閑話 今の今での今までの
時間空いたにも関わらず
ダメ回でごめんなさいね
まぁ、怒らないでくださいや
ほらほら、子供は遊ばないとね
sideカエン
彼と別れてから自分の頬がかすかに熱いのを感じた。
最も今の体には頬が熱くなるなんてことは無いのだが。
おそらくこれは恋だ。
兄ちゃん以外にこんな感情を抱くなんて思ってもいなかった。
こちらの世界に来て100年経った。
心はすっかりこっちの色に染った。
だから、あんなに初々しい心に惹かれたのだろうか。
違う、決してあんな甘ちゃんな考えに惹かれたんじゃない。
あんな考えじゃ、この世界では生きていけないし、すぐに行き詰まる。
ついて来てくれる仲間も出来ないだろう。
でも、その考えの中に、曲がらない信念みたいなのが垣間見得た気がしたんだ。
きっとそれに惹かれたんだろう。
彼なら、きっと何があっても大丈夫。
あの綺麗な心がどんなに汚れても、彼の心は強いままだろう。
そんな気がした。
そんな兄ちゃんみたいな頼もしさがあってカッコいいなって思った。
あんな奴に兄ちゃんの姿を重ねるなんてどうかしてるかもしれないが。
名前だって、お兄ちゃんの裕人からとっちゃったりしてる。
さっきから兄ちゃん兄ちゃんと言っているが、私に兄と呼べる血縁関係者はいない。
兄ちゃんとはもう血縁関係はない。
私には前世の記憶がある。
兄ちゃんを除く私たち妹弟は、ある日同時に死んだ。
そしたら私たちは、次に気付いた時全員で不思議な部屋に居た。
そこは所謂神の部屋というところで、私たちは転生をしたそうだった。
そこに居た女神セレーネは訳あって兄ちゃんを呼び出そうとしたらしいのだけれど、失敗して私たちをこの世界に連れてきてしまったのだとか。
彼女はとても私たちに謝ってくれたし、いろいろと待遇を良くしてくれた。
謝ることなんて無いのに。
結局私たちはこっちに来ただろうから。
他の二人の妹弟はどうか知らないけど、私は恐らく兄ちゃんがいなくなったら、どこまでだって異世界だって探し当てて見つけに来てただろうから。
まぁ、残りの妹弟達も私ほどじゃないけどブラコンの気があるので、勝手について来たかもしれないけれど。
そんな訳で、異世界に転生して来た私たちなんだけれど、今まで妹弟に会ってはいない。
ドラゴンとして生まれた私の力はとても大きくて、所謂転生チートというやつだろう。
でも、力が強過ぎて孤立して、いろいろな思惑に巻き込まれて利用されて…
いつの間にか誰からも恐れられる、そんな存在になっていた。
威厳をみせるため、俺や我のような一人称を使うようになった。
魔力量が増加して来て、私が近づくと誰もが発狂してしまう程にまでなった。
寂しくて寂しくて寂しくてただ人が恋しかった。
どれだけこの世界に馴染もうと、私は元女子中学生なのだから。
むしろ100年たった今でも中学生のままで、前世のまま時間が止まっているかのようなのだから。
そんな時に彼に会ったから、だから好きになってしまったのかもしれない。
魔物は基本種族関係なく結ばれることができる。
ましてや、お兄ちゃんの時見たいに血のつながりがある訳でも無い。
だから、私はこの恋を逃すつもりは無いのだ。
彼はこの間にもどんどん強くなって、心が汚れてもきっと強くなっていることだろう。
私は、彼に会うために、彼と釣り合うために、修行しなきゃいけないのだ。
待っていてくれヒロ。
side out
sideルイ
彼がいなくなった途端静まり返る空間。
チクタクとなる時計の音が妙に響く。
普段に戻っただけなのに、いつもと違うみたい。
こんなのどうってことなかったのに…
私は知っちゃって…
少しだけうるさい彼の隣を知っちゃって。
もう、戻れない。
もう取り返しがつかない。
もう、音無しでは生きていけない。
白黒でBGMも何も無かったこの世界に、色と音を連れてきた彼が、私は多分たまらなく
「好き…なんだよな。」
だいぶ染められちゃったな、と思いながら早く会いたいなって思う私はもう、末期だろう。
昔の私は犬に恋することになるなんて、本当に思ってなかった。
そもそも、昔の私は悪魔界の四天王の末席を汚す悪魔将皇の一人だった。
単純な魔力量では、実質魔界2位だった。
完全暴力政治な悪魔にとって力こそすべてであったため、余計に自分の力に酔っていた頃。
私程の存在を召喚した奴がいた。
魔界から地上に行くには相当な魔力が必要になってくる。
まして、呼ぶなんてただでさえ膨大な魔力がかかるのに、私を呼べるなんて。
私は、私を呼んだ奴が気になっていた。
完全精神生命体の私たち悪魔は、地上では受肉するための肉が必要だった。
肉は魔力によって作ることも出来るけど、肉があった方が手っ取り早いし、物質に干渉しやすくなっている。
だから大抵は呼んだ奴の体を乗っ取ってしまう。
しかし、私が地上に出た時見えた景色は想像していたものとはかけ離れていた。
大量の魔物のしたいの上に一人の青年が座っていて、私にこう言ったのだ。
「肉はこれで充分かな?悪魔将さん?」
そこにあった魔物肉は私の肉体を構築するためには充分だった。
彼の正体は神だという。
確かに彼の周りには神々しい何かが感じ取れるし、私は彼のことを疑いもしなかった。
だから、私は彼の誘いを受けたのだ。
彼の力で、私は神になった。
私は更なる力を、彼は戦力を手に入れた。
しかし、この世はそんなに甘くはない。
この力は仮初めで、借り物で神の中では孤立し、地上では神の身分の私は普通に生きて行くことは出来なかった。
そして、いつの間にかこんな辺境の空間に左遷されていて…。
自分で神の種を捨てることくらい出来るようになってからも、やけになってここに閉じこもってた。
誰も仲間になってくれない。
誰も私の味方をしてはくれない。
なら…ならどっちが死んだっていい。
私はどんどんヤケクソになって気まぐれで加護を与えて…
そんな日々に終止符を打ってくれたのが彼。
私はもう、彼なしでは生きていけない。
彼の温もりと、色と音が私の世界には必要なの。
だから、私は神を捨てる。
地上で、彼と共に生きて行く。
待っていて。
side out
side???
新参魔王が生まれた。
魔王が生まれるのはかれこれ70年ぶりだ。
この魔王は、とても面白い。
私の中にこんな感情があったのか、と驚いた程だった。
見ていて面白い。
まるで何処かの物語を読んでいるかのよう。
一昔前に魔王になった、黒龍のカエンも似たような面白さはあったのだが、こいつは比ではないな。
黒龍のカエンとこいつは転生者というのも面白いところだが、こいつの場合は初期ステータスからの上がり幅がすごい。
私もずっと見ていなければ、きっと信じなかっただろう。
それにこいつの心の力には目を見張るものがある。
もしかしたら…こいつなら…。
そんな期待を持ちつつ、私はこいつを待つのだった。
side out
ふと、思ったんだけど
メガネの上位種ってなんだろう
あの
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