2-9:二次試験③
時々話に出してるけど、ここに『俺タワー』『艦これ』を知ってる人はどれくらい居るんだろうか?
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試験の終わったアリアは、此方に向かってくるカエデに手を振る。
それに気付いたのか、カエデも手を振り返す。
「あー心配した、結局は手加減したみたいだから安心したけど。
フルボッコにしちゃうかと思った。」
「うん?そんなつもりは毛頭無かったが?」
「え、そなの?」
カエデはアリアが相手の教師ルガートに本気を出し圧倒的勝利をしてしまい、学校に入学する前から無駄に目立ってしまうのではないか、と戦々恐々していたのだが杞憂だったようだ。
「怪我をさせてしまうと運営に支障が出るし、そもそもあのルガートとか言う教師も危ないしな。」
「あーそういう……。」
アリアとしては目立つ目立たないなど考えていなかったが、運営の邪魔になってはいけないと思い自重したようだ。
「じゃあ、あの何か企んでる顔していたのは一体?」
「そんな顔してたか?
まぁ久し振りにちゃんと戦えるのが楽しみだったからだと思う。
別に何も企んではなかったぞ。」
「そうなんだ、ならいいや。」
「そんなことより早く行ったほうがいいぞ、呼ばれてるし。」
「ホントだ、行ってくる。」
ルガートに呼ばれ、カエデは慌てて駆けていった。
アリアはカエデを見送り、待機室に戻っていた。
待機室にはアリア以外に6名、試験に合格した人だけが残っている。
基本的に相手になる教師の主観になってはしまうが、そのお陰で結果が出るのも早い。
合格した人はロッカーに入れていた物の中から武具を取り出し、装備している。三次試験の準備だろう。
魔法職なのか魔性石を杖の先につけたロッドを持った人や、両刃剣と盾を持った正に一般的な冒険者の風貌の人も居る。
アリアは『Vary』を預けていたので、それを装備して今は観客席からカエデの戦闘を見ていた。
(ああ言っていたし、全力では戦っていないな。)
パッと見は全力に見えるが、手加減をしているようだ。
しかし無手での戦闘の経験は人並みであるので、然程余裕は無いのだが。
型などは全然知らないカエデだが、実践的な体術でルガートと対峙している。
しかし対魔物モンスターであるので決め手に欠けている。
そのまま戦闘は終わり、アリアはカエデを迎えに一階のゲートに来ていた。
アリアがゲートに来ると、カエデも丁度来た所だった。
「どうだった? あの教師結構強かっただろ。」
「確かに、中々強いよね。
B+がアレだったから全体的に弱いのかと思ってたけど、強い人も居るんだね。」
待合室へ歩きながら話す。
他愛も無い会話をしつつ待合室に行くと既に係りの女性が来ており、準備を始めていた。
カエデが最後の受験者だったようだ。
「ではカエデさんも来て全員集まったようですので、二人組みになって下さい。
残った人は此方が適当に決めます。さっさとして下さいね。」
係りの女性がマイクで呼びかけ始めた。カエデを待っていたようだ。
「二人組み……体育…………、うっ頭が。」
「どうしたの?」
「…………いやなんでもない。
それより私たち二人がペアでいいんだよな。」
「他に何があるのさ。」
「まぁそうだな。」
アリアとカエデでペアを作ることになった。
他の人も元々こう言った試験があることを知っていたこともあり、スムーズに決まっていく。
ペアが居なかった人は二人だけだったので、その二人がペアになった。
「では、二人組みもできた様ですので、ペアで番号札を取りに来て下さい。」
受験者は二人組みで各々係りの女性の所に行き、番号札を取りに行く。
番号札には1番と2番があり、同じ番号を引いたペア同士が対戦相手となる。
アリアが番号札を取りに行った結果、1番であった。
「引き終わったようですので、番号ごとに分かれて下さい。」
分かれてみると、アリア達の対戦相手は先程紹介した魔導士と片手剣使いのようだ。
「君達の相手になるようだな、宜しく頼む、テカルトだ。」
「俺はタントってんだわ。コイツ冷静繕ってるけど根は暑苦しいから気を付けろよ。」
「お前が温いだけだ、主観で人を判断するな。」
「何を言う、お前とどれだけ一緒に居ると思ってんだ。」
「ふふ、仲が良いんですね。」
二人の会話にアリアが笑う。
尤も愛想笑いなのだが。
テカルトが魔導士で、タントが片手剣使いだ。
昔から共に過ごしてきた仲で連携も上手く、中々の実力だ。
一週間後5/15[2-10]投稿予定。
書き溜めが出来るのは一体何時になるのだろうか。




