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別れ話は突然に

「嫌になったんだ」

「……え?」

「だから、もう嫌なんだよ」


 彼は突然そう言った。

 何もかも投げ出すような口調に、私の手が小さく震えた。

 実際投げ出すのは、私だけなんだろうけど。


「なんで、私、何かした?」

「別に、そういう訳じゃない」

「……何が嫌なのか、はっきり言ってよ」


 重くなった空気の中、普通に繰り出す台詞におかしくなる。

 こんなことを意外と冷静に考えている私は、もっと滑稽に思えた。


「とにかく、やめよう」

「……っ、だから」


 どうしてよ、の言葉は消える。

 押しつけられた熱に、ただ目を丸くする。

 時が止まった。

 そんな感じ。

 ただ彼が身動きを取らないように、私も身動きが取れない。


「……もう、無理なんだよ」


 ゆっくりと離れた唇から紡がれた小さな訴えは、何も理解できない私の耳にすとんと落ちた。


「お前とこんな関係じゃいられない。もう、幼馴染でいたくないんだよ」


 ごめん、と伏せた顔に浮かぶ表情は苦く苦しい。

 見たことのないそれに、私も苦しくなる。


「……好きなんだ、ずっと」


 覚えていないくらい昔から一緒にいた彼。

 事あるごとに顔を合わせていたから、もう幼馴染というよりは双子の兄妹のような感覚だった。

 そんな彼からの、たぶん。


「……告白?」

「っ、それ以外何だって言うんだよ!?」


 ほんのり赤い顔を片手で押さえながら、彼は叫んだ。

 思わず謝ってしまう。

 そう……告白。

 アレを告白と呼ばないで、何と呼ぶのか。

 何も、ないよね。


「返事」

「へ」

「返事は? ……期待してないから、はっきり言えよ」


 彼が投げたしたのは、幼馴染という曖昧な関係の私。

 彼が手に入れようとしたのは、私とのそういう関係。

 少しは自惚れていいのかな、と笑みを小さく零す。


「ん、いーよ」


 ……やめてしまおう、こんな関係。

 今すぐ、壊してしまおう。

 不器用な君に免じて。

別れ話は突然に

(つーか、幼馴染に別れ話はないよね)

♯溢れる想いを君に様/09.01.08 提出

01月お題『告白』より。

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