表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/55

キツい冗談はいらない

 何かが終わるときって、どうしてこんなにもハッキリ気付いてしまうのかな。

 知らないうちに終わってしまえば、キズも少なくて済むのに。

 少しずつ蝕んでいくそれは、もう病気と言ってもおかしくない。

 ほんの少しのきっかけで、最初から最後までゆっくり冒される。


「やだぁ、もう」

「何が嫌なんだよ。ったく」


 呆れたように言ってるみたいだけど、その顔は酷く緩んでいる。

 背景が雨景色なんて関係ないくらい、二人の間には甘ったるい空気が流れていた。

 どうやら相合い傘をするかしないかでもめているらしい。

 どっからどう見てもそんな風には見えないけど。

 明らかに嘘っぽい恥じらい方に虫酸が走る。

 それをデレデレと見つめる彼を底無し沼に沈めたくなった。

 そうこうしているうちに、最初から雨脚の弱かった雨は止んでしまった。

 それでもまだ、二人は昇降口で揉め事の真似事をしている。


「アレがずっと片思いしてた男か。見る目ねぇな」

「ひ……っ、なななんで!」

「なんでって……俺のこと待ってたんだろ。ほら、帰るぞ」


 そう言って、私の会いたくない男上位二人が視界に並んだ。

 一番見たくない、一番目にする光景。

 言うまでもなく、彼らは親友同士だ。


「お前ら、邪魔。んな場所でイチャイチャしてんじゃねーよ」

「う、あ、ごめん……」

「別に俺はいいけど、さ」


 アイツが彼を責めたのは最初だけ。

 それからは彼女と三人、仲良さげに雑談を始める。

 教室で見飽きるほど見たそれから、私は逃げるように背中を向けた。

 教室で自習でもしよう。

 適当に時間を潰せば、いつか彼らもいなくなるだろう。

 最初からこうするべきだった。

 そうすれば、あんな不快なモノを見ずに済んだ。


「おい、何処行くんだ」

「あれ、お前イインチョーと仲良かったっけ?」


 不機嫌な低い声と不思議そうな声が背中越しに届く。

 止めそうになる足を無理矢理動かして、逃げようとしていた。

 ……していたんだよ、必死で。


「仲良いも何も、アレは俺の女だし」

「……はぁ?」


 思わず振り向いた先。

 そこには相変わらず甘ったるい彼女と嬉しさが顔に滲み出ている彼と。

 何を考えてるのかわからないアイツがいた。

キツい冗談はいらない

(いつあなたの女に?)

(最初からだ)

♯ピンクの魔法様/09.06.25 提出

06月お題『雨模様/相合い傘』より。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