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魔王討伐戦 Ⅱ

おはようございます

どうぞよろしくお願いします

女性を近くに居た冒険者の元まで連れて行く。

その女性の無事を確かめた後、近くの建物に寄りかかった。

人間の死を初めて目の当たりにした。

人の死は人の心にそれなりの影響を与える。現に俺の目の前で女性の心情には大きな変化があった。

俺なんて、あの現代日本から来たのだ。

この世界の人達より、人の死に抵抗がない。

死に怯え、嫌悪したって当然だ。

もちろん俺の家族には親父だって居たし、母さんだって居た。

祖父も祖母もまだ健在だ。

だから、初めて。初めての筈。

だから、俺は人が死んだらこたえるだろうな、なんて今まで思って居たし、そう思って居たから人間の味方なんてしてた。

実際は?

何とも無かった。何も感じなかった。恐怖も、哀れみも、悲しみも、侮蔑も嘲笑も、喜びも。

何回も何回も何回も人の死をみて感覚が麻痺してしまったかの様に。

ただ、眺めて居た。

あぁ、死んだなぁ。って。

「うぇ、おおっぷ、」

その時を思い出して吐き気がした。自分を自分で嫌悪した。

そう思わないと、人として終わりだと思った。

「お、おう、おうぇぇぐぅぉほ」

今日はまだ何も食べていないので、胃液を絞り出す様に吐く。

何か吐かないと…。

「おい!大丈夫か。」

見上げるとそこには、駆け出しをやっと卒業した様な青年が立っていた。

「もう、全ての地区の探索が終わった。お前も冒険者だろ?俺達の仕事はもうお終いだ。」

俺の背中をさすりながら、達成感の様なものを含ませて言う。

生き残れた事への喜びか、たくさん人を救えたことの喜びか。

「まだ、小さいのになぁ。目の前で人が死にでもしたか。大丈夫だ、最初は皆そうなる。可哀想になぁ。」.

最初は皆そう(・・)なる。多分貴方の言っている『そう』と俺のなってるこれは違う。

俺はそうはなれなかった。

グッシャァァァァァ

俺を慰める男の腕に鳥の嘴が突き刺さる。

腕ごと俺を突き刺すつもりだったが、予想以上に腕の装備が硬く貫けなかったらしい。

鳥は俺と目を合わせて、男が刺さったままの嘴を振り回し強引に嘴を腕から抜いた。

男はこの世のものとは思えない悲鳴をあげながら飛んで行った。

死ぬ?このままだとまた、俺の前で人が死ぬ。

人の死を見たくはない。人が死んでも何も思わない俺を見たくない。

男と俺たちの間にかなりの距離が空いたのを幸いに、鳥と俺の周りに結界を張る。

他の人が入らないギリギリの大きさ。

逃げ遅れた人は避難し終わった、冒険者達も撤退している。騎士達は鳥の速さに翻弄されて検討ハズレの場所に居る。そのため、この結界はかなりの広さだ。

外からも中からも、物理もどんな魔力でも視力も聴力も嗅覚もさらに言うと神力でさえも、干渉出来ない絶対結界。

隔絶世界(ディメンションルーム)

魔王の戦いが今、始まる。


☆☆☆☆☆

私はナミ。16歳です。

ヒロさん、リオンさんに助けてもらってから、ようやく生活も軌道に乗って来たと言うのに、何故私達は魔王と戦わなくてはいけないのでしょう。

ヒロさんはものすごいスピードでどっかに行ってしまいました。

リオンさんは、ヒロさんが居なくなった途端に、ヒロさんとは真反対の方に行ってしまいました。

二人とも、私より若いのにしっかりしているなぁ、と、感心してしまいます。

特にヒロさんなんかは、普段から大人びていて、なんかお兄ちゃんみたいです。まぁ、私にお兄ちゃんが居たことは無いんですが、あんなに可愛くてちっちゃい子が、年上でましてやお兄ちゃんなんて嫌です。

