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誰も知らない勇者紀行。  作者: c/1-0@斜の廃塔。
3:冒険者学校オルディカーブ支部。
27/40

3-3:名もなき宗教。

 動画見てるとスプラトゥーンしたくなってくる。

 WiiUなんてないんだけどさ。


 =1891字=

 

 買い物から帰宅後、疲れからか夕食を食堂で食べたのち、二人はすぐに寝てしまった。

 今の身体ならそれほど負担ではない筈だが、心理的には疲れたように感じたのだろう。



 何はともあれ翌朝、二人は授業開始一時間程前に寮を出た。

 少し構内を見て回ろうと言う算段だ。


 構内は地球のそれ程広くはない。

 最大3、40名程を収容できればよいからだ。

 故に校舎と言っても少し大きな一軒家程度で、その装いは教会を彷彿させる。

 実際授業がない日は礼拝を行っている事がある。


「日本でこういった本格的な教会は見たことがないな。」


 両開きの正面扉から入ってすぐの所で立ち止まり、上を仰ぎ見ながらアリアがそう呟く。


「そう? 私は結構馴染み深いけど。」

「…………ああ、そう言えばカエデが通っていた高校はキリスト教系だったか。」

「そうそう、だからさ構内にカトリックの教会があったんだよね。

 授業に聖書科があったし。」

「聖書を読んだことならあるが、教会には行かなかったからな。

 馴染みがなく新鮮だ。」


 アリアは芸術品でも見るかの様に教会内を見て回る。


「でもヨーロッパの大聖堂なんかと比べたらちっぽけなものだと思うけど。」


 顔を近づけて柱を見ているアリアにそう呟く。


「いや、この教会、外観より遥かに古い。

 歴史や文化的遺産としては此方の方が高いかもしれないな。」

「よく判るねそんなこと。」

「スキル【観察眼】を使っただけだ。」


 アリアは振り向き様にそう答える。

 続けて、


「標本なしでも、色々判った。

 恐らく築2000年以上、劣化防止に何重にも結界と魔方陣が組み込まれている。」

「はー、キリスト教の歴史と同じ長さとか、いまいち良く判らない。」

「まぁギリシャのパルテノン神殿には遠く及ばないが。」


 しかし、2000年とは実に長い時の流れである。

 多くのものは廃れ壊され、終には消えてなくなる。

 それを軽減することは並大抵のことではない。

 諸行無常を緩和する結界は超高位魔方陣がなければ発動できない。

 興味が湧いたのは『結界術師』故の好奇心からだろうか。



 少しして、一人の生徒が教室兼教会に入ってきた。


 それは三次試験で戦った片割れ、『魔導師』のテカルトであった。


「よう、二人と早いんだな。」


 片手を上げ、挨拶をする。


「おはようございます、テカルトさん。」

「あ、テカルトじゃん!会うのは1日ぶりかな?」

「呼び捨てかよ。……まぁ別にいいか。」


 後頭部を掻きながらボソリと呟く。


「で、どうしたの? 授業にはまだ30分位あるけど。」

「あぁ、只遅刻しないよう早く来ただけだ。

 お前らこそ何してたんだよ。壁眺めたりして。」

「芸術鑑賞ですよ、歴史のある建物は一度良く観察すべきです、何か大切なことを教えてくれる気がします。」

「そうか、俺は絵画専門なんでな、建築などさっぱりだ。」

「絵画ですか。…………そう言えば此処に絵は飾ってありませんね。」


 一通り見終わったアリアは再度全体を見回してから疑問を口にする。


「あー、それは恐らくこの教会が東派だからだ。

 東派は『神の精巧な像など誰にも描けぬ。』を理由に偶像崇拝を禁止しているからな。」

「そうなんですか。」


 この大陸の宗教に名はない。

 しかし聖書は存在し、宗教自体も数多くの人に信仰されている。


 東西対立はその聖書の解釈から来たものである。


『聖都メアは何処にあるのか。』


 厳格に聖書を信じ記述通りの場所にあると主張する東派。

 神の通られた道順などより論理的に導こうとしている西派。


 実はこの教会も『神の通られた道』に属しているのだが、それを知る者は此処に居ない。



「そう言えばタントはどうしたの?

 一緒じゃないみたいだけど。」


 テカルトが一人だと言うことに気付き、聞いてみる。


「ああ、タントか。

 アイツは朝弱くてな、どうせまだ飯食ってる最中だろ。」

「へー、アリアと一緒じゃん。今日も此処に来る途中まで目が半分閉じてたし。」

「それは見ものだな、今度早起きしてみるか。」


 カエデの話に即反応したテカルトに困惑した顔を見せるアリア。


「え、あの、テカルトさん、何故そんなに興味を持たれるんですか。」

「寝起きの女が一番可愛いからな、興味をそそられるのは至極当然だ。」

「は、はぁ。」


 その返答で更に困惑の色を深くする。


「あの、カエデ、私がちゃんと起きるまで部屋から出さないでくれる?

 そんな状態の私を見られたくないから。」

「うん? あ、ああ、いいよ。」


 (これも演技かなぁ、やっぱりアリア凄いなぁ。)と思いつつアリアに合わせるカエデ。



(と言うか私より女の子らしいんじゃないかこのレベルだと。

 

 …………待てよ、そもそも女子力何でなら勝ってる?)


 と考え始めたカエデ、3秒後、勝率が2割を切ることに愕然とする。


 一週間後7/3(金)[3-4]投稿予定。

 ミカグラ学園組曲終わったんでアニメ漁ってきます。

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