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管理部屋にて…後半

今日もギリギリで、推敲などしてないけれどどうぞ。


「すいません、随分と長話をしてしまったみたいで…。」

彼女は自分がみせた笑顔に自分でも驚いたようで、顔を引き締めてからそう言った。

俺的には、随分と色々なことが聞けたしむしろもっと聞いていたかったんだけれど。

「生き物と話すのが、70年ぶりだったもので、恥ずかしながら少し興奮していたみたいです。」

そういえば、その70年前にここに来たというのがカエンなんだそうだけれど、それは今はどうでもいい話か。

「長々しい説明も終わったというところで、そろそろ本題に入らせていただきます。」

俺が余計なことを考えていると、告示者さんは本題に移ろうとしていた。

70年ぶりのお話ならもう少しゆっくりしてもいいのに。

「さて、改めまして魔王進化おめでとうございます。つきまして今回の要件なのですが、魔王になったということで、人型を授けます。何故人型を授けるか、というと…。」

告示者さんが言うには、この世界の人間とは魔物なのだそうだ。

告示者さんは、人が魔物という前提で普通に話していたから聞き返してしまった。

そういえば、この世界は妖精だけが住んでいた所に魔物がやって来た世界なのだから、それも当然と言っちゃ当然なのだが。

そんな人間なのだが、簡単に言うと今調子に乗っちゃってるらしい。

「彼らは、自分達が神に酷似していること、その上力も中堅クラスはあり、更には高度の知力を持っていたため、自分達こそ神に最も近い存在だと勘違いし始めたのです。」

ということは、神様ってのは人型なのかぁ。

それにしても、そこだけ聞くと人間って嫌な奴だな。

「彼らは周りの魔物達と距離を起きました。自分達はこいつらとは違うとでも言いたかったのでしょう。

自分達が特別だと言うだけならまだしも、他の魔物を下等だと言い始め、虐殺を繰り返して行きました。

そうして彼らは全ての魔物達を敵に回したのです。」

そりゃそうだ。

俺たち魔物には食う食われるの関係はあれど、侮蔑や軽蔑の関係はない。

絶対的強者でさえも、だ。

自分達の為になる事以外で殺生はしないし、そもそも他の派閥の生物に関わることもないだろう。

自分達の邪魔をするなら容赦はしないし、味方にするなら協力し合う。

どんな戦闘狂でも、殺した魔物は自分達の糧にする、逆に言うと自分達の糧にならない殺生はしない。

どういう形であれ、強くなるため、生きるために糧になる以外の殺生はしない。

それまでに生に貪欲な魔物達にとって、面白半分に殺生をするというのは許せなかったのだろう。

もちろん、野生の世界では自分以外の生き物以外は敵だけれど、敵の敵は味方ではない。

自業自得としか言えないけれど、少し哀れだ。

今の話を聞いて、イラつくを通り越して哀れだった。

そんな風にしか考えられないなんて…。

「しかし、問題は今なのです。今彼らが何を思い、どうしているか。彼らの先祖が作った罪に囚われず、今の彼らを見てあげなければならない。今、彼らは魔物とは大きく切り離された世界で生きています。彼らは、そもそも自分達が魔物であることさえ忘れているかもしれません。彼らは相変わらず、魔物に対していい印象を持っていないようですが、かつてのような虐殺があるわけではなく、冒険者という凄腕の人間が、野生の魔物による被害解決や素材を集めることを目的にした殺生以外に魔物が殺されるということは無くなりました。

彼らの魔物への意識は、彼らの中で長年に渡って作られた常識(・・)によって作られています。

だんだんではありますが、そんな常識に疑問を抱いている人間も居るようです。

そこで、私達は人間を助ける価値あり、と見ました。

常識は長年に渡って行われた一種の洗脳のようなもの。

彼らに先祖達の罪を全て被せるのは少し酷なのかもしれません。」

確かに、酷なのかもしれない。

最初から、魔物は忌むべきもの。そう信じて疑わない大人たちに、教えられながら周りの人も同んなじような事を言う世界。

そんな中、常識に囚われないなんて無理に近いのかもしれない。

「そこで、話は戻ります。新たに魔王になったものに我々が人型を授けている訳は、そんな人達を助けるためです。魔王には、配下を作り軍を作る力があります。そんな軍が一斉に人間に敵対したら、人間はすぐに絶滅してしまうでしょう。

しかし、逆に魔王が人間と少しでも親しくして居たら、他の魔物に牽制して置くことも出来るうえに、魔物の中でも人間に対する意識を改めて行くことにつながるかもしれません。

そこで新たに魔王になったものにはこの話をして、人型を授けるのです。

人間として、少し暮らして見るのもよし、人間と貿易してる魔王なんてものも聞きます。人型の使い方は自分達次第です。

彼らの常識を覆し魔物を認めさせるには、彼らが常識を形作った時間より更に長い、気の遠くなるような時間が必要になります。

それでもいつかは、彼らが魔物と何も変わらないのだと言う事をわからせなければいけないのだけれど、今はとにかく彼らを無駄に絶滅させないように、しなければならないのです。」

