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土竜戦

おはようございます

今回は少し短いです

申し訳ございませんm(_ _)m


「危ない!」

どんどん爪が彼女に迫って行くのを見ていた。

しかし、体が動かない。

頭が真っ白で何もできない。

スキルを使うことで助ける事は出来そうなのに、この状況、一人が死にそうなこの状況において、判断が全くできない。

命がなくなる瞬間なんて、何度も見て来ている話なのに、むしろ人間はたくさんの魔物を蔑み殺してきた相手だと言うのに。

人の姿が死ぬのは耐えられない、存外俺もまだ人間の頃の意識の方が強いのかもしれない。

そんな事を自嘲気味に考えている今もなおとんでもないスロースペースで土竜の爪が彼女に迫っていた。

そんな、スロースペースの世界の中で一人、何も顧みずただただ一直線に彼女へと動く影が一つ。

それも途轍もない速さで。

走馬灯の様にゆっくりと流れる世界の時間。おそらく無意識に神経速度加速をしているのだろう。

その世界でこれだけの速さ、それだけで尋常では無いことがわかる。この世界でそれだけ動けるのは俺だけのはずなのに。

その時点で現状の判断能力が回復してきていることに気づいた、しかしその時にはすでにその影が片手に持った槍で爪を受けとめ彼女を抱きかかえた頃だった。

いくら体を鍛えて居て少し体つきが良くても、それこそボディービルダーのような筋肉では無く全身にバランスよく着いている程度の青年がしていい行動ではない。

しかし、確かに片手で爪を受けとめているのだ。

俺は無意識に発動させていたスキルを解く。これで安心だろうと思ったからだ。

「全く貴女は危なっかし過ぎます。一国の姫だと言うことをどうかお忘れなく。幾ら貴女が強かろうと、お姫様なのですから。」

「良いから離しなさい、これ位一人で大丈夫。少なくとも貴方よりは強い自信があるわ。」

片手で爪を受けとめられたことに驚いたのか怒ったのか、土竜は一度爪を引っ込め体勢を立て直し今度は突進を始めた。

しかし、すっかり2人の世界に入り込んでしまった様で、全く気づく様子がない。

今度ははっきりしている頭でちゃんと行動が出来る。

土竜の前に出て地中に毛を通し土竜の四本の足を全て地面に縫い付ける。

本当はさっきの青年みたいに突進をカッコ良く止めるつもりだったのだが、寸前のところで自分の防御力の異様なまでの低さを思い出した。

やはりまだ少しテンパっている様だ。

「確かに貴女は強い。強いが故に愛を知らない。強い人間は愛を注がれにくいですから。人は弱いものほど可愛いものです。だけれど、僕にとって貴女は守るべき主であり、美しい姫様であり、守りたい可愛い女の子だ。だから、僕を心配させる様な真似はやめてください。」

