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外れ者共は今を生きる  作者: 春夏 フユ
第二章 報復せよ、勝利の顔したあいつを
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安全圏は魔法を放つ



 さっきのテクル透明作戦の時に待機していた、謎蛇を一方的に覗ける位置にあるちょうどいい大きさの金塊の後ろに到着した。

 僅かしか動けないシクスと気絶中の先生はここに置いていくが、シクスだけ顔を少しだけ出してこちらの様子が見れるようにしておく。


 「・・・・僕にやれる事は全然無いっすけど・・・・頑張って下さいっす・・・・」


 その応援を背中に受け、俺達は謎蛇にギリギリ気付かれない位置まで辿り着く。


 「作戦名【金着(キンキ)果実(カジツ)】! 開始するぞ!」


 「・・・なんだそれ? ダサくね?」


 俺が即興で考えた謎蛇退治の作戦名をテクルに馬鹿にされた。


 黄色くて光沢のあるキャンディスライムを金に例え、爆弾を果実に例える。

 果実(爆弾)は現在金に包まれている・・・つまり着ている状態、故に金着の果実。

 原初の人が食したとされる禁忌の果実と名前を被せてオサレ度を上げている。

 そう、あの蛇にとってこの果実は食べたら爆発し果ててしまう禁忌の果実と同等なのだ。


 やれやれ、テクルにはこの名付けのセンスが理解できないらしい。


 「あぁ、うん。 ・・・・・行ってくるぞ!」


 テクルは俺がやれやれと首を振っているのを『なんだコイツ』と言いたそうな目で一度見た後、ダッシュで謎蛇に向かっていく。


 うちのパーティで1番の力持ちであると同時に、1番足が早いのもテクルだ。

 触手でそこそこの重さがあるキャンディスライムを持っているとは思えないスピードで。謎蛇が何らかのアクションを起こす前に毒の射程内の内側に着いた。 


 謎蛇は急接近してきた存在に警戒するような動きをして、直後銃弾のような毒を吐きかける。

 だが謎蛇のこの攻撃は作戦を立てた時に、既に予想してテクルともう共有している。

 この攻撃自体も作戦の内、だからこそ敢えて接近し過ぎず、あくまで蛇自身が突っ込むより毒を飛ばした方が早いと判断するだろう位置で止まるよう指示したのだ。


 テクルは既に蛇との大きさの違いから生じる高低差・・・・つまり高所からの毒を防ぐために触手を上にあげてている。

 そしてテクルはキャンディスライムを触手で持っている。


 つまり、キャンディスライムも毒からテクルを守る位置へと触手と共に掲げられている。


 飛んで来た毒は、挙げられていたキャンディスライムに命中。

 スライムが持つ外膜を貫き、金化毒は内部に溶け込んだ。


 『キュゥゥゥ!?』


 ここで初めて大人しいキャンディスライムが鳴き声を上げる。


 『キュ、キュゥゥゥ・・・・』


 どこか苦しそうな鳴き声だが・・・・実際に苦しいのだろう。

 なにせキャンディスライムの身体はゆっくりと金になり始めているのだから。


 俺達の為だ。


 蘇らせたその命、俺が使う。


 ・・・・・そういえば化け物魚の時も、俺の作戦でポイスンベアという魔物も命を散らしていた。


 ・・・・祟られたりしませんように!


 「〈微冷〉・・・・からの〈微気〉!」


 上手くキャンディスライムだけに毒をヒットさせたテクルが再び発射される毒に当たらぬよう動き回っている。

 その様子を流し見しつつ、チラリと隣のラスイを見ると2つの魔法を組み合わせ謎蛇へと放っていた。


 〈微冷〉は一点を少し冷やす魔法・・・・それにより生じた少し寒い箇所に〈微気〉というそよ風を発生させる魔法を使って蛇の所まで飛ばしている。


 これにより一点しか冷やせない微冷が少しの冷風になり、謎蛇を全体的に冷やせるのだ。

 といってもどちらも最下級魔法なので出力はお察しだろう・・・・無いよりマシかな?といった程度だ。


 と思っていたのだが。


 『だ、レ、かぁァァァ・・・・』


 蛇が鳴き声・・・というより人の声で苦しそうな嘆いているような声を発する。


 つまり金化で苦しむキャンディスライムと同様、謎蛇も寒さで少し苦しんでいるようだ。


 「え、最下級魔法の威力で寒がってるの? あの大きさで? 生物として貧弱過ぎない?」


 「う、上手く鱗の隙間を縫って蛇の地肌に直接当ててるからかもしれません・・・・」


 「すげぇなお前」


 蛇の鱗に縫える隙間あるのか・・・・


 たった今確信したがラスイの最下級魔法は、威力こそ貧弱