二人を繋ぐ糸の脆さ
君がいないと気付いたときには、もう夏が過ぎてしまっていた。
「で、返事もないんだ?」
「……ん」
もう彼には繋がらない携帯を見つめながら私は頷いた。
元々それほど頻繁に連絡を取り合うような関係じゃなかったけれど、全く繋がらないことはなかった。
伝言も残せたし、メールだって送れた。
だから、もう。
「振られたんだよ、うん」
「っ、何言ってんの! そんなの……」
沈黙が落ちる。
賑やかな休み時間の教室。
私たちの周りだけが異様に静かで、切り取られてしまったようだ。
別れる原因は考えれば考えるほどある気がする。
たまにしかしなかったメールや電話……彼はもっとしてほしかったのかもしれない。
他校だからか少なかったデート……無理してでも、たった数十秒でも会いに行けばよかったのかもしれない。
もっと甘えれば、もっと可愛かったら、もっと彼を見ていたなら。
言葉少なだったけど。
甘え下手で意地ばっか張ってたけど。
全然可愛くないけど。
……好きってなかなか言えなかったけど。
「忘れなきゃいけないのかな……」
別れたくないよ。
そう言いたいけど、言っちゃいけない気もして。
本当はすぐに彼の学校にでも押しかければよかったのかもしれない。
もう遅かった。
行き当たりばったりで動けないほど時間が経っている。
考える時間が増えるほど、私の足は重くなる。
彼に繋がらない携帯を握り締める。
二人を繋いでいたのはこんなちっぽけな機械だけ。
それがどうしようもなく寂しい。
どれだけ流したかわからない涙が、また一つ頬を伝った。