「嘘だ!愛されてるのは姉さんで、私は…私は、大切になんてされたことない!」

「そうかもしれません、貴女はお強い。でも、それは関係ないのです。私は、貴女をお守りする。」

その言葉に青年の胸に倒れかかる少女。

その目からは涙がこぼれて居る様だ。

良い話だ、良い話なのかもしれない。

だが…

「あの〜お取り込み中のところ悪いけど、そろそろこっちに戻ってきてくんない?」

とっさに出した毛では流石に抑えきれず、そろそろ毛がちぎられる。

2人は今、俺たちが居ることに気が付いたのか、顔を見合わせて途端に真っ赤になった。

ちなみに他の面子はと言うと、

リオンと魔術師の様な男は、魔法で少しづつダメージを与えている。

ナミは強化した肉体で打撃を与えている様だが、流石に生身は痛いらしく今はもう休憩して居る。

おい、そこの魔術師こいつらお前のところのだろ、何とかしてくれ。

しかし、魔術師は素知らぬ顔で攻撃を続けて居た。こう言うのが日常茶飯事なのだろうか、少し同情する。

そうして居るうちに土竜の拘束は解けてしまった。

いきなり千切れた反動で、そのまま土竜が俺に突っ込んでくる。

ここは、仕方ないので迎え撃つ。

結界の能力やらは、他のメンバーにする説明も難しいのであまり使いたくない、出来れば体毛操作だけで倒したいところだ。

そうして突進してくる土竜に毛で形作った剣を向ける。

総数八本もの剣が一斉に土竜に向かって突きをかましに行こうとした時だった。

土竜の足元から、極太の茎の様なものが生えてきて土竜に絡みつく、そして土竜の目の前にさっきまで姫様?と2人の世界に居た青年が立っていた。

このままだと俺の剣が彼に当たってしまうので、仕方なく剣を止める。

先ほど難なく土竜の攻撃を止めて居たのだから大丈夫だろうと後ろから眺めて居ると。

「うわぁー!!!!」

先程攻撃を受け止めた槍を構え、どんな魔法か、信じられないほど高く跳躍した後頭に向けて槍を突き出した。

「うわぁー!!!!」

しかし、しかしその攻撃は、ゆっくりと簡単に弾かれてしまった。

最期を悟り、死を恐れたかの様にがむしゃらに暴れて居た頭で頭突きをくらって。

「きゃー!アレックスー!大丈夫ー!!?」

信じられなかった、それほどまでに異様な光景。

先程攻撃を受け止めた時、青年は片手で純粋に力任せに受け止めた。

力を受け流す素振りすら見せず、単純な力勝負に先刻この青年は勝った。

中位の魔物でありながら、その力の本質が見れるのは集団による連携攻撃、群単位の戦略級の連携が力の本質であるところの人間。

その人間が、上位における竜種に純粋に力で勝つという状況がすでにおかしかったのだが。

それにしても、何度も言うが先程この青年は力で勝った。それも圧倒的な差を見せつけて。

それほどの力の持ち主の、恐らく全力をかけた攻撃が、死を悟りがむしゃらに暴れただけの頭突きに相殺どころか跳ね返されるなんて…。

そんな事が起こってもいいのだろうか。

ここで思考は一旦中断、こんなどうでもいいことを考えている場合ではない。

かなりのスピードで地面に突き刺さった青年-アレックス。相当な怪我をして居るだろう。

しかし、心配はいらない様だ。アレックスの元に行った姫様が、何やら薬草の様なものを持っている。

よく見ると姫様の周りにたくさんの薬草が咲いている。

それも相当な魔力が詰まっている様だ。確かにそれほどの薬草なら怪我もすぐに治るだろう。

やはりと言うべきか、薬草から作られた回復薬はしっかりと効いた様で、先程まで荒かったアレックスの息遣いも落ち着いてきている。

しかし、姫様はしまったと言った顔で土竜の方を向く。

何事かとつられて俺も土竜を見ると、そこには、本来足に巻きついて居るはずの植物の茎は無くなって見えるほどに細く短くなって居て、拘束が解かれ完全に怒り心頭と言った様子でこちらをみている土竜が居た。

姫様のこの反応を見るに、植物による拘束は姫様の仕業で、アレックスへの介抱に気を取られ拘束を解いてしまったと言ったところだろうか。

どちらにせよ、このままだと2人が危ない事は確かだ。

他のメンバーは遠くから魔法を撃っていたり、ナミにいたっては役に立てないと思ったのか、遠くで砂で絵を書いている。

こっちで何が起きているか、イマイチ理解していない様だが、それだけ離れていれば安全だ。

俺は2人の前に立ち、土竜を相手取る。

関係無しに突っ込んでくる土竜に、さっき作っておいた剣を投擲して牽制する。

牽制が効いた様で、少し足を止める土竜。

その間に新たに剣を作成する。

5m強の途轍もなく大きな大剣、純白の刀身。

太陽の光に照らされて、銀の様に光るまさに月の様な大剣。

銘を月狼剣。

俺の魔力でコーティングされた魔剣だ。

実はずっと前から考えていて、練習もしていた。今日が初お披露目。

そんな初お披露目の場で、月狼剣はしっかりと期待に応え、今回の依頼を果たしたのだった。


土竜と書きますと本来であればモグラと読みますよね?

私の辞書にもそう書いてありました。

が、今回は竜種と言うことで、『どりゅう』と読んでください、

ちなみに見た目はモ○ハ○のボルボ○スを想像してくれれば大体あってます

それではおやすみなさい


申し訳ございません

始まりの章2部と3部の間に本当はもう一話あったはずなのに

一話消えていました。

急いで書き直します[6/22]

いつから消えてたのでしょうか…

↑そんなことありませんでした

ちゃんと確認しろ俺!

お騒がせしました[6/22]

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