第三話!少年!帰ってくれ!
遅刻ギリギリで学校についた。
いつもの席に座る。
「森さん、そこ私の席なんですけど...。」
同じクラスの田中さんに話しかけられた。
「え?あ、ごめん。席間違えちゃった。私の席どこだっけ?」
佐藤美羽の記憶しか覚えていない。
確か夢の中ではここが佐藤美羽の席だったはず。
「森さんの席はここだよ。」
田中さんに教えてもらった。
「ありがと!」
ホームルームが始まる。
その後は朝、自分の席を間違えたくらいで特になにもない日だった。
家に帰り、玄関のドアを開けようとする。
ガチャ
「ん?」
朝の少年がドアを開けた。
あれれれ。おかしい。
「何で君まだいるの?てゆうか、朝夢のせいで混乱しすぎて何も考えてなかったけど、何で私んちいるの?」
「え、朝説明したでしょ?夢のやつ。僕が君のちかくにいないとだめだろう?」
はあ?すべてがわからない。ほんとに誰。
「いま、君すごい、はあ?て顔してるけど大丈夫?」
いや、はあ?って感じだからそういう顔をしている。
「あ、わかった。ここ実は私の家じゃないんだ。勘違いしちゃった。ははは。すいませんー。家間違えちゃって。」
理解。理解。
「て、なわけあるかーい!?」
我ながら、面白くないノリツッコミを炸裂させてしまった。
「ははは。お姉さん面白いね...。」
引きつった顔で少年が笑う。
全然おもしろいって顔してないけど。てゆうか何でそっちが「いや、何この人ー?」みたいな感じ出してるんだよ。
「まあ、いいや。早く上がって上がって。」
なぜ私が自分の家に見知らぬ他人に招かれているのだろう。
家に、上がると
「お姉さんおかえり!お風呂にするー?ご飯にするー?それとも、ぼ・く?」
「寝る。」
すごい早さで返事が口から出た。
「連れないなー。」
「はは...。」
さっきのお返しと言わんばかりの引きつった顔で笑った。
「...」
少年はどこか不満そうな顔でこちらを見てきた。
いや、お返しなので。
「本当に寝るの?朝起きるのに相当時間かかっちゃうかもしれないし、もう少し現実世界満喫したら?」
次は、本当に心配しているような顔で訪ねてきた。
「また、朝の話?てゆうか、いつ君家帰るの?」
そろそろイラつきが呆れになってきた。
「だーかーらーかーえーらーなーいーーーー。」
うーむ。どうしたら帰ってくれるのだろうか。
「私ね、忙しいから。子どもの遊び相手になる暇ないから。」というと
少年は怒ったような顔で
「ボク子供じゃないんだけど!君よりは年上だもん!」
なにが年上だもんだ。という気持ちになったが、
本当に疲れていたので、寝ることにした。
「もう、私寝るから。もう暗いし今日は家にいてもいいけど明日の朝には帰ってね!親御さん心配してるよ!てか、あなた子供だから私誘拐犯になっちゃうよ!」
「大丈夫だよ...。」
ボソッとなにか少年が言ったが私には聞こえなかった。
「なんてー?」
「なんでもない!!」
少年が大きな声で言う。
もういいや、と諦め私はベッドに向かう。
スタスタ
少年がついてくる。
「何でついてくるの?」
困った顔で聞く。
「夢の中にボクも入らなきゃ」
「はあ。」
もう、諦めた。
そして私は深い眠りについた。
あけおめー。