中心へ中核へ――アラミタマ――
わたしの編む言葉は
いつでも萬の夢を追う
ひとは遠いから諦めよと
わたしを諭す
風は
陽は
夢は
此方においでと手をのばす
あなたの上にうまれたの
あなたの声があなたの目線が
揺り籠にいる私に唄う
見てご覧
聴いておいで
わたしは揺り籠で子守歌のかわりに
あなたに戀を教えられたの
わたしの目はあなたを読むために
わたしの手はあなたの頁を捲るために
わたしの耳は美しい言葉を零さないように
揺り籠から出た子守歌は
けれど立つことは叶わなかった
戀を知っているのに
わたしは立ち上がれはしなかった
運動はわたしに何も許さなかった。
辞書が不正解を唱えた
批評家がわたしの気持ちを否定した
緩慢で愚鈍なわたしだけが残った
忘れられない歌がある
届けたかった祈りもあった
誰も忙しそうに歩く
揺り籠ではない人間の世界では
わたしは誰からも必要とされなかった
花が語った気にせずにお進みなさいと
星が鳴らした楽しい光を
湧水がのどを透っていった
潤すものは深くから来るのだと
もういちど戀を知りたい
独りでうんと独りで
またあなたの書くものを読みたい
あなたはもう
わたしよりずぅっと年下なの
わたしは急いだ
生まれて半年とちょっとでお喋りをした
わたしは焦った
空っぽの部分を埋めたくて御本を読んだ
わたしは
絶望した
表彰台に上がれなかった
小学校一年の感想文で駄目だった
他の子が褒められる
みんなが嬉しそうだった
わらっていた
人間はみんな
わたしでは無いものを常に選んで
褒めて伸ばして
わたしのものは見向きもされなかった
これが正当な評価なのだと
判り切るまで
かなしかった
わたしはいつでも
あなたに触れてほしかった
毒が喰らいつく
おまえは何にも出来ないと
いちばんお前が使えないと
思い知らされた
かみさまに愛されるだけでは
だめなのだと
ひとは人間の役にたつから
生きていいのだと
わたしは確かに役にたたなかった
何の役にも立たなかった。
社会的で具体性のある作文が褒められた
わたしの感想文はずっと
誰の心にも役にたたなかった
あのとき
あの場所で
全てが決まってしまったのだわ
わたしが書くものは
わたしの全ては
なんの役にもたたない
誰のためにもならない
実体験が私を毟る
小さいわたしがもっと小さくなる
どんどんいなくなる
いなくなれ、と人間に指をさされた
わたしも、いなくなればいいのにと
心から思った
花のこと。
星のこと。
水のこと。
山のこと。
焔のこと。
青のこと。
わたしはけして立ったりしない。
もう立ち上がろうと思いはしない。
人間たちが幸せで。
怒って泣いてる神さま宥める。
うっかりとまた流されて。
あなたの芯に気づいたら。
思い出そうね
わたしのしたち




