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リトルバイ、

 好きにならなくてもいいから、と始めた暇つぶし。

 嫌になったら別れてもいい。

 そういう約束だった。

 そんなの、最初から嫌だったけど。


「一ヵ月目、ありがと」


 複雑な顔をした彼は、そんな言葉を口にする。

 適当に頷けば、寂しそうな表情をした。

 喜ばせるべきなんだろうか。

 時々ふと考える。

 ずっとあの顔を見ていたら、誰もがそう感じるだろう。

 だから放って置けばいい。

 何故か痛む心に言い訳する。


「傍にいてくれるだけでいいから」


 話すのは彼だけ。

 返事もろくに返さないのに、傍にいるだけでいい、だなんて。

 ……本当に?

 キスも手繋ぎもデートもないこの関係。

 そんなもので満足なの?


「隣にいてくれるだけで」

「それだけでいいの?」


 思わず発した言葉に、彼は驚いたように目を見開いた。

 私は気にせず続ける。


「私はそれだけじゃヤダよ」

「でも」

「そんなの、友達以下じゃない」


 なんで、わがまま言わないの?

 どうして私を求めてくれないの?

 感情的になるのが怖くて、ただ淡々と言葉を並べた。

 だけど、彼は気付いてくれたらしい。

 微かに震える手を伸し、私に触れる。

 戸惑いがちに抱き寄せて、彼は止めていた息を大きく吐き出した。


「それだけでいいなんて、嘘だ」


 苦々しく言った彼は、どこか嬉しそうで。

 灯る温もりが、ほのかに甘く感じられる。

 離れてしまうのが惜しくて、私は初めて彼に手を伸した。


「……俺、制御できなくなる」

「あ、そう」


 困ったように浮かべた笑みは、今までで一番輝いていた。

 なんだか恥ずかしくなって、私はそっと彼の胸に顔を埋めた。

リトルバイ、

(もっと夢中にさせて)

♯君に賭けた結末。様/09.05.26 提出

05月お題『それだけでいい、なんて嘘』より。

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