3-5:鎮座する世界時計。
模試校内順位、数IA[114/115]、数IIB[1/115]、数学全体[15/115]だった。
片方2点で15位ておい、大丈夫かこの学校。
=2146字=
久しぶりの2000。
アリアとカエデ、テカルトとタントは校舎の外に出ていた。
とは言えまだ学校の敷地内。
「じゃあ何処行こうか。20分しかないからあまり遠出はできんな。」
そう言われてもこの街に来て余り経っていないアリア達には選択肢が思い付かない。
アリアがその旨を伝える。
「あの、私たち、この街に来たのは今回が初めてで、全然此処のこと知らないんです。
なので、できればそちらで決めてくれませんか?」
「まだ商店街くらいしか行ってないんだよねぇ。」
「そうだったのか。」
「じゃあ別の町から来たんだ?
ここいらは何処からもかなり離れてるから大変だったと思うけど。」
「……ええ、でもまぁ旅の途中なのでここは。」
一応質問された用に昨晩カエデと考えておいた設定で、アリアは話を作る。
「旅ねぇ、因みに目的地は?」
「さぁ? 何時かは何処かに着きますよ。」
「自由気ままに色んなトコ行きたいからね。」
「面白そうではあるな。」
実のところ、冒険者学校を無事卒業できた暁には、何処か別の街に行こうと考えているので、強ち嘘ではない。
「で、結局何処に行く?」
「初めてならあそこがいいんじゃないか、街のシンボルだし。」
「…………ああ、あれか、確かにいいな。」
「よしじゃあ決まりだな! 早速行こう!」
そうと決まればと、すぐさま歩き出したタント。
「え、あの、何処に行くんですか?」
「この街で一番有名な場所さ。」
「……?」
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目的地に向かう道すがら。
「……ねぇ、『この街で一番有名な場所』って何なのかな?」
前を歩く男二人を気にし、小声で話しかけてきた。
「危険な場所じゃないと思う。
私がやるとしても、初手は事実、そして油断させてからの渾身の一撃。
うん、この手に限る。」
「一体なんの話なんだ……。」
「冗談だ、コイツらはそんなことする奴には見えない。
それに例え何をされようと力ずくで突破できるだろうしな。」
「脳筋かな?」
「いいや、相手と己をよく知った上での百戦錬磨の頭脳戦だ。」
「頭脳、カッコ物理。」
「実際強い。」
「…………いや、頭突きの威力とか今どうでもいいから。」
「頭突き専用スキルもあるけど、試さないか?」
「結構です。」
強靭な肉体から放たれる頭突きは天を貫く。
(職業『ヘッドハンター』の説明より引用)
因みに、『ヘッドハンター』は攻撃方法が頭突きしかない職業である。
但し攻撃力は折り紙つき。
なお、頭突き専用スキル【天頭】を使うには、壁頭突き10000回の実績が必要である。
知らない者からすれば完全に奇行である。
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校舎、教会からそうは離れていない所にある建物の中、石畳で綺麗に整備された地下への通路を抜けた先。
「さぁ、ようこそ『世界時計』へ!」
「『世界時計』………?」
其処にはとても広い空間があった。
巨大な円柱をくりぬいた形をしたその場所、其処は中央の台座以外に物品はなく、装飾も少ない。
一行は中央の台座に近づく。
「『世界時計』ってのは『神の時代』からある代物らしい。
簡単に言えばこれは世界と共に動いている時計なんだと。」
「はぁ、凄そうですね。」
カエデは覗き込んで見ている。
「何か針が一杯あるね、秒針以外はどれがなんなんだか。」
「年単位もあるぞ、確かコレだ。」
「ほー。」
『世界時計』
神が創りし、世界の時間を司る物。
ありとあらゆる時間は全て此処に集約する。
この世界の聖書にはこう記されている。
地球では[1年=約365.2日]。
故に4年に一度閏年を入れるなどして調整される。
しかしこの時計では、1年を日に直さず独立して計測している為、閏年は起きない。
因みに[1日=24時間][1時間=60分][1分=60秒]は同じである。
「でもさ、これじゃあただ精巧な時計を誰かが作っただけだと思うじゃん?
そんな時は……。」
タントが徐に台座から『世界時計』を無造作に手に取る。
「え、触っていいんですか。そんな貴重そうな物を。」
「大丈夫、
…………あと5秒。
3、
2、
1、
はい!」
「うわ!」
「眩しっ!」
タントが数字を言い終わると同時に、時計が強烈な光を放ち、一瞬目が眩む。
そして目を開けると、
「……あれ、『時計』は?」
「此処だよ。」
タントが指差す先に『世界時計』は鎮座していた。
其処は元々置いてあった台座の上だ。
タントは台座からそこそこ離れていた上に発光していたのは本の一瞬だ。
自分で置き直したとは考えにくい。
「この『時計』は傷付いたり台座から外したりすると、きっちり10秒後に発光し定位置に元の状態で戻ってくるんだ。
面白いだろ? 人智を超えた芸当さ。」
「確かに……凄いですね。」
「あのさ、私もやってみていい?」
そう言うと、カエデは台座から『世界時計』をとり、台座から離れた。
「此処からでも行けるのかな?
3、
2、
1、
ゼロ!」
制限時間を越え、『時計』は発光する。
そして光が収まると、『時計』共に発光していた台座に鎮座していた。
「な、戻ってくるだろ?」
「何度見ても完全に瞬間移動してますね……。」
アリアも再度確認し、驚きを隠せない。
だが更に驚いている者がいた。
「あの、えーと……。」
「どうしたのカエ……デ?」
此方に戻ってくるカエデの握られている物を見たアリアは、絶句した。
「なんか、分身しちゃった……ぽい?」
頬を掻くカエデが差し出したそれは、どう見ても『世界時計』のそれであった。
1週間後7/17(金)[3-4]投稿予定。
最近此処に何を書こうか悩むことが多い、ネタが無いんだ。
改稿[7/10、20:30]




