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誰も知らない勇者紀行。  作者: c/1-0@斜の廃塔。
4:対魔族戦争勃発。
35/40

4-2:敵の敵に敵あらん。

 遅くなったけど2,000字超えたから許して。


 因みに[艦これ]私には乙E2もクリアできません。大人しく丙にします。

 [俺タワー]は「頼光極×1」「頼光×1」装備の釈迦さんでウハウハです。



=2118字=


 視点移動と言う初めての試み、長くなったのはコレのお陰。

 今朝の報告から自室に戻ったアリアとカエデの相談は、食堂に移動し未だ続く。


「…………で、お前は『魔族』の特性を聞いて何がしたいんだ?」

「んえ? 戦うんじゃないの?」


 カエデは素っ頓狂な声を上げる。

 戦う事になるだろうから聞いたのに、アリアはそんな事を全く考えていない様に思えたからだ。

 何故質問されたか判らないカエデに、ぶっきらぼうに返事をする。


「普通に戦っても『人族』には勝てないぞ。

 一般的な部分はそう大差ないにも拘らず魔法が上手いんだからな。

 一応人族側にしかない特性もあるにはあるが、まあそう大した数も居ないだろう。」

「ええ…………、そう言う種族って身体能力は低いとかじゃないの?」


 衝撃の事実を聞いて、背もたれに[ぐだぁ……]となるカエデ。

 

「エルフみたいのでも想像したか?」

「うん…………、そっち系だと思ってた。」

「…………まぁ、ゲームではそうだっただけでこの世界でも同じとは限らない。」


 『ゲーム』を聞かれては不味いので小声でそう言う。


「なんだ、じゃあまだ望みはあるんだ。」

「今までのエネミーを考えればほぼ確定していると思うけども。」

「…………そうだった。」


 一度は光明を見たカエデも、救いが無さそうだと気付き項垂れる。



「…………ん? 戦う気が無いんだったらどうするつもりなの?」

「逃げるのがいいかもな。」

「逃げるって、冒険者になるのはどうするの?」

「なれなくても別に問題は無いしなぁ。」


 元々、冒険者になろうとしていた理由は『ギルドでの特典』と『社会を知る事』だ。

 しかしそれは此処でなくてもできる事だ。

 隣国にも冒険者学校がある事は授業で聞いて把握済みだ。


「この国がどうなろうと正直如何でもいい。」

「つっめた。」

「付き合い数日だしなぁ。」

「…………そういえば未だその位なんだ。」


 正直二人にとってこの国は『外国』だ。

 戦争に巻き込まれる位なら逃げる事を選ぶだろう。




□□□

 視点変更[アリア、カエデ]⇒[対魔族戦争最前線]

□□□




 王国の辺境にある、とある軍事基地から100km、其処には万を超える人々が二手に分かれ集まっていた。

 片方の装いは黒。漆黒の鎧に金の刺繍が美しく輝く。 

 対する人々は蒼。深海が光を全て飲み込んだようなマントを各々が羽織っている。


 相対する二つの軍が膠着状態にある中、黒の軍、『エルト帝国軍』内でも一層煌びやかな黄金の刺繍で帝国軍旗を模したマントを羽織った者が、馬鎧を着た馬に跨り軍の先頭に躍り出た。


「我らは『帝国軍』である!

 其方は『魔族の住まう国:ラータン国』の方々と見受ける!

 軍を伴って我らが帝国領に向かう訳を答えて頂きたい!」


 携えた4m程もある槍を頭上に掲げ、『ラータン王国軍』に向け警告が発せられた。


 すると魔族軍から、3色の宝玉を抱えたフードの3名を引き連れ、1人の女性が出る。

 此方の代表は他の者と変わらないマントを羽織っているが、其処にラータン王国軍旗が刺繍されているのが他との違いだろうか。


「私たちラータン王国軍には、その問いに答える義務はないと心得る!

 理由(ワケ)が知りたければ己が胸に聞け!」


 双方一歩も譲らない。

 魔法で声を飛ばしていたが、先程の応対から一切その魔法を使っている気配はない。



「…………うむ、帝国軍も中々の数が居るな。」

「えぇ、そのようです。

 宣戦布告の前に既に準備が完了していたのでしょう。」


 ラータン王国軍の先頭に行った将軍の部下から報告を聞き、頭を抱える者が居る。

 顔を見るにかなり若い、20代程に見える。

 乱雑に短く切られた金髪を[ガリガリ]と苛立たしく掻き毟る彼は、ラータン王国王太子『ルーク』である。

 国王より前線の指揮を任され、此処に居る。

 

「……取り敢えず帝国側から攻撃がない限り此方からは何もするな。

 この戦争の目的は殺戮ではない。」

「了解しました。

 分岐した各地の将軍にも伝達しますか?」

「そうしてくれ。」

「はっ。」


 王太子の側近である彼は『プラント』だ。

 国王主催の試験で見事優勝した彼は、その能力を買われ、王太子ルークの側近となった。

 文武両道を求められるその試験で優勝した事は、農民の出では初だ。

 今彼は王太子の伝令を他の将軍に送る為、魔法で伝令を文字に変えている所だ。

 

(…………。)


 前方に居る、そんな自分の側近であるプラントを、王太子であるルークは馬上から眺めていた。


(彼は元農民だ。

 あんな富裕層のお遊びに駆り出さなければ戦争に巻き込まれる事もなかった。

 最低でもこの馬鹿げた戦争の最前線などに居る事はなかっただろうに。)


 彼の目には哀れみが映っていた。

 気付かぬ間に強く握り締めていた豪華絢爛な剣の柄、その手を見ると剣に施された宝石の跡が付いている。


(俺の言動に耳も貸さず、この剣を餞別だと言って押し付ける父も父だ。

 あの人は現実を知らなすぎる、只の傀儡だ。)


 今すぐにこの無意味の象徴たる剣を投げ捨ててしまいたかった。

 だか今感情のそのままに行動を起こしてしまえば、軍は崩壊するだろう。

 ルークにしてみれば戦争が終わるのだ、願ってもない事だ。

 それが魔族の大量虐殺に繋がらなければの話だが。


(俺に選択肢はない。

 戦争が始まったのなら勝つのみだ。)


 目から憂いの色を消した。

 しかし彼の左手には未だ宝石の圧迫痕が残っていた。


 1週間後8/21(金)[4-3]投稿予定。

 話が大きくなってきたからちゃんと考えないと矛盾魂になってまう……タスケテ。

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