ゴブリンの王
前回は長く出来たんですけど
まぁ、きりがいいかな?と。
特に何事もなくハリネズミさんを倒した俺は、早速体毛操作を試してみようと思い、先ほどの広場に戻った。
岩はさっき壊してしまった。
ここは森の広場で、木以外何もない。
それに、岩を壊してしまった今、何に向かって攻撃すればいいのかさっぱりだ。
しかし、いつまで考えていても仕方ないので、木を攻撃することに決めた。
考えていたって、攻撃対象が都合良く現れてくれるわけではないのだ。
そして、新しく場所を探すのは嫌だ。めんどくさい。
とりあえず体毛操作と念じ、魔力を自分の毛に通す。
しかし、何も変化は無いようだ。
発動に何かが足りないのだろうか。
名前 ヒロ(名付き)
種族 サーロスウルフドッグ
順位 2500000000位
能力 絶対の守護
ーー 賢者
ーー 進化論
ーー 嗅覚強化
ーー 被食者
ーー体毛操作
耐性 熱耐性MX
ーー 麻痺耐性MX
ーー雷耐性MX
ーー 寒耐性MX
体毛操作のところを詳しくみる。
体毛操作(体毛を自分の意思の通りに、伸ばしたり縮めたり、自由自在に操ります。)
説明を見るに、俺の想像は間違ってはいなかったようである。
ただ、意思がなかった、というところだろうか。
つまりは、発動はしたが俺にどう動かすかの意思がなかったため、変化が起きなかった。ということだ。
改めて発動して、今度はしっかりとイメージする。
俺のイメージは、某、手紙を届けるハチの相棒だ。
俺が、彼女の技で一番好きなのが、ハンマーみたいやつ。
髪の毛を剣にするのもかっこいいが、二つ結びの髪をくるくるに巻き合わせて作るハンマーのようなものは、とてもかっこよかった。
わからない人へ、…ごめんなさい、描写が下手で…イメージが伝わらないよねw
まぁ、仕方ない。わからない人には調べてもらうということで。
ということで、ハンマーを三つほど用意する。
これが相当難しい。
普段は使わない、動かさない部位なだけあって、動かすイメージが難しい。
いきなり、羽が生えたら動かすのが大変なのとおんなじだ。
その、例えもわかりにくいって?あはは
まぁ、さておき、やっとの事でハンマーを作った。
体毛操作では、毛の硬質も変えられるようであり、俺の体毛はすでに鉄以上の硬さである。
とりあえず、三つ一気に動かすのはまだ難しそうなので、一つ大きく振り回す。
ドッガァァァァァン!
……
木がえ、えぐれた。
なんだよ、この高性能さは。
なんでこんなスキル持ってて、あんなにハリネズミは弱かったんだ?
とにかく、このスキルは相当な強さを誇るらしい。
体中の毛を操れるようになったら、相当強いのではないだろうか。
俺の毛の残量からして、あと2.30個はハンマーを作れる。
毛の硬質もいろいろ変えられるし、ハンマー以外にも使い方はたくさんありそうだ。
結界に変わる、新しい防御方法だってありそうである。
結界よりは防御力は下がるだろうが、使いやすさが格段にうえだ。
これは、本当に高性能スキルだ。
しばらくは、これを極めることに尽くしてみよう。
その後、神経伝達速度をかけつつ、ハンマーを振り回す練習を続けた。
「ハァハァハァ」
気づけば、魔力が尽きそうである。
毛を操作するのには、少しずつ魔力を使うらしく、調子に乗って4・5本のハンマーを振り回してたら、2・3時間で魔力が尽きそうになった。
毛の一本一本に魔力が必要なので、毛を集めて作ったハンマーを動かすのには、魔力を少なからず使うらしい。
ここで、弱点発見か?とも思ったが、これも改良は出来そうである。
動かさなくてもいいところが、あったはずだ。
本来のハンマーは、持ち手以外動かない。それもそうだろう、だって持ち手以外は動こうにも動けないのだから。
確かに、持ち手(というか、付け根?)以外も動くことが、このハンマーの強みかもしれないし、急遽動かさなければならない状況になるかもしれないので、魔力は常に通しておくが、普通にハンマーを振る分には、持ち手のみ動かせばいい。
そうすることで、常にどこでも操る準備ができつつ、動かさないので、魔力消費を抑えることが出来そうである。
これは、この後の課題だ。
今は、魔力回復に務めなければ。
なけなしの魔力で、結界を張ってその中で休まる。そして俺の意識は暗転した。
起きて、魔力が回復していることを確認してから、また特訓を開始する。
もう一つの手のように動かせるように、そしてその手をたくさんにするために。
魔力の節約はまた今度だ。
とりあえず今は即戦力になる攻撃手段が必要なのだ。
このイノシシが尽きたら、狩を始めないといけないのだから。
尽きかけた魔力を回復してはまた特訓という流れでしばらく経った。
イノシシも4/5は減っただろうか。
髪の扱いにも慣れてきていた。
そろそろ、攻撃をして見るのもいいかもしれない。
何処かに的はないだろうか。
木や岩のように、すぐに壊れないのが好ましい。
そこで、思いつく。
結界を外に張ってしまえばいいのではないか?
