二話 開拓する事にしたんだが・・・
ベル「いつもありがとうな・・・ほんとにこの国は無い無い尽くしだな」
セフェラ「初期設定が大国に囲まれた弱小国だからね。この場合国とは名ばかりだけど・・・」
ベル「だからと言って、何もしない訳にはいかないだろう」
セフェラ「まぁそうなんだけどね」
ベル「製塩事業では税だけしか取っていないから、元手も中々集まらないぞ」
セフェラ「ねぇ、この国の八割以上を占める物は何?」
ベル「森林だが・・・そう言う事か」
セフェラ「今回はそう言うお話し。それでは第二話逝ってみよう♪」
国内にお金を回る様にする。
と言っても、即効性が有り、かつコスパのいい案は、そう簡単には思い浮かぶ訳が無い。
ふと、執務室の窓から外を眺めると、鬱蒼と生い茂る大森林がそこには在った。
この王国で森林の割合は、実に八割を超える。
つまり、この森林の木を木材として輸出出来れば、手っ取り早く資金が調達出来ると共に、国民をその労働者として雇用する事で、国民にお金が行き渡る。
当然、重機やトラックなどの様な物が無いので、全て人力だ。
尚且つ、四国程の大きさの王国の八割を占める森林を開発するのだから、六千人足らずしか国民の居ない我が国では、当然開発する限界は有るが、言い替えれば、向こう何年後も森林開発事業の仕事が無くなる事は無いという事だ。
これで、切り出した木材に良い値が付けば言う事無しなのだが・・・
王宮とは名ばかりの、オレの屋敷の出入りの商人に問い合わせた所、内陸の二ヵ国に持って行ければ、高値で売れるとのこと。
ここ二ヵ月の間に、雇い入れる事が出来たバセレイルという女性に、この仕事を割り振る事にする。
「陛下。お呼びとの事で」
バセレイルは、オレの前で頭を下げる。
バセレイルは、背は0.9セル(約180cm)弱で、引き締まった体つきだが筋肉質という事ではなく、かと言ってひょろっとした感じも無い。
髪は、膝まで有る長い髪をポニーテールにしていて、色は深紅だ。
・・・おや?よく見て見ると、胸の辺りが・・・
「ウム。忙しい中、来て貰ったのは他でもない。バセレイルお前にある事をやって貰いたいと思っていた所だ」
「それでは、どのような内容でしょうか?」
・・・おやおや?声をよく聞くと、男性にある様な低音が感じられないぞ・・・
「あ、ああ、今度、この王国内の森林の木を木材として、内陸国に輸出したいと考えている。その総責任者をして貰いたいのだが、どうだろうか?」
・・・むむ・・・益々バセレイルが男には見えなくなって来たぞ。
「そうですね。現状の貧困から抜け出すには、手っ取り早い手ではありますね。隣国のエーデレンスに輸出するのもいいですが、その先のザルヘルバにまで運べれば、途端に化けます。費用対効果を見てもそれが一番いいのですが、いかんせん、我が国とエーデレンスとの間には友好的な条約が締結されていません。なので、エーデレンス側がそう易々とザルヘルバに行かせてくれるとは思えません。但し、エーデレンスに輸出するのであれば彼の国は快く受け入れてくれるでしょう。本来ならラナバルラントを経由してザルヘルバに輸出出来れば一番いいのですが、そもそも、ラナバルラントに通じる道が有りません」
バセレイルは、何かとんでもない事情通なのだが・・・
「という事なら、森林を切り開きながら、切り出した木材をエーデレンスに輸出しつつ、ラナバルラントへ通じる道を作ったらどうかな?」
「そうですね。将来的にはそれが一番いいでしょう。近々ラナバルラントはザルヘルバの属国になる様ですし、上手く行けば鉄道という新たな交通手段を手に入れる事が出来るかも知れません」
えっ?バセレイルは今何て言った?
鉄道だと!?
オレの記憶違いで無ければ、ゲームで言えばスタートしてまだ半年も経っていない時点で、蒸気機関の製作まで漕ぎ着けている国は皆無で、あの北の大国ディルハリア帝国でもまだ百年以上先の話しだぞ!
