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誰も知らない勇者紀行。  作者: c/1-0@斜の廃塔。
3:冒険者学校オルディカーブ支部。
32/40

3-8:1人で家具設置。

 寝坊しました、済みません。 

 罰として毎朝必ず起きて執筆する事にしてみます。


=1650字=

「じゃあ私はお風呂入ってくるけどアリアは来ちゃ」

「判った判った、絶対に行かないから。」


 アリアはカエデの方を向きもせずぶっきらぼうに言い放つ。


「絶対だからね!」


 最後までアリアに注意しながら、カエデは浴場に行ってしまった。



「…………全く、カエデはこう言う事だけは強いな。

 変わらないな、昔から。」


 そう言うアリアの視線は遠く、高い所を眺めていた。




□□□




「只待ってても仕方ない、家具でも置いていくか。」


 アリアは部屋の隅に積まれた家具の山を見つめていた。

 実は昨日買ってから未だ置いていなかったのだ。

 買い物後、疲れで寝てしまったので仕方ないとも言える。


(先ずはレールからいくか。)


 山から1mほどのレールを数本引っ張り出して部屋の中央に持ってくる。

 このレールは部屋を分断するカーテンを掛ける為に買ってきたの物だ。


 しかし1人で付けようにも、部屋の天井は高く、身長が165、170程度のアリアでは背伸びしようと手が届かない。


(台になるような物も無いし…………、アレを使うか。)


 そう言うと、アリアは何の躊躇いも無く階段でもあるが如く足を虚空に踏み出した。


[トン]


 すると踏み出した足は落下する事無く、アリアの身体を支えた。

 如何見ても其処に何かがある様には見えないが、確かに何か身体を支える物があるようだ。


[トン]


 アリアはそしてもう片方の足も同じ様に虚空を踏み、遂に身体を宙に浮かせた。


「うん、『結界』は使い勝手がいいな。

 …………しかし、宙に浮いているのは気味が悪いな、色は付けておくか。」


 そう言った途端、アリアの足元に白いガラスの様な物が生成される。いや、視認できる様になったと言うべきか。

 コレは結界だ。

 結界は宙に何の支えも無く生成することができる。

 しかも色は術者であるアリアが自由に変更できる為、透明な結界に乗っていたアリアがまるで宙に浮いているかのように見えていたのだ。


(…………色を付けても宙に浮いてるのには変わりないな、やはり気持ち悪い。

 とは言え地面まで結界を拡大したら消費が大きくなる、諦めるしかないか。)


 そう、アリアの生成した結界は板のような物で、足を乗せる必要最低限の大きさしか無い。

 結界が大きければ大きいほど消費魔力量は増大する。

 彼女と言えど無駄に使えばすぐ魔力が枯渇する。


 アリアはそのまま宙に浮いた板の上に立ちながらレールを取り付ける作業を始める。

 1つ取り付けては結界を生成し直して移動し、真っ直ぐズレの無い様、丁寧に進めていく。

 結界を定規の様に使っているので、綺麗に並べる事ができている。

 直方体の結界ならではの技だ。

 尤もこんな事の為に使う様な物ではないのだが。


 カーテンレールを取り付けた後、接着剤が乾くまでの間、結界で固定する。

 その間に他の家具も設置していく。

 コンセントの位置を気にしなくて良い為、使い勝手と雰囲気のみを重視して考えていた。




□□□




「ただいまー。」


 カエデが帰ってくる時にはもう、全ての家具の設置が終了していた。

 

「ああ、お帰り。」

「いい湯だったよー。」


 顔が上気し、頬が赤くなっている。

 髪もしっとりと濡れ、何時ものカエデとはまるで別人の様だ。


「無駄に色っぽいな。」

「無駄言うなよ!」

「まぁまぁ。」


 アリアの言い草に、カエデは赤い頬を膨らます。


「そんな事より、お前が風呂行ってる間に買ってきた物は設置しておいた。」

「…………聞き捨てられない事が聞こえた気がするけど、まぁ許そう。」


 カーテンを[シャー、シャー]と動かしながら、カエデはそう言う。

 その顔はまだ怒っている様だったが、眼を見ればもう怒っていないのは明白だった。


「うん、やっぱりこの部屋にはこの色が合うね。」

「そうだな。」

「センスは私の方が上だと言うことがコレで確定したね。」

「カエデには敵わないな。」

「そうでしょう?

あ、そう言えばお風呂の札全部裏だったよ、入ってきたら?」

「そうか、じゃあ行ってくる。」

「行ってらっしゃーい。」


 上機嫌に手を振って送り出す、表情も柔らかい。

 部屋を出たアリアの顔も、風呂に入れるからか、楽しそうな表情だ。


 1週間後8/7(金)[3-9]投稿予定。

 書き溜めができていたら拍手を下さい。

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