を意味する。


「そうなのよね。そうなると、庶民の生活に影響が大きいわね。やっぱり石炭を早急に探さないとならないわね」


 以上の事から、石炭の発見及びその利用は、後数ヵ月の内に開始出来なければならず、それでわたしは地図とにらめっこしていた。


「石炭?」


 知らぬ名なのか、ルチアは首を傾げる。


『ルチア殿。燃える石でございますよ』


 ルチアの疑問にバベレヘムがそう答える。


「燃える石ですか?・・・・・・確か・・・以前、王都で見掛けましたわ」


「えっ!?王都で?」


「はい、確かに。あれは・・・2年程前でしょうか、マリー様の元を離れ、王都に買い出しに行った時の事です。スークで外の鉱石と一緒に売られていました。店主が大仰に触れ込んでいましたので覚えています」


「どこ産が聞いてみたかしら?」


「いえ、目的の店ではなかったですので、素通り致しました」


「そう。それは残念だわ。とするなら、一度王都に行ってみる必要があるわね」


 わたしは居ても立っても居られず、早速、馬車を仕立て王都に向かう事にした。







「新鮮な葉物野菜が入ったよ」


「この果実は甘くて濃密だよ」


「アルド産の組み木細工はいかがですか」


 わたし達は、アルカーラルから8日を掛けて、王都であるアルベレスに到着し、王都で一番大きいスーク・アル・シューゼに来ている。

 スークというのは、アラビア語で市場を意味する。

 ガルダフェリナ年代記では、結構いろいろな外国語の単語が使われているが、基本その都度説明で詳細は割愛する。


 王都アルベレスは経済の中心地という事もあり、この、スーク・アル・シューゼは大変な賑わいを見せていた。


「おじさま。何か良い物は無いかしら?」


 わたしは、そのスークを見回る中、とある木工品を商う露店が目に留まったので、その店主に声を掛けてみる。


「おっ。お嬢ちゃんお使いかい?それなら、このアルド産の木材で(こしら)えたボウルはどうだい?産地アルドの職人が仕上げた一級品だよ」


 店主は、いろいろある木工品の中から、ボウルをこちらに売り込む。

 アルドというのは、王国北部にある子爵領で、木材や木工品が有名だ。

 アルドの木材と言えば、高級品の代名詞とも言える程の物だ。

 実家の家具は、全てこのアルド産の木材を使って作られていた。


「おいくらかしら?」


「お嬢ちゃんは可愛いから、本来400ディルハムの所、おおまけに負けて300ディルハムでいいよ」


 木材としては一級品なので、木材加工品は(すべから)く高級品だ。

 店主に勧められた、このボウルだって、百均に売っている様な小振りな物なのに300ディルハム(約3,000円)もする。

 ほかの産地の物なら精々30ディルハムもすれば、高級品と言っても差し支えない。

 いい品物をより安く・・・などと言う時代ではないので、価格の高い物は全て良い品物と言っていい。

 王都での、一般的な庶民の月収は、凡そ2から3ディナール(約3万円)程だから、おいそれと購入出来る筈も無く、アルド産の木材を加工した品物は、専ら、貴族や富裕層向けと、周辺国に輸出されている。


 アルド産の物は木工品と言えど、庶民がおいそれと買える様な代物ではない。


「そうなのですか?でしたら、そのフォークを5本付けて400ディルハムではどうかしら?」


 フォーク1本の価格は60ディルハム。

 値引き無しなら、総額700ディルハムする所を、300ディルハムも負けさせようとしている訳で、店主も苦笑いせずにはいられない。


「おいおいお嬢ちゃん。そりゃあちょっと厳しいぜ。550ならいいぞ」


「450」


「・・・むむ525」


「505」


「・・・はぁ、お嬢ちゃんには敵わねぇな。それでいいぜ」


 気疲れした店主にお金を渡し、競り落とした品物を受け取る。


「ありがとうおじさま。それで、ついでだけど、その後ろの衣装ケースと宝石箱も頂こうかしら?」


 わたしがそう言うと、店主は驚きの表情になる。


「ちょっとまて、お嬢ちゃんあんた一体何者だい」


 驚いたのも束の間、途端に店主はこちらに疑いの目を向ける。

 そうなるのも、衣装ケースは230ディナール、宝石箱は610ディナール、総額で840ディナールもする。

 地方の農村の農民の凡そ60年分。

 王都の庶民でも凡そ20年分に相当する金額なり、いくら貴族の令嬢と言えど、そうポンと支払える額ではないのでそうなるのも無理も無い。

 仕方ないので、店主に身分を明かす。


「・・・お嬢ちゃ・・・お嬢様は子爵様であられましたか」


「おじさま。お嬢様とか柄じゃないし、言葉遣いも今まで通りでいいわよ」


「そうかい。そいつはありがたい。それにしても、今、噂の若い子爵様がこんなお嬢ちゃんとはな・・・おっと、挨拶がまだだったな。アルド子爵と言えばオレの事だ。オレを呼ぶ時はクライムと言ってくれ」


