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閑話

おはようございます

今まで本当にすいませんでした

試験終わりで気が抜けちゃって…

考えたら一ヶ月近く経ってました。

あ、そろそろ期末や

とある砂漠地帯。

オアシスの景色もなく、辺り一面に砂が広がって居る。

何処まで行っても景色は変わることがなく、全く同じ場所が繋がって居るような錯覚さえ覚える。

そんな砂の茶色と雲ひとつない晴天の青の広大な世界に、ポツンと一つの黒い影があった。

その影はゴシック調の黒いドレスを身にまとった年端もいかない少女で、その顔には汗一つない。

周りになにも生の気配がないこの場所は彼女の存在の異質さを際立たせていた。

否。

彼女の異質さがこの場から生の気配を奪ったのだ。

少なくとも、ここら辺一帯の主である土竜が少女の姿を一目捉えた途端、巻いて逃げ出す程の気迫を彼女は持っていた。

そんな少女はつまらなそうな顔をしながら何処を目指すでもなく歩き続けていた。

悪魔という魔物の話を聞いたことがあるだろうか。

もともとこの世界の生き物だった物たちが虚無へ落とされて、再び帰ってきた物たちが魔物であるが、悪魔達は虚無の住人である。

魔と絶望と恐怖と混乱とが入り混じる虚無(マカイ)で育つ彼らは常に戦いに明け暮れ、力を持つものが周りの者を支配する。

この世界よりも、さらにわかりやすい弱肉強食の世界。

彼らは力比べをすれば大鬼にも引けを取らない、そして日々の戦いで鍛えられる戦闘能力。

悪魔達は唯一魔界とこの世を行き来出来る生物と言われているが、下級の悪魔でさえ、この世に現れたら天災に匹敵すると言われて居る。

何より特出して居るのは魔力だろう。

その魔力の多さは下級の悪魔でさえこの世界のドラゴンにも匹敵すると言われている。

そして、彼らは精神生命体であるのだ。

魔力が体の主であるが故に、自ら生成する依り代(からだ)は強靭なものになる。

そのため魔法に対する耐性が高いうえに、どれだけ肉体を壊されても死ぬことはない。

精神生命体である、龍種や妖精種は存在力がとても高く他の生物とは一線を画している。

それは悪魔達にも言える事であり、永年のライバルである龍種とともに、この世界のトップツー種族とも言われて居る。

突然の話だったが、もうお分かりだろう。この少女こそ悪魔である。

それも、魔界で悪魔将皇まで登りつめた強者で、それこそ龍種と同等の力を持つであろう。

誇張ではなく、彼女の部下は万単位で居て、呼び出せば、一体で天災級の悪魔が大量に現れることになり、地獄と化すこと間違いなしだ。

そんな彼女の前に、暫く無かった生の反応があった。

彼女は一人の男を見つけることだけを目的にして歩いている。

下界を旅するついでに会えれば良いかなぐらいに思っていたけど、やっぱり会いたい。

彼女の一人の空間は、男によって壊された。

代わりに広がっていたのは生の空間。

愛も怒りも悲しみも親切も喜びも苦しみも切なさも楽しさも、全部が全部生き物によって繋がる世界。

彼女はずっと一人で居たけれど、一人で居たからこそ、その空間での一人はとても辛かった。

いきなり外の世界に晒される。空気に触れる。

一人では辛いことだらけであった。

意識してしまうと、途端に会いたくなる。

独りでは居られない。

今はその生の反応にさえすがってしまう自分が居た。



しかし、彼女は次第に後悔し始める。

これは強い。

少なくとも、邪神の力を入れられて、暫くしてその力を手放し全盛期より弱体化した今の状態では。

全盛期の状態でも互角か、力で押し負けてしまうだろう。

彼女をしてそれ程の威圧を感じた。

しかし彼女にとってはそれはどうでも良いことだった。

この気配の主が、目的の男について何か知ってるかもしれないし、今は生き物との接触を何より望んでいた。

この位の方が自分から逃げないからちょうどいいじゃない、とさえ考えていた。