それで、俺に人型を…。

人型をもらったところで、俺が何か出来るとは思えない。

そもそも俺には配下もいないわけだし。

しかし、俺はもともと人里を目指す予定だったから好都合だ。

人型をどう使おうが俺らの勝手。

だから、好きなように使わせてもらう。

しかし、人と敵対しなければならないような使い方はしないだろうと思う。

俺は最初から第三者の立場の意見で、真相を知ることが出来たからこんなことが言えるのかもしれないが。

人間と魔物の争いなんて、何も知らない。

そんな俺だからこそ、魔物と人間との橋渡しができるかもしれない。

そんなように一瞬思った。

「では、人型を授けます。人型は能力というより、もう一つの体という風に考えてください。しかし、もう一つの体だからと言って身体スペックが人のそれまで、落ちてしまうということはありません。そもそも本来、この儀式は、魔王になったものに神の姿を授けるものだ、という話はしましたよね?スペックが上がることはあれど、下がることはないと思ってください。では、始めます。」

俺が思ったことを口にしたら、告示者さんは少し嬉しそうな表情になった後こう言った。

そして、間も無く儀式は何事もなく無事に終わった。

儀式というか、告示者さんが俺の体に少し触れて、少し能力を行使しただけなのだけれど。

今俺は魂剥き出しの状態だから、魂に触れたのかもしれないけれど…。

そんなことはさておき、これで俺に一つやることが出来たわけだ。

まず、当面の目標は人里に行くこと。

魔物と人との橋渡しをするとか、偉そうなことを言ってしまったが、とりあえずは人間のところに行くことだ。

人間も魔物もどちらも経験しているが、この世界の人間が、元いた世界と同じようなものとは限らないのだ。

とりあえず、人間と接触しなければならない。

何をしようにも、全てそこからだ。

次の事はまた次の時に考えればいい。

なんだかんだで、やって来たではないか。

そう考えることで、俺は考えるのをやめた。

「貴方のこれからが素晴らしいものになりますように。この世界は時間が経つことは無いので、貴方は貴方が寝ている時間に戻ることになります。」

告示者さんがいつの間にか締めに入っていた。

…少し待て。

落ち着け告示者さん。

急がなくていいだろう。

貴方はずっと一人だったのだから。

「貴方は、話すのが久しぶりなのだろう?ずっと一人でここに居たのだろう。ずっとさみしかったのだろう?」

「え、えぇ。ありがとうございます。」

少し、困惑したような、驚いたような、それでいて嬉しそうな顔をし、そう言った。

しばらく話をして分かった事がある。

彼女はとても、よく笑う。

最初は能面みたいで、感情がまるで無いような錯覚を覚えたほどであったが、少し慣れてくると、感情をさらけ出してくる。

話すのがまだ慣れてなく苦手みたいで、敬語は相変わらずだが、しばらく話してこなかった所為かポーカーフェイスが苦手のようで、感情が顔にすぐ出る。

話していてとても楽しかった。

それでいて思ったことが二つある。

まぁ、一つは提案みたいなものなのだが。

「あのさぁ、告示者さんってものすごく呼びにくいんだけど…。なんか、本名とか無いの?」

先ほどからずっと告示者さん告示者さんと呼んできたが、告示者さんって名前って感じがしなくて呼びにくい。

「はい、申し訳ないのですがございません。生まれた時は改良者という名前でしたけど…。」

そうか…。

それならば仕方ない。

「それとさ、提案なんだけど、俺と一緒に来てくれないかな?君はずっと一人だって言ってたし、ここは君が来る前からあったみたいだから、君が居なくても機能するんでしょ?」

俺もそろそろパートナーが欲しいと思っていたのだ。

魔王になった原因も、元はといえば俺の不注意だし。

しっかり者のパートナーが欲しかったのだ。

それに、一人じゃさみしいし。

「え、えっと…。ご迷惑をおかけしてしまうかもしれませんし…。」

「嫌なの?」

「え、えっと別に嫌なわけでは…。しかし…貴方が、ここの神に敵対される可能性も…。」

「来たいの?来たくないの?」

「え、えっと……い、行きたいです…。」

「おっし!決まったね。良かった良かった。」

少しばかり強引過ぎたかもしれない。

でも、このくらいじゃなきゃだめだ。

これも話していて分かった事だけれど、彼女はとても奥手だ。

それもまぁ、仕方のないことなのかもしれない、長い間一人でずっとさみしかったのだろうから。

自分から積極的になれない、彼女の社交性はほぼゼロかもしれない。

一人で居た時間はきっとカエンやルイよりも長い。

だから、俺が折れたらダメだったんだ。

俺が折れたら、もし彼女が本当に行きたがってたとしても、彼女は言い出せなかっただろうから。

「じゃあさ、これからパートナーになるんだからやっぱり名前ってあった方がいいよな。もしよかったらだけど、俺に決めさせて貰えないかな?これから過ごすパートナーなんだし。」

「え、えぇ分かりました。」

「じゃあ、よろしくな、『アリス』。アマリリスからとった。おしゃべりで、内気で…それでいて美しいアリスにぴったりだと思わない?」

実は話してる最中に決めておいたのだ、花言葉はあまり詳しくないから、意味は違ってるのかもしれないけれど。

それは俺の気持ちでカバーするということで。

「アリス…、私はアリス…。とっても良い名です。ありがとう。」

そう言って微笑む彼女を光が包んだ。

もしかして、俺少しだけ上手くなった?

少しづつ、読みやすくなって来てるのかなと思うので、連休になったら、また最初から少しづつ改定して行こうと思います。

今年度中は無理かもですけど…

あ、次回は少しだけ管理部屋での話の後ようやく地上に降り立ちます。

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