称号と加護と牙狼
中間終わった〜
-牙狼種に進化します-
-[影世界]を習得しました。-
-[シンクロ]を習得しました。-
-体を再構築します。-
-魔力が大幅にアップしました。-
月の明かりが照らす森の中。
そこには、二人の男女がいる。
よく見てみると、男の方には狼のごとき耳が着いているが、そこは今はどうでもいい。
「今日はとてもいいお月見日和ですね、主様。」
「うん、そうだね。やはりいいものだね月は。」
二人が纏う雰囲気は、まるで恋人のものだった。
「本当に行ってしまうのですか?」
「ああ、そのつもりだよ。なに、心配することはない、邪神にお灸を据えてくるだけさ。」
「ええ、主様が負けることは心配していないわ。神の種を手に入れる前にそそのかされて神になった邪神に主様が負けるわけがないもの。」
「まぁ、そう言ってくれるな。奴だってそそのかされて神になる前は、普通の魔物だったんだ。今は少し調子に乗ってしまっているみたいだがな。」
「本当の神の力を知って、改心してくれるといいのだけれど…。それよりも主様、気をつけてくださいまし。どんな罠があるかわかりません。私は主様がいればそれでいいのですから、主様が死ぬような事は絶対にしないでください。」
女の人はうつむきながらそう言う。
「ああ、ありがとう。善処するよ。」
それまで、第三者の視点で見ていた少年の魂が、だんだん男の体に入っていく。
この時に戻れるならば俺は彼女に何を言いたいのだろうか。
ここは夢の中だということはわかっている、どうしてもここで伝えておきたいこと。
あるのではないか?
その時、少年の口が勝手に動く。
「さようなら、セレーネ。」
「そんな!さようならだなんて。待ってますから。」
女の人がうつむいていた顔をあげた時、既にそこはもぬけの殻になっていた。
称号[輪廻転生魔神]を獲得しました。
称号を手に入れたので、ステータス画面に称号の欄が追加されます。
称号の欄が解放されました。
今まで見れなかった称号欄が追加されました。
加護[月の女神の敬愛]を獲得しました。
加護を手に入れたのでステータス画面に加護の欄が追加されます。
今まで見れなかった加護欄が追加されました。
朝目が覚めると知らない天井…では無く、あの教会でした。
さっきのは何だったのだろう。
夢を見たというか、何かを思い出したというか。
でも、前世の記憶では無い。
「起きたみたいね!全く、私を待たせるなんていい度胸ね。」
俺が考えを巡らせていると、不意に声が聞こえる。
あ、そっか。
俺がせっかくできた話し相手なのに、その相手がずっと寝てたんならな、さみしいのもわかる。
「あー、ごめん。」
「はい、よろしい。この神域から私が離れると、神域は崩れるから貴方から送るわね。少し時間を経過させておいたから、朝ぐらいにはなってると思うわ。」
何から何まで申し訳ないな。
「あぁ、分かった。いつでもいいぞ。」
「ん〜その前に、自分の姿確認…した方がいいんじゃないかしら…?」
それもそうだ、進化した自分の姿を確認しておくのも大切だろうし、それにステータスの確認もしなければ。
「それもそうだな、鏡とかあるのか?」
そう聞いたら、彼女はドヤ顔で氷の鏡を発生させた。
おお、お前すげえな。
と思ったままの言葉を口にすると。
そうでしょう!ともっと褒めて褒めてという雰囲気(弟妹の扱いで慣れてる)を醸し出してきたので、頭を撫でてやる。
「よーし、よくできたなー。偉いぞ〜。」
顔を真っ赤にしたと思ったら、いきなり顔を引き締めて。
「…えへへ…じゃ、じゃなくて!あんたが私を撫でるなんて100年早いのよ!」
おいおい、難しい奴だな。
とりあえずその言葉を適当に流して、鏡を見る。
と、そこには
スリムでシュッとしている感じではあるが、一旦触ると思った以上にふわふわの白い毛。
顔は、西洋風。一般的な狼のスリムでシュッとしたイケメンな顔よりは丸く可愛くしたような顔であり。
体長は中型犬ほどあったそれが、小型…いや超小型犬並みにまで小さくなっていた。
あれ?チワワとかパピヨンに見える。
ポメラニアンにも見えなくはないが…
つーか、俺本当に狼っすか?
…見た目で判断はきっと良くない。
うん、すっかり忘れてたよ。
名前 ヒロ(ネームド)
種族 牙狼種 (狼種)
順位 250000000
能力 絶対の守護
賢人
影世界
シンクロ
嗅覚強化
進化論
捕食者
体毛操作
耐性 熱耐性MX
麻痺耐性MX
雷耐性MX
寒耐性MX
称号輪廻転生魔神
加護月の女神の敬愛
……称号?加護?なんじゃそりゃ。
称号・・・自分がやった行いに対して、授けられるもの。称号に応じた力が得られる。力というのはスキルに限らず、統率力や腕力など様々である。
加護・・・神々に気に入られた時授けられる力。授ける神によって力の質や種類が変わってくる。
らしい。
やはり神話とかあったりするのだろうか?
