1-2:野営準備。
お待たせしました。
二ヶ月経ってるぅ。
=1984字=
今ケン達が居る場所は辺りを木で囲まれており、どちらへ行ったら森を抜けられるかなど、見当も付かない。
この泉は湧き水らしく、且つ何処にも流れ出してないので、川を辿る方法も出来ない。
そして先の議論に時間を使ってしまった為か、日が沈み始め、赤い夕日の光が辺りの木々を照らすようになっていた。
「今日出発するのは無理そうだな。」
ケンは夜が近い事を察し、今日の行動は止そうと提案する。
「でも寝床も何も無いよ、日が落ちたら真っ暗だろうし。」
「如何にかして火を点けられないか? 火があれば動物避けにもなる。」
「…………魔法であったよね、火を点ける奴。アレ使えるんじゃない?」
「【match】か……使えるのか?」
「聖騎士だからね、大抵の魔法は使えるよ!」
「それは頼もしい、右も左も判らない世界だからな。」
「えへへ~♪」
議論の副産物として、魔法やスキル等のゲーム要素は健在であることが判った。
使用時の感覚に若干の差異があるものの、二人とも特に問題なく使えることを確認した。
つまり二人の戦闘手段が、所持している剣一振りずつ、魔法、スキルと言う事である。
「じゃあお前は日が沈みきる前に薪拾いに行ってくれ。
俺は食料を調達してくる。」
「は~い。」
「知ってると思うが、下に落ちている乾いた奴を取ってきてくれよ。
生えてる木の枝はいらん、持ってこられても水分で燃えないからどうしようもない。」
「は、はーい。」
若干不安な返答を残して、カエデは薪を拾いに行った。
「…………さて、この森は一体何がとれるんだか。」
ケンは周りを見渡すも、果物の様なものは見当たらない。
その後、木の下の草などが生えている所を調べ始めた。
するとある木の下で茸の群生を1つ発見した。
「…………食えるのか、コレ?」
しかしそれはケンが見た事が無い茸であった。
そもそも茸は素人が採取する食材としては余りにも危険である。
テングタケ、カエンタケなどであったら目も当てられない。と言うか運が悪ければ死ぬ。
ケン一応採取したものの、コレを食べなくても良い様に別のものも探し始めた。
しかし少し森の中深くまで行っても、見付かるのはこの茸の仲間達のみ。
動物の気配もないので狩の仕様もない。
そうしてケンは採集を諦めて、泉まで戻ってきた。
周囲を見渡すがカエデの姿は見えない。未だ薪拾いから帰ってきてないようだ。
「さて、どうするか。」
泉の淵に座り、近くにあった石を手で弄びながら、ケンは水面を眺める。
「……俺も薪拾いでもしておくか。」
少しした後、ケンは思い立った。
そして持っていた石を泉に投げた。
石は放物線を描きながら水面に飛ぶ。
[ぽちゃん]
「…………ん?」
ケンは水面に広がる波の下に素早く動く影を捉える。
「……お。」
ケンは口角を若干上げ、あるスキルを発動させる。
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「ケンただいまぁー! お腹空いたよぉ~。」
「よし、取ってきた薪は此処に置いてくれ。」
ケンは大小の石を組み合わせて出来たサークルを指差して言う。
その周囲には串刺しの魚が4匹立ててあった。
「おぉ~魚じゃん。その泉に居たの?」
「ああ。だが他に食料になりそうなものは見当たらなかった。」
「その茸は?」
「…………食うのか?」
「…………うん、やめとく。」
流石のカエデも得体の知れない茸は食べようとしなかった。
そのような会話をしつつ、ケンはカエデが拾ってきた薪を選別し始めた。
「…………なにしてんの?」
「薪は種類毎に分けて使うものだ。燃焼性、持続性に差があるからな。」
「へぇー。」
「まぁ見とけ。」
選別が終わり、ケンは薪組みを始めた。
薪の中でも燃えやすいものを選び、それを三角錘状に組み、枯れ葉を少し足した所でカエデに火付けを頼む。
「いくよー、【match】!」
カエデの指先にライター程度の火がつく。
「熱くないのか、それ。」
「熱は感じるけど、火傷するほどじゃないかな。」
そう言いながら、カエデは火のついた指を振る。
するとその遠心力により火が指から離れ、薪組みへ飛ぶ。
火種は枯れ葉に当たり、瞬く間に火がついた。
薪を追加しつつ火力が丁度良くなった頃、
「……よし、魚焼くか。」
ケンは串刺しの魚を上手く火が当たるように周囲に並べる。
「焦がさないでよね。」
「焚き火で焼くのは火力が安定しないから難しいんだ。
もしかしたら焦げるかもな。」
「まじですか。」
「気を付けていれば大丈夫だがな。」
その言葉を聞いてカエデは明らかに胸を撫で下ろした。
「…………ところでお前、この火触れるのか?」
「いや無理でしょ。如何考えても火傷するでしょ。」
「魔法使った時熱くないって言ってたのはどうした。」
「……? そういえばそうだね。
でも近くに居るだけで結構熱いよ?」
「訳が判らんな。」
ケンもカエデも頭の上に疑問符を浮かばせている。
「そうだ、もしかしたら熱いだけで火傷はしないのかもしれないぞ。」
「人の身体で実験しないでよ!」
一週間後1/30[1-3]公開。
もう書けてるので遅れる事はないです。