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白夜  作者: 悠羽
2/7

第二話 夢の方で

夢の中で、

 私は彼女に出会った。


 正確には、

 思い出した、に近い。



 初めて会ったはずなのに、

 声を聞いた瞬間、

 胸の奥が静かに落ち着いた。


 理由は分からない。


 ただ、

 この人だ、と思った。



 夢の世界での私は、

 異性として生きている。


 それが特別だと

 感じなくなってから、

 どれくらい経っただろう。



 彼女は、

 私のことを

 最初から

 自然に扱った。


 戸惑いも、

 説明も、

 いらない。



 会話は、

 不思議なほど噛み合った。


 言葉を選ばなくていい。

 間を埋めなくていい。


 沈黙が、

 気まずくならない。



 それは、

 現実では

 ほとんど経験したことのない感覚だった。



 夢の中での時間は、

 流れ方が違う。


 一日が、

 ちゃんと一日として存在している。



 仕事が終わって、

 待ち合わせをする。


 並んで歩く。


 何気ない会話をする。



 そのすべてが、

 夢にしては

 あまりにも普通だった。



 ある夜、

 彼女が言った。


「一緒にいると、落ち着くね」



 その言葉を聞いた瞬間、

 私は理解してしまった。



 これは、

 本気の恋だ。



 目が覚める直前、

 私はいつも少しだけ

 焦る。


 続きを失う感覚が、

 怖い。



 現実に戻ると、

 胸の奥が

 妙に軽い。


 そして、

 少しだけ、

 物足りない。



 その日、

 仕事帰りに

 ふらりと

 店に入った。



 理由はない。


 ただ、

 足が止まった。



 ラックに掛かっていたのは、

 柔らかい色の服だった。


 夢の中で、

 彼女が着ていたのと

 よく似た色。



 手に取ってから、

 私ははっとした。



 ——違う。


 これは、

 私のじゃない。



 慌てて戻す。


 周りを見る。


 誰も、

 気づいていない。



 それなのに、

 心臓が

 うるさかった。



 帰り道、

 ふと思う。



 夢の中の私は、

 迷わなかった。



 現実の私は、

 なぜこんなに

 立ち止まっているのだろう。



 その夜も、

 私は眠った。



 目を閉じるのが、

 少しだけ

 待ち遠しかった。


第三話:向こうの時間

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