そのまま進む少女の前に現れたのは一匹の大きな龍だった。

しかし、成体して間も無いといった様子であり、威圧もたまに弱まったりしている。

完全精神生命体の龍種だが、この種族は特殊な出産方法をとる。

喰らった肉を自分の魔力と同化させ、産んだ子供に受肉させるための体を作って産むのだ。

そのために龍種は精神生命体にして、成長する体を持つ。

成体になれば、体を壊されても即座に体を生成出来るようになるのだが、子供のうちではそれは叶わない。

そして、魔力で作る体よりもしっかりとした肉体があった方が丈夫になる。

それゆえ龍種は、時折肉を捕食しては体に溜め込み、体が壊れた時用に魔力と同化させておくのだ。

こう言った理由から龍種は老いる。もちろん本体の老いは無いのだが、体には時間制限があるのだ。

この龍の姿からして生まれて100年も経って居ないような子供だろう。

威圧もだんだんと収まって来た。

確かに相当な威圧で内包する力も相当な物だろうが、悪魔将皇まで登りつめた少女とは圧倒的な経験の差があった。

龍の姿を見て気を良くした少女は、集中して何かをして居る風な龍に話しかける。

「これだけ威圧を垂れ流してどういうつもり?」

すると龍は驚いた様に顔だけを少女へ向けて

「あなたは私が怖く無いの?」

と言った。

「あんたごとき怖がって居たら、悪魔将皇の名がすたるわ。」

さらに余裕綽々と、見る人が見れば自慢気にさえ見える様に答える。

「すごい!本当に会えちゃった。私の事怖がらない人。本当に友達が出来るかもしれない!ヒロの言う通りだ!」

龍は人の姿をとり、少女に抱きつきながらそう言う。

グラマラスとまではいかないものの、しっかりとメリハリのついた体の美しい赤毛の女だった。

女は赤いドレスを身にまとっていた。

服に関しては、以前人型になった時の服をそのまま着ている状況になる。

少女との身長差もあり、少女は女の胸に埋もれる形になっているが、そんなことはどうでも良い話になっていた。

今、ヒロと言ったか?

「お前、ヒロを知って居るのか?」

無駄なスキンシップを華麗にスルーして尋ねる。

「え?う、うん。えっとねーーーー」

そこから悪魔と龍は一人の男について語り尽くした。

出会いから別れまで、どんな男だったかを。

話が終わった頃には、二人はすっかりと意気投合していた。

「最後の最後に締まらないのよね〜ヒロってば。」

「あーね。」

…………

………

……

「よし分かった!私があんたの師匠になったげる。常時発動スキルの訓練したいんでしょ?」

「本当!!?……できるの?」

「失礼ね!私が何年生きてると思ってるの!?それに私だって常時発動スキル持ってるし。」

途中から龍の悩みについての話題になり、悪魔が解決してやると言い出した。

龍の悩みは、彼女のもつ常時発動(パッシブ)スキルの覇気と言うもので、自らの威圧を数倍にも膨れ上げる物だ。

パッシブスキルであっても使用する魔力をコントロールすることによって、発動を弱めたり、完全に止めることも出来る。

しかし、基本的にはそう言うスキルはずっと呼吸のようにして来た事であるため、自らの意思でコントロールすることはとても難しいのだ。

ちなみに悪魔には悪魔の休息と言うパッシブスキルがあり、魔界から常に魔力を供給できるスキルだ。

しかし発動するのにも魔力を使うので実質少しずつしか増えていかない。

なので、ほとんど自然回復に任せて居るのだが、このスキルは魔力を込めれば込める程効率が上がって行くので、パッシブスキルのコントロールによって、魔力を一気に回復することも出来る。

実質悪魔の魔力量は無限とも言って良いだろう。

兎にも角にも、これにて悪魔と龍の出会いは終わり、始まる。

最強の女コンビと人々に言われるようになるのは、まだしばらく後のお話。


おやすみなさい

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