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外れ者共は今を生きる  作者: 春夏 フユ
第二章 報復せよ、勝利の顔したあいつを
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探索は痕跡を見つける



 「と、と、取り乱して、わ、悪かった・・・・・ いやね、あのね、自分の意思で一時的に離れるなら全然平気なんだよ。 でもね、今日みたいにね、何の前触れもなくいきなりいなくなられるとね、気づかぬ間にストーカーに攫われてたあの日をおもいだしっちゃって・・・・ ど、動揺、しちゃうんだよ・・・・はは、は」


 テクルが正常・・・・では少なくともないが、大量のラスイグッズによるメンタルケアで先ほどよりはマシになり、ある程度話せる状態になった。


 「ラスイに、朝起きておはようをしにきたら、居なくなってた。 最初はシクスもラスイも早く目覚めて、この孤児院のどっかに移動してるかと思って早起きな子供達に見かけたか聞いたけど・・・・・今日は孤児院内で2人とも見てな言って、自分でもくまなく探したけど・・・・・ゆくえふめいだぁ。 それでまた保健室に戻って来たけど・・・・・やっぱりいないぃぃ・・・・・」


 激しい動揺により未だ舌の呂律が若干回ってないテクルだが、内容は大まかに理解出来た。

 朝起きたら2人がいきなり忽然と姿を消していた・・・・・簡潔に言えばつまりこういう事だろう。

 ふむ、一体何処に行ったんだ?


 「なぜ保健室で寝てた恩人2人が消えているのか、当然だが俺にも理由は分からんし見当も付かん。 だが穏やかではないなぁ・・・・・何か、急いだ方がいい気がするぜぇ。 ただの直感だがなぁ」


 先生の言うとおり、確かにこれは明らかに異常事態だ。

 急ぐ理由はあれど、ゆっくりする暇はないな。


 「テクル、いなくなった2人を探すぞ。 すぐ立ち直れとは言わないが、そのままだとラスイを見つける事さえ出来ない」


 「・・・・・・そうだよなぁ。 ははは・・・・」


 テクルは力無く笑うのみだ。

 テクルの回復は一旦時間に委ねるとして・・・・まずはこの部屋に残されてる痕跡から2人の消えた先をある程度推測しよう。


 「ガキ共、この部屋で昨日とは違うポイントを探せ。 何か痕跡があるかもしれねぇ」


 「「「「あい、あい、さーーーーーー!!!」」」」


 先生の指示の従い、部屋中に散開してくまなく探し始める子供達。

 俺は子供の背では届かない、高い所を探そう。


 「ベッドがぐちゃぐちゃーーーー!! 布団も枕もシーツもきれいじゃなーーーい!!」


 「まどがあいてる! きのうの夜は、けっこー雨がふってたからしめたはずなのに」


 「あ、変なのかいてある紙がベッドの近くにおちてるーー!」


 瞬く間に様々な痕跡を見つける子供達。


 「紙? どんな紙だ?」


 「どうぞーーー!!」


 子供の1人が見つけた紙を受け取る・・・・そこには4つの(黒丸)が書いてあった。


 「なんだこれ。 黒い丸・・・・・?」


 4つの(黒丸)は正方形の白紙の4つの角それぞれ位置している・・・・誰が何の意図を込めて書いたんだ?

 よく分からないが先生も子供達も知らないし、昨日まではなかったのに落ちてたとのことだ。

 何か大事な情報かもしれない、とりあえずポケットに突っ込んでおいた。


 「もう見つからないーーーー!」


 「めあたらしーものはもうない」


 これ以上の痕跡は見当たらない・・・・・いや待てよ。

 

 「昨夜雨が降ってたって言った子がいたな。 ・・・・・どうやら窓は夜中に開きっぱなしにされてたみたいだ。 雨水が入って来て乾き切っておらず、雨が止んでる今もまだかなり濡れてる」


 寝る時は完全に窓を閉め、疲労からの熟睡をしてたのであまり気にしなかったが、昨夜結構な雨が降っていた。

 その夜中の雨はすぐ止んだようで、既に今は雲1つ無い完全な晴天だ。

 だが一時的とはいえかなりの降雨量、まだ地面はぬかるんでいる。


 子供達の背では窓が開いてる事を確認出来るだけだが、俺の大きさなら窓の外が見える。

 ぬかるんだ地面にくっきりと足跡が残されている外が、見えたのだ。


 そしてその足跡は・・・・・片方だけのものだった。

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