管理部屋にて 前編
前後編にわけたら短くなってしまいましたがどうぞ。
本当は日曜日に投稿するよていだったんだけど
ミスったw
投稿をぽちっとしてから気づいたよ
まぁ、いっか
魔王になったとはいえ、戦闘経験は皆無に等しい。
魔王の力を未だに扱い切れる自信がない。
俺は、魔王になって増えた力になれる事をまず優先した。
…つまりは逃げた。
この場から即刻。
いつ配下がやってくるかわからないし、主が倒されて怒り狂ってしまうかもしれない。
偶然魔王になった程度の俺が、生粋の野生魔物に勝てるかどうか不安がたくさん残る。
今は急いで、逃げよう。
もちろん、スライムの回収は忘れない。
今日のご飯なのだ。
俺は、いち早くこの場を移動した。
今日は疲れたので早速寝ることにする。
葉っぱを敷いてお布団を作って、周りに結界を張って、即席で寝床を作る。
その時条件を作って、中の温度を適温にすることを忘れてはいけない。
睡眠は出来るだけしっかりと、これもここ数日で学んだことだ。
少しも妥協せず、全力を尽くそう。
油断してはいけない。それは特に今日学んだことだ。
結界は張るのと、霧散させるのにのみ意識を使うと分かったのでもう安心だ。
魔力をできるだけ込めて強固なものを作ると虚脱感に襲われて来た。
しかし、今日は最後にスライムを食べなければならない。
お腹空いているし…殺してしまった相手への俺なりの礼儀だ。
まぁ、俺は俺のためなら、いくらでも殺すがな。
そう考えて(途中少しだけずれてしまったが
)、スライムを恐る恐る口に入れた。
ねちょねちょで、とぅるとぅるしていて最初はびっくりしたが噛めば噛むほど甘みが出てくる。
それに、さすが魔王である。失われた魔力がものすごい勢いで回復して行く。
これはくせになりそう。
そこに
[捕食者が発動します。]
種族 スライム
名前 ライ
順位 2500000000
能力 溶解(体内に取り込んだ物を溶かします。)
解析(体内に取り込んだ物を解析します。)
吸収擬態(体内に取り込み解析した者の体の形態を細部まで擬態し、力を使います。)
-竜形態・悪魔形態・一本角形態・大鬼形態・人魚形態・白兎形態
無限進化
耐性 魔法耐性大
順位が俺の順位まで落ちているのは、俺に倒されたからなのだろう。
50位は二人もいらないといったところか。
この魔王は、どちらかというと俺に近い形で力をつけたようだ。
敵、物質を取り込む
↓
体内で解析
↓
体を組織レベルでコピー
↓
力を行使。
といったところか
ということは、スライムでありながら竜や悪魔になることが可能だったということか。末恐ろしい。
しかし、これは使える。
おそらく俺の捕食者で、取り込むことと解析は可能。
吸収擬態で、形態まで手に入る。
かなり、強化が可能になってくるな。
吸収擬態を獲得したところで、睡魔に抗えずに寝てしまった。
真っ白な空間。
ふわふわしてて、体が何処か浮いているみたいだ。
周囲は音一つなく、少しでも音をたてるとどこまでも届いてしまいそう。
そんな錯覚を覚える。
俺の体といい、周りの様子といい、現実味がまったく無い。
夢…だろうか。
夢を夢だと自覚できるのって、凄いことなんだっけ?
明晰夢だっけか?
まぁ、いいや。
こんな時に、神様が現れて…みたいなのがテンプレだったりするのかな。
「こんばんは」
はいきた!
そこに現れたのは、どこか神秘的な女性。
長いピンクの髪で、美しい顔立ち。
美人、誰もが見惚れる美人。
この世とはかけ離れたような美人だった。
誰の心をも鷲掴にするような美しさ。
そんな女性が、能面のような無表情で現れた。
「こんばんは、はじめまして。ようこそ管理部屋へ。」
何処か聞き覚えのある声が、そう言った。
確かに、はじめましてなのだが、声だけ聞くと会ったことある気がするのだが…
「は、はじめ…ま、して?」
俺が疑問に思いながらも、なんとか挨拶を返す。
そうすると、女性は能面のような無表情な顔に、少しだけしまったと言ったような色をにじませて答えた。
「申し訳ありません、私は告示者と呼ばれるものです。この部屋の管理を任されています。」
あ、どーりで。
聞いたことがあるような声だと思った。
しかし、全く現状が掴めない。
混乱して普通に挨拶してしまったが、今考えてみるとそんな事をしている条件ではなかった気もする。
まぁ、今となってはどうでもいいことだ。
とりあえず、現状確認が大切である。
スゥ〜ハースゥ〜ハー
まずは冷静に…
「ここはどこ!?貴方は何!?あぁもう何が何だかもぉ!」
…なれなかった。
テンパりは治っていなかった。
「順を追って説明いたしますので、少しお待ちください。」
むしろ、深呼吸をして溜まった空気を全て吐き出すようにしたので、とても大きな声で叫んでしまった。
しかし、そんな俺を意に返さぬ様子で説明を続けて行く。
最初は嫌な顔ひとつしない、いい人だなと思えたが、次第に不気味になってきた。
この人から感情というものが見つからないのだ。
しかし、確かに命の息吹を感じる。
死んではいない。
少し薄ら寒い恐ろしさを感じる表情だった。
「まず、ここはどこかと言う話ですが、ここは管理部屋。この世界のシステムを管理する部屋です。」
いつの間にか話を再開させていた告示者さん。
しかし、システム…?
「魔物の順位システムやステータスシステム。など魔物のステータスに関わることはシステム化されています。つまり私たちは、この世界のステータス全てを管理しています。」
ステータスを管理?それはまぁ、ゲームみたいな。
「なんでまた、そんな事を?」
まるで、誰かが育成を、強化を楽しんでいるようじゃないか。
誰かが育成ゲームをしていて、魔物はそのキャラクター。そんな錯覚を覚えてしまう。
「確かに、今はそのような勘違いをした邪神が居るのも確か。しかし、本来ステータスを育てるのは魔物自身でありますし、私たちはそのお手伝いさせていただいてるだけです。出来るだけ彼らの経験や、心の力、意思の力をステータスに反映させるのが私たちの仕事です。それに、本来のステータスシステムとは彼らの力のためにあるのではありません。」
確かに、そうなのかもしれない。
俺だって、ここまでステータスをあげて来たのは自分の意思と力だということを自負している。
しかし、地の文を読まれた…だと?
「さておき、残りの質問に答えるためにも、今の答えかけの質問に答えるためにも、ここは少し昔話をさせていただきましょう。この部屋が、何のために作られて、どんな背景で作られたかをこれからお話させていただきましょう。」
彼女は目を閉じた。
彼女の能面のような無表情な顔に、少しだけ悲しく寂寥の色が映ったように感じた。
意思の力より
医師の力の方が変換の優先高いのはなぜ!?
中2的に許せない。