「バセレイル。今、鉄道とか言わなかったか?」
オレはバセレイルに確認を取ってみる。
「ハイ。確かにそう申しましたが・・・ああ、あと、近々ザルヘルバ王国の首都ザールラントから、ラナバルラントの首都ファルフォンテまでの鉄道が開通するらしいですね。ファルフォンテから我が国との国境まで凡そ5万セル(約100km)程しかありませんので、ファルフォンテまでの鉄道が開通する事が確実ならば、森林をある程度の幅で切り開き、早急に整備する事が必要になりますね」
・・・バセレイルが何か頭の痛い事を言ったぞ。
「つかぬことを聞くが、ザルヘルバ王国の首都はラグザーブルグではなかったのか?」
「ええ、確かに数年前までの首都はラグザーブルグでしたが、内陸部で起きた大干ばつの影響で、当該国とラナバルラントの間に戦争が発生し、その後中央で政変が発生。その際、前政権からリルーエット・リネルメが王位を禅譲され、国王の座に着き、首都を自身の領都であるザールラントに遷都しました。ザルヘルバ王国は今、最も大陸で勢いのある国だと言っても過言ではありません」
バセレイルは、オレの問いに淡々とそう述べる。
・・・ゲームの設定と全く違っているではないか!
そもそも、リルーエット・リネルメと言えば、ザルヘルバ王国では戦名人と言われたガレンダール・リネルメの娘であって、王位どころか、領主にすらなっていなく、リネルメと言えば、我が国と同様の貧しい所の筈だが、こうなって来ると、オレのゲームの知識もいよいよ怪しいなぁ・・・兎に角、無い無い尽くしの我が国だから、やれる事は限られているので、やるべき事を一つ一つこなすしかないな。
「バセレイル。よく分かった。当面の間、ラナバルラントとの国境までの街道の整備とする事にしようと思う。委細頼むぞ」
「御意にございます」
バセレイルは方膝を着き、オレに礼をする。
さて、当面の目標も出来た事だし、ここで前々から懸念していた事を聞いてみよう。
「バセレイル。つかぬことを聞くが、お前は男か?」
ああ、遂に聞いてしまった。
・・・あれ?バセレイルの様子がおかしいぞ。
何か小刻みに震えている・・・地雷を踏んでしまったか!!
「フフ、陛下は私の事を男だと思われていたのですね?いいえ、私は女性ですよ。確かに私は女性からしたら高身長だし、その・・・女性らしき膨らみもあまり有りませんので、間違われても仕方ないかと」
小刻みに震えていたのは、笑っていたからか。
確かにバセレイルは慎ましい胸ではあるが、デカければいいって物ではないし、オレ的には、キャリアウーマンって感じに見えて、実は、どストライクなのだがな。
「つまらない事を聞いた様だ。忘れてくれ。それで相談なのだが、外交関係に詳しい知り合いは居ないか?・・・その、ザルヘルバ王国の事が気になってな、接触を図りたいのだが、どうだろうか?」
オレは、ザルヘルバ王国の変わり様が不自然過ぎて気になってしまい、それとなくバセレイルに聞いてみる。
「それについては問題有りません。リル様のお言い付けで、私がこちらに派遣されたのですから」
バセレイルは、オレに微笑みながらそう告げる。
今日、オレは何度驚かせられたか分からないが、この言葉が一番驚いたのは確かだった。
バセレイル「ここまでありがとうございます。誤字、脱字などございましたら、お気軽に感想等にてご連絡下さいませ・・・陛下。こいつは誰ですか?」
ベル「いやいやいや。一応セフェラは作者なのだから、その言い方は不味いぞ」
バセレイル「リル様やベリアル閣下からは色々聞いてまして・・・」
セフェラ「こっちでは、お手柔らかに頼むよ。イルちゃん」
バセレイル「っ!!私をその名で呼ぶって事は、あの時の人だったのですね」
ベル「バセレイルが涙ぐんでる・・・しかし、イルちゃんかぁ」
バセレイル「たとえ陛下でも、その名で呼んだら怒りますよ」
ベル「分かった分かった。その名は使わんから、そう怒りなさんなって。早い話しセフェラが悪いんだろ?」
セフェラ「え?アチキ悪者?」
バセレイル「今更気付いたのですか」
ベル「・・・バセレイルもその辺にして・・・それでは今後とも、ガルダフェリナ年代記をよろしくお願いするぜ」
バセレイル「ブックマークや評価等頂けましたら、幸いに存じます」




