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誰も知らない勇者紀行。  作者: c/1-0@斜の廃塔。
1:始まりの森。
8/40

1-5:太古の狼。

 ……ぜぇ……ぜぇ……(言い表せない疲労感。


=1761字=

  

 先ずは小枝などを踏んで音を立てない様、二人で慎重に接近する。

 しかし歩みは速い。

 カエデは足を地面に着けない様にする魔法【Air(エアー) Floating(フローティング)】、ケンは接触面への圧力を減らすスキル【異面積合わせ】を使用している為だ。


 お陰ですぐさま敵を視認できる所まで着いた。

 隠れる為木の上に飛び上がり、敵の観察を始める。


 敵の頭上5m程から、ケンがスキル【審議】を使って敵を確認する。


 (ウナ)り声を上げながら、三頭の狼の様な獣が茂みの中を闊歩している。

 二頭は全身が黒い毛に覆われていて、爪は長く、脚の筋肉は歩く度に強く脈動している。

 先頭を大きな足跡を刻みながら歩く、群れの中でも一際巨大なリーダーらしき個体が居る。

 体長は5m程だろうか。

 黒い体毛に金色の毛が横一文字に入り、リーダーの威厳を際立たせている。

 肉食系特有の牙は口から大きくはみ出して伸びている。


《ゲーム上にも居た『太古の狼(エンシェントウルフ)』だよね。》

《ああ、【審議】の結果もそう出ている。

 決まり、だな。狩るぞ。》


 相手に気づかれないよう、全職業共通スキル【言霊】を使い、戦闘の是非を決定した。




[グッ!?]


 突然『太古の狼(エンシェントウルフ)』が首を上げ、辺りを見渡し始めた。


《気付かれ始めているな。流石に近付き過ぎたか。

 よし、俺が先に右側に飛び出てリーダー格の個体を惹き付ける。

 お前は残りの取り巻きを頼む。》

《了解!》


 ケンが指を三本立てる。


《いくぞ。》


 立てた指を、3、2、1、と畳んでいく。

 そして0になった時に、


《Go!》


 木の枝を強く蹴り、(ワザ)と相手の注意を惹く様に飛び出すケン。


[ガゥ!!?]


 『太古の狼(エンシェントウルフ)』は突然眼前に現れた生物に驚く。

 一瞬身体を硬直させたかと思うと、呻り声を上げながら対象を見定めようとする。


[グルルルルルル………]


 ケンは鈍く光を反射する大剣を前方に構え、地面に着く足裏に力を準備する。


(さて……、コレを使えばどう出るかな。)


 ケンはスキル【無力の攻撃】を発動させる。

 【無力の攻撃】とは相手に幻覚を見せるスキルだ。


[グ…………ッ、グウウアアアアアアア!!]

 

「ち、やはり駄目か。」


 余り強力なスキルではないので、相手によっては弾かれるのだ。


「まぁこんなスキル使わなくてもいいんだがな。

 次はエンチャント系スキルを試すか。」


 ケンは大剣を水平になる様、ゆっくりと構え直す。

 

「【水平の構え】【不動の構え】【無機の構え】、スキル三重解放。」


 水平の大剣から青い光が周囲に吹き出し、剣自体が青く光っているかの様だ。

 地に着く脚は一切のブレを捨て、身体はまるで息まで止めている様に穏やかだ。


「…………いくぞ!」


 不動から一気に加速。

 動いた方向はケンから見て右前。

 速度は刹那にして人間の限界を超える。


[ガウッ!!?]


 太古の狼(エンシェントウルフ)からは突然として眼前から消え失せたかの様に見えた。


 跳躍した衝撃で地面が抉れ、土煙が視界を奪う。


 ケンはリーダー個体の周りをグルグルと走りながら取り巻きと引き離す。

 引き離しを始めてすぐにカエデが魔法を射ち、取り巻きを惹き付けた。


 50m程離したところで、ケンは走るのを止める。


[グゥ、グワアアアアアアアア!!]


「……さて、コレでお前は独りだ。

 我が望む姿に変化せよ『Vary(ヴェーリ)』!」


 ケンの言に呼応して大剣は瞬く間に粒子へと分解される。

 分解された粒子はケンを取り巻くように旋回し、一筋の円を描く

 そしてすぐさま粒子は収束し、一つの新たな武器へと『変化』した。


「……『長刀モード』変化完了。」


 大剣だった『Vary(ヴェーリ)』は、3m程もある細身の長刀に変わった。

 相当の重さであろうその長刀を、ケンは片手で正面に構える。


「やはりこの武器は細身の方が綺麗だな、色が濃い。」


 漆黒の剣が青色のベールに覆われて、不気味かつ神秘的な装いを見せる。


[グワアアアア!!!] 


 余裕を見せるケンに対し、太古の狼(エンシェントウルフ)が猪突猛進に前足爪を光らせ襲いかかる。


「不利な者は不利である程慎重にいかねばならないと言うのに······所詮は畜生か。」


 数瞬、太古の狼(エンシェントウルフ)の視界からケンが消える。


 自分の後ろにケンがいることに気付く頃には、長刀が体内を通りすぎてしまっていた。













一週間後2/20[1-6]公開予定。

いま書き疲れているので恐らく遅れるでしょう。

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