兎に角すごいなぁと、思ってしまうのです。

私が勝てる事と言えば、身体強化ぐらいでしょうか。

一族に伝わる血を利用した強化方法。

この事に関しては、ヒロさんからも褒めてもらって居るので、少し自慢なんです。

と言っても、一族の皆誰も私に教えてくれなかったので、うまく使うことは出来ないんですが、使いこなして見せます。

スキルの使い方はヒロさんが教えてくれるので、頑張って覚えたいと思います。

なんでも、人のスキルが見えるんだとか。プライバシーなんてあってないようなものですね。

そう言えば、私にはもう一つ不思議な事があるんです。

なんか、小さい頃から時折頭の中に声が響いて来ます。

女の子の声だったり、おじさんみたいな図太い声だったりいろいろありました。

ヒロさんに教えてもらった私のスキルの中には、特に声に関係するような物はありませんでしたから、スキルには関係無いことなんだと思います。

それでもきっとヒロさんに相談すれば、何だかんだ言いながらも力になってくれるでしょう。

でも、私は相談しないことにします。

彼なら本気で聞こえなくなる方法を見つけるでしょう。

でも、私は何と無くこの声達が好きなのです。友達に慣れそうな気がして、何処かに見えない友達が居るような気がして。

だから、相談はしません。この声が聞こえなくなるのは嫌だからです。

そう言えばこの王都に来てからも、何度か聞こえました。

ここで聞こえた声は、どれも悲しそうで苦しそうで辛そうでした。

助けてあげたい。でも、どこの誰の声だかさえ分からない私にはどうしようもありません。

今は、私の仕事を全うするために、この町の人たちの避難を手伝わなければ。

そうだ、それとなくヒロさん達を探してみましょう。

なんだかんだ言って私よりも年下です。

いざという時は私が守らなきゃ。

そう考えて私は行動を開始するのでした。

☆☆☆☆☆

憤怒鳥と対面して相手の動きを待つ。

スピードが違いすぎるため、先手をとろうとしても、俺が動いた後からでも容易に先手を取り返されてしまう。

ここは迎え撃ち、カウンターで返す。

そう決めるが速いか、俺は早速、スキル獣神形態を発動する。

目立ちそうという理由で今まで使えなかったスキルだ。

しかし、ここは視覚もなにも通さない異次元。

最早隠すことも無い。

俺の影がどんどん巨大になって行く。

これが月光狼の姿。体長4mの白銀の狼。

やはり、この姿が一番力を出しやすい。

対人戦ではなく、魔物相手の勝負にもってこいな姿だ。

『貴様、魔王か。何故私の邪魔をする。』

鳥の念が届く。

何だ、話せるのか。それなら話が速い。

『理由か、そうだな…。人間が気に入ったからかな。』

『笑止』

言うが速いか、憤怒鳥はものすごいスピードで飛んできた。

この姿では、的が大きすぎて当ててくださいと言っているようなものだ。

だから、俺は避けない。

憤怒鳥の軌道上に即席で結界の壁を作る。

憤怒鳥の嘴は、結界の壁を意図も容易く貫くが、スピードは落ちて居るようだ。

まぁ、即席の結界ではこんな物だろう。

それに、元々防げるとは思って居ない。スピードとは変換してしまえばそのまま攻撃力に直結する。

この憤怒鳥の突きによる攻撃力は相当なものだ。

全力で時間をかけて作った結界なら未だしも、戦闘中に片手間で作った結果など意図も容易く貫いてしまうに決まって居た。

スピードが落ちたところに、巨大な爪を立てた足を力任せに叩きつける。

すると憤怒鳥は弧を描き飛んで行った。

飛んで行ったまま距離をとった憤怒鳥。今度は遠距離で戦う様だ。

憤怒鳥の後ろに、幾つもの不可視の矢が生成される。

風の矢か…厄介だ。

確か中級の魔法だった筈だが、これだけたくさんとなると捌き切れない。

それに風の属性の特徴で魔法に実体がなく不可視である。

どれだけ大きくなろうと、俺の防御力は相変わらずなので、一発でも当たれない。

すぐさま全部撃ち落とす方向にシフトチェンジし、全身の体毛を触手の様にする。

自由にバラバラに動かせる触手の数はせいぜい4本。

幸い矢が飛んで来る方向は憤怒鳥の方角だけなので、触手を扇風機の様にブンブンと振り回す。

振り回すだけの単純な動きなら幾らでも触手を動かせる。

数十本もの触手がなす円運動をくぐり抜け俺の元へ辿り着くのは不可能。

暫くして風の矢の雨もやんだ。

次はどう動く?と憤怒鳥の動きを待つが、鳥の動きは一向にない。

思えば、魔力総量も大きく減って居る様だ。

魔力が自動回復して居ない様だ。

やはりか…。

俺が結界の中にこいつを閉じ込めた一つの目的が達せられた瞬間だった。


ナミは16歳

ヒロくんは17歳でリオンは14歳です。

ナミさんの中では、ヒロくんはリオンと同い年らしいです。

年上ですよ〜


お盆と言うことで何かと忙しく8/16投稿出来ません

すいません


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