カエンの攻撃を数回止めた結界だ、強度は申し分ないだろう。
なぜ思いつかなかったのだろうか。
と、後悔しつつ、自分の周りに纏っている結界を解除する。
今では、結界の二つ出しなどさほど難しくはないが、攻撃力を存分に試せるように今できる最大の強度で結界を出す。
この強度だと、二つ出しはできないのだ。
最大出力の結界を張り終えたあと、早速4つのハンマーを作成する。
4つのハンマーを振り回して乱撃する。
30回100回180回240回
「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ」
ようやく亀裂が入った。
…結界の防御力が強すぎるんだ、きっと。
きっとそうだよ!
それにしても、魔力を使いすぎてしまった。
休憩しようかどうしようか…。
そう考えて、伏せの体勢で少し頭を下げる。
「ギャギャギャギャ」
「ギャギャギャギャギャギャ」
「ギャギャギャギャギャギャ!」
なんだ!?
頭を上げて周囲を確認すると、そこにはたくさんの緑の小人が。
小人と言っても俺にとってはでかいし、30匹はいる。
所詮ゴブリンというやつだ。
くそっ!何をしているんだ俺は!
忘れていた、俺が狩る立場であることと同様に、狩られる側であることを。
ゴブリンは然程強敵ではないが、厄介なのは数だ。
絶対的強者でも、数に負けることもある。
しかも、俺は絶対的強者でもなんでもない、ただの犬なのだ。
勝ち目なんてあるわけもなく、そのまま連れ去られる。
その場で殺されなかった事はラッキーだと考えよう。
おごっていた、少し力を手に入れたくらいで。
所詮井の中の蛙だということを、忘れていた。
そうでなければ、何故気づかなかった?周囲の警戒を解いていいほど強くなったのか俺は?
そうでなければ何故結界を解いた?誰に襲われても勝てる自信でもあったのか?
あぁ、馬鹿した…最悪だ。
崩れた小屋のようなものが、其処らへんに転がっている。
そこからは、緑の小人が出たり入ったりしている。
どうやら俺は集落に連れて来られたようだ。
しかし、何故とどめを刺さないのだろうか?
暴れない方が持ち運びも楽だろうに。
俺がそんな事を考えていると、いつの間にか一つの小屋の中に入って居たようだ。
この小屋だけが特別なのかは知らないが、先程まで見ていた小屋よりは中身が綺麗である。
一つの部屋の奥に、鍛えられた筋肉がよく目立つ、一際強そうなゴブリンがいる。
よく見てみると、大きさも他のとは比べものにならないくらい大きい。
もはや、小鬼と呼ぶにはふさわしくないレベルだ。
名前 なし
種族 小鬼王
順位 1500000000位
能力 剛力
無限進化
祭主
耐性 物理耐性小
ゴブリンロードときた、ここの王だろうか。
スキル的にも、確かに強そうだ。
一国?の王だけあってレアなスキル(祭主)もあるようだし。
ゴブリンの中では強い方なのだろう。
格下ばかりと戦ってきた俺にとってはカエンの次に戦う格上。
カエンの時は、戦闘っぽくは無かったから、あれをカウントしないのなら、対峙するのは今回が初めてだ。
今回も拘束されているので、戦闘にはならないだろうが…。
しかし、俺を王に会わせてどうするつもりだろう。
「ギャギギギャ」
俺の後ろの青年が呻き声をあげる。いや、王に話しかけているのか。
『ワカッタ、スグニサイダンをヨオイシロ』
ゴブリンの言葉は呻き声だけだとばかり思っていたが、王は念話(魔物語)を使えるのか。
ん?今なんか大事な事を聞き流した気が?
サイダン?祭壇?
感想が欲しいっ!
読んでくれている方、ダメ出しでも全然構いません感想ください。
ビクビクしながら読みますので。
面白いとか言ってくれると自信つきます!
まぁ、嘘はダメですよね