信じた男の過ち
携帯が止まった。
料金未納というちょっと情けない理由だった。
「なぁ、携帯復活したのか?」
「うん、復活したけど」
「けど?」
彼女は一応いる。
自分では過去最高な彼女だと溺愛しているつもりだった。
……ただ、あまりしつこいと嫌われるかなと思って、なるべくあっさりした男を演じていたけど。
それが失敗だと気付いたのは、復活した携帯が受信したメールからだった。
「なぁ」
「なんだよ」
「俺ってあの可愛すぎる彼女を振ったのか?」
「……はぁ? 知るか、んなもん」
他校の彼女とは携帯でしか連絡を取り合っていない。
その携帯が止まったのだ。
……彼女の学校に押しかけてでも、そのことを伝えるべきだったのかもしれない。
それを怠ったのは俺の過ちだった。
「彼女さんからメール来てたんだ?」
「お、俺、振ってないよなっ!?」
「……だから、知らねぇよ」
呆れたような友人の顔はもう視界に入っていなかった。
まだ授業が残っているにもかかわらず、帰り支度を始める俺にため息を落とされる。
「次、お前の大好きな化学だぜ?」
「じゃ、担任によろしく」
「……はいよ。あんまり溺愛してっと、マジで振られるぞー」
友人の忠告を背中で聞きながら、教室を出る。
途中、先生に呼び止められたけれど、それも振り切って学校を飛び出した。
君に会ったら。
まず携帯のことを謝って、それからどうしようか。
久々にデートにでも行こうか。
いっぱいいっぱい可愛がってあげようかな。
……嫌われない程度に。