これからはそういうこともいろいろ調べて行きたい。
よくわからないが、称号や加護に応じて力が得られるということで間違いないだろう。
どのような力かは加護と称号しだいということか…。
お?そういえばなんか増えてるな影世界とシンクロ?
影世界・・・影と影で繋がっている世界、入り口や出口は影、な世界に入ることが出来る。影の中を移動出来る。
シンクロ・・・群れ、仲間、配下と思念で繋がれる。
だ、そうだ。
よくわからないことばかりなので、下に行ってから試すしかないようだ。
「よし!今度こそ準備は出来たぞ。」
「そう……分かったわ!降ろすわね。」
「うん。頼む。よかったら、またお話ししような。」
「そうね、それもいいかも。」
じゃあな。
突然の浮遊感に襲われて、俺の意識は闇の中へと沈んでいった。
称号[神域からの帰還者]を取得しました。
心地よい振動とふわふわで暖かな感触。
せっかく起きたばかりなのにすぐに寝てしまいそうである。
そんな自分を奮い立たせて、目を開くと。
目の前では大量の狼が並んで歩いていた。
「何事っ!?!?!」
「ん?おお、起きたか。お前、ゴブリンに捕まっていたんだよなー。大変だったな〜。」
俺の叫び声に気づいたのか、下から声がする。
どうやら、俺を運んでいた狼らしい。
そういえば、あそこのゴブリンは牙狼に襲われる危機だったらしいので、
ゴブリンは加護が得られず、牙狼達に殺されたのだろう。
あのゴブリンに加護を与えないようにしたのは俺なんだから、少しは申し訳ないと思う気持ちもある。
が、俺はあいつらに恨みがあるし、同情なんかはしてやれない。
「お前さん、見た目狼っぽくないが、狼なんだよな〜。少し狼の名残りあるし、それにボスが言ってたんだから間違いない。」
ボスって誰だろう。狼の名残りがあるとはいえ、今の俺を牙狼だと見抜くなど、かなりの使い手かそれとも…
あれか!
ボスは一目みれば分かった。周りより一回りデカくて、貫禄がある。
名前 なし
種族 牙狼種
順位 800000000位
能力 影世界
シンクロ
鑑定
嗅覚強化
牙の一撃
捕食者
称号 [群れの長]
耐性 物理耐性中
…強っ!
そういえば牙狼種ってそこそこ高位の魔物だった気がする。
俺が250000000位なのに対して
800000000位って
明確な力の差がありすぎて困る。
俺が牙狼だと見抜けたのは、鑑定スキルの能力だろうか。
スキルから強さが垣間見える。
「ボス強そうだろ?実際強いんだよ!マジで、俺らなんか片手でひねれるぜ。」
「へーそうなんだ〜。」
そこまで言われるのなら相当強いのだろう。
そんな事を考えていると、俺がゴブリンに襲われた広場に出た。
そこで狼の行進が止まり、したの奴が俺を降ろす。
「急で悪りぃんだが、お前さんにはそろそろ去ってもらわなきゃならねぇ。流石にうちに、見ず知らずの不思議な狼を預かる余裕はねえんだ。森の中でも、比較的安全な地帯まで移動した。そろそろさよならだ。じゃあな、生きて会えるといいな。」
随分とまた急な話だが、俺としてもいつまでも世話になるわけにはいかないと思っていた。
ここでさよならは少しさみしいし、いろいろ学びたいこともあったが、仕方ない。
俺が了解し、去ろうとしたところいきなり呼び止められた。
「あ!魔王の配下には手を出すなよ?俺たちが捕食活動をするのをとやかく言うつもりはないだろうが、というか、あいつらも同なじようなことしてるんだしな…。とにかく魔王の配下だけはだめだ。」
俺も魔王何て言う物騒な奴らには関わりたくないが…。
「この世の中、良い長ばっかじゃねぇ。というか弱肉強食の世界、弱いものの苦労の上に王が座っているなんてざらにあるんだ。うちみたいな小規模な群れはともかく、おっきい国や群れだとそういうことが顕著に表れてくる。だがな、魔王だけは別なんだ。あいつらは、食物連鎖の頂点に立つ奴らだ。あいつらは自分のために力を使った後も有り余る力を配下のために使える。だからこそ、魔王には配下を守るという心が生まれた。良い長になれたって事だ。この意味わかるな?」
他の群れは一匹の敵討ちのために、自分を危険にさらすような真似はしない。
それは力が弱いほど顕著に表れてくる。
そこそこ力のある魔物であっても、上には上がいるのだ。
それに比べ、魔王はつまり上位50名の絶対的強者。
その自信は配下の敵討ちさえ魔王にさせる。
強者故の自信、そして配下への思い。
魔王だからこそ、配下を大切に思っている。
だから他のものが長、主と呼ばれるのに対し。
彼らは王と呼ばれるのだ。
俺はその忠告に感謝を示してその場を去る。
つまり、魔王に会わなければいいのだろ?
そんな簡単に会うことはないだろう。
と思い油断していたのだ。
自分が黒龍という、魔王に簡単に会ったということを棚に上げて…。
いろいろ間違いあったら言ってくださいね?
待ってまーす




