3-2:魔導式製品とは。
今回のテストはいい感じだったな、勉強してないけど。
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「で、買い物に来たわけだけどさ、取り敢えず何から行く?」
「様々な雑貨を取り扱っている店を昨日見付けておいた、其処に行こう。」
「デパート的な感じ?」
「いや、其処まで広くは無いな。」
この世界の建物は城や要塞などを除き基本的には3階までしかない。
ビル群が建ち並ぶほど土地に困窮していないと言うのもある。
土地が欲しければ周りに幾らでもあるのだから。
「まぁ、其処になければ一つ一つ専門店を探し回れば良い。
そっちの方も幾らかは探しておいたから。」
アリアが昨日行っていたリサーチも中々役に立つ様だ。
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『雑貨マグメーカー』、此処がアリアの話していた雑貨店だ。
中々盛況な様で、人の出入りが絶え間なく行われている。
「何処も人多いけど此処はまた更に多いね。」
「それだけ良い店なんだろう。」
二人は開け放された大きな両開きのドアをくぐり、店内に入る。
「あー、成程、良い感じのお店だね。」
「内装も綺麗だし品揃えも中々だぞ。」
清潔に掃除された店内は天井に吊るされた光で充分に満たされ、それが更に品物を良く見せている。
「う~む、コレだけ綺麗に置いてあるのを見ると、購買欲がでるね。」
「仕事が丁寧だ。」
服を売っているエリアに来た二人は、服を広げながら品定めをしている。
尤も主にカエデがなのだが。
「ちょっとぉ、アリアのなんだからアリアもちゃんと見てって。」
「そう言われてもなぁ、自分で選ぶとシンプルな、もう黒一色的な奴になる。
服装を見てセンスを査定するのはできるんだが、何故か自分のになると……。」
「え、そうなんだ、いつも結構お洒落なの着てた様な気がしてたんだけど?」
「ファッション誌の丸パクリだ。」
「そうだったんだ、雑誌見ないから判らなかった。
と言うかそれ何処ぞの三日月さんと同じじゃん。」
「変な物を着てるよりはいいと思う。
自分に似合ってさえいればいいんだ。」
「そりゃそうなんだけども……。」
拘りはアリアにもあるのだが、拘りが強すぎて結局無地のシンプルな物になる。
だからいっそ拘りを捨てた『似合えばいいじゃない!』の精神で選んできたアリアであった。
しかし、
「でもまぁ、自分で選べる様にはなっておかなきゃ。」
「他人のなら判るんだがなぁ……。」
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あの後、この店で買える物は全て買い終わった。
買えなかった物は『魔導式製品』だ。
電化製品と類似するのだが、動力に魔力を使用する為に販売において規制がかかり、売ることの許された店は少ないのだ。
「そして此処が魔導式製品の専門店という訳だ。」
アリアが魔導式製品の説明をしながら案内したのは『魔導式専門店グランキュー』。
昨日アリアが魔導式レンジを見つけた場所だ。
「ドライヤーが欲しかったんだろ?」
「後なんだっけ、魔導式レンジも置きたいね。
温めるのに便利だし。」
「商品説明を見た感じ、電化製品との違いは動力源くらいだ。
そのお陰でコードも無いらしい。」
「……ホントだ、この掃除機コード付いてない。」
「『魔導電池』なるものもあったぞ、魔法が使えない人様らしい。」
「思ったより色々あるし、実は地球のより良いんじゃ……?」
魔導式製品は魔力があれば動かせる、つまり魔法を使えればコードレスで連続運用ができる。
しかし難点として、魔力を自由に操れる人はそう多くはないと言うことだ。
魔導電池というものが開発されて入るものの、効率はやはり直接魔力を送るより劣り、割高となっている。
故に生まれもってしての保有魔力での差別が発生する原因の1つだと言われている。
そんなことを知る筈のない二人は、楽しそうに買い物を続行するのであった。
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「あぁ~、重かったぁ~。」
「買いすぎだ、貯金もう余りないぞ。」
「マジで?! じゃあ明日にでも一狩り行く?」
「そうするか。
だが明日は朝、初の授業があるぞ、その後で行けるか?」
冒険者学校とはいえ、毎日授業やら訓練やらがある訳ではない。
必要なことを色々教えてもそれほど時間は掛からないのだ。
但しテストは多い、一月の間に3回、10日に一回テストがあるのだ。
そう難しくはないが、1回でも赤点をとれば単位は貰えない。
追試は3回合わせて一度のみ可能、それでも駄目なら単位が取得できず、冒険者にはなれない。
「授業ってたって明日は一時間だけでしょ、大丈夫だよ。」
「だな。」
一週間後6/26(金)[3-3]投稿予定。
もう一つの方を投稿日変えたので遅れません(断言。
 




