2-13:学校説明会。
木曜日って『オヤカタ』のイベント初日だから忙しいのよね(白目。
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翌日、寝起きが悪いアリアを起こして朝食に連れて行く。
ボンヤリしながらパンを啄ばむアリアだったが、次第に目が覚めてきたようだ。
「…………今日は何もしていないようだな。」
「買ってきても良かったけど、お金無駄遣いする訳にもいかないし。」
「毎日狩に行けば豪遊できるが、そんなに使うか?」
「豪遊する気は無いけど、服とかは買いたいね。」
「そうなのか? カエデがファッションに興味あったとは。」
「私女の子なんですが!」
「いつもジャージじゃなかったか?」
「それは中学までだよ! ずっと部活だったし。」
「…………そういえば高校からは余り一緒に出掛けたりはしていなかったな。」
「別の高校に行ったからね。」
「しかし大学で再開した時は驚いたな。」
「ふふ、高校受験の失敗を生かして勉強したからね。」
「最初から勉強しておけと。」
「やる気が無かったからね、仕方ないね。」
元々はアリアと同じ高校に行こうとしていたのだが、部活終了後特有の脱力感により勉強が捗らず、結果はお察し。
そして滑り止めの高校へ行った後猛勉強し、アリアの進学先の大学に見事合格したのだ。
「…………まぁ、ゲームばっかりしていた私が言えることではないか。」
「そうだよ! なんであの生活習慣で進学全部上手くいくのよ……。」
「学校の休み時間は勉強していたからな。」
「授業中も関係ない教科勉強して怒られてたね。論破してたけど。」
「問いは全部正答していたし、ノートは綺麗に纏め上げ、テストも順位一桁だったからな。
評定はどうでも良かったから、怒られても無視できたのもある。
最後には授業中に何やってても怒られなくなったのは面白かった。」
「先生諦めてたね。」
その所為で他の生徒にも内職が広がり、皆から『反乱軍長』と呼ばれたアリア、もとい歌詠健一であった。
唯、学校全体の成績は上がった。
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今日は合格を冒険者学校に聞きに行かなければならない。
二次試験の合否で大方は判るので、実際は説明会だ。
アリアとカエデの二人は朝食を食べた後、その為に冒険者学校に来ていた。
滞りなく合格発表は終わり、合格者は一室に集められていた。
「では、冒険者学校の校則などの諸々を説明していきたいと思います。
試験中は係りやってました、テレス=タイタです。
では、校則などの書いた手帳を配布します。」
10cm×15cmほどの手帳が配られる。
手帳が配られている間に、テレスはチョークを手に取り黒板に要所を書き出す。
「校則は読んでおいてくれれば良いですが、一応『んなもん聞いてねーんだよ!』とか言われてもウザいんで、大切な部分は直接言っておきましょう。」
テレスの迫真の演技に生徒の関心が向く。
「まず、停学退学について話しましょう。
基本的に法律守ってればいいですが、あと一つ退学の条件があります。
まぁ当たり前なんですけどね、1ヶ月で単位取れなかったら退学ってだけですよ。
サボっても良いから単位は取って下さい、面倒なので。」
単位が取れなかったら、また試験からやり直しだ。
生徒にとっても面倒だろう。
「では次に卒業条件です。
方法は二つ、1ヶ月で単位取得、もう一つは卒業試験と教師との対戦に勝つ、です。
まぁ二つ目の前例殆ど無いんでちゃんと勉強して下さい。」
卒業試験には冒険者としての知識が必要となるので、勉強は如何であれ必須だが、そこまでやるなら1ヶ月普通に通っていたほうが楽だろうから前例が余り無いのだろう。
「他にも何個か校則ありますけど、まぁ如何でも良いでしょう。暇だったら呼んでおいて下さい。
それより大事なのは『寮制度』のことです。
男女両方10名分あるので入りたい人はこのプリントを明日中に提出して下さい。
只ですので遠方から来た人なら宿に泊まるより良いですよ。」
テレスはそう話しながらプリントを配る。
(寮か…………、カエデと相談はいるが、これは入寮確定か?
無料と言うのが素晴らしいな、冒険者ギルド、そんなに儲かってるのか?)
アリアはプリントの説明を読みながらそう考える。
家具なども常備されており、そこそこの広さもある。
浴場は別になっているが、広々とした風呂には入れるなら寧ろ良いことだろう。
(…………これ、私が住んでるアパートより設備良いんじゃ…………。
しかも只とか、入らない理由が無いじゃん。)
かえでもまた入ることに賛成のようだ。
(ていうかそういえばお風呂入ってないんだった、明日プリント提出したらその日に入れるかな?)
綺麗好きのカエデはお風呂に興味をそそられている様だ。
一週間後6/12[2-14]投稿予定。
そろそろ章分けようかと思ってるから3-1になるかもしれない。