 店主・・・クライムのカミングアウトに、今度はわたしが驚いた。







「そうそうおじさま。燃える石って聞いた事無いかしら?」


 石炭の事を、クライムに聞いてみる。


「燃える石かぁ・・・そう言えばお嬢ちゃんは鉄を商っているんだったな」


「そうよ。その燃える石を蒸し焼きにして、製鉄に利用しようと思っているのよ」


「・・・そう言えば、オレん所で出たって話しを聞いたなぁ」


「えっ!それホントなの!?」


 あまりの事にわたしは興奮する。


「おいおいお嬢ちゃん。そう興奮するなって。確かお嬢ちゃんって、白銀伯の娘さんなんだよな?」


 白銀伯というのは、わたしの父親であるマウガン伯爵の事で、なんでも、10数年前の戦役の時に、王様から貰った、公式な二つ名らしい。


「そうよ。それがどうしたの?」


「ああ、それなら、マウガン伯爵領でも出たって聞いた事あるぞ。何でもって話しなら考えなくもないけど、それよりは親父さんに聞いてみたらどうだ?」


 灯台もと暗しとは良く言った物ね。

 まさか、父親の領地で出るとは思ってもみなく、ショックに片膝を着く。


「え、ええ。おじさまの所がわたしの所の正反対の方向でも、燃える石は出来るだけ欲しいから、おじさまの所で出るなら、融通して欲しいけど、よろしいかしら?もちろん輸送はこちらで請け負うわ」


「おお、それなら構わないぜ。どれだけ出るか分からないから、量は確約出来ないが、オレの所で出る分は全て売ってやるよ。その代わりと言っちゃ何だが、鉄製武器を回して貰えないかな?」


「毎年、国軍に一定量の鉄製武器を納めなければならないから、それ以上の3分の1なら回してあげれるわよ」


「そいつは助かる。けど、燃える石はそんなに使えるのか?」


「ええ。燃える石を蒸し焼きにした物をコークスって呼んでいるのだけど、木炭の代用品になるわよ。但し、木炭を使うより高温になるから、それ相応の耐熱性のある炉が必要になるけど、製鉄に木炭を使わなくてよくなるわ。兎も角、これ以上の生産の拡大を図るなら、木炭では価格が高くなる一方になり、庶民の生活、いては王国経済に影を落とす事になりかねないわ。それは、本末転倒もいい所。わたしだって望まないわ」


「だが、それだと帝国が宣戦して来た時、抗戦出来ず飲まれるしかない。だから、その燃える石が早くたくさん欲しい・・・という事か」


「そう言う事よ。但し、鉄の可能性は武具だけに留まらないわ。建築にも、輸送にも、多方面に今後必需品となって来るわ。それに、残された時間も限られている」


「・・・えっ!?・・・まさか!」


「数年内に帝国は侵攻して来るわ・・・マウガン伯爵領を三圃制を導入して、富ませるのに3年。クッカル男爵領では1年半。ギッテ鉱山から、鉄鉱石の商業採掘を開始するのに半年。アルカーラル等の町の造営に半年。アルカーラルに製鉄所を設け、製鉄事業を本格的に始めたのが、今から3ヵ月前。帝国が侵攻して来るだろう事は、分かってはいたのに、余りにも時間が掛かってしまったわ」


「な、何言ってんだいお嬢ちゃん。オレがこの王都で露店を出す様になってから、ここ最近は景気の良い話しを良く聞く様になったぜ。オレから見れば、敵こそ倒して無いものの、お嬢ちゃんの成した事は、間違い無く偉業と言ってもいいから、誇るといいぜ。しかし帝国かぁ・・・話し半分としても、数年内に攻めて来るのは確実か。そうなるとウチでも今から色々準備しないといけないな。幸い、お嬢ちゃんに色々買って貰えたから、後はここで色々仕入れて帰るだけだから、明後日にでも帰れるな」


 確かに色々買ったわね・・・千ディナール程になるけど。


「おじさま。それなら、帰領する際にわたしもご同行してよろしいでしょうか?」


「・・・そうか。おう、問題無いぞ」


「ありがとうございますおじさま。それでは、こちらも準備致しますので、お暇しますわ」


「それじゃあ、明後日の朝の三つ刻頃に、西の城門前で待ち合わせでいいか?」


「承知致しましたわ」


 そうしてわたしは、アルド子爵領に向かう事になった。








マリー「ここまでありがとうございます。誤字、脱字など有りましたら感想欄にお願いします。それでべリアル、アルド子爵領に向かう事になったけど、どうなのよ」


べリアル「え?そりゃ【ネタバレ】ですの一言だよ」


マリー「他人事だと思って・・・」


べリアル「他人事だしw」


マリー「草生やさない様に」


べリアル「イヤ、ネタバレで話せ無いのは分かっている筈なのに、聞いて来るんだもん。そりゃ草も生えるよ。そうそう、尺がないんで、それでは、今後とも、ガルダフェリナ年代記をよろしくお願いします」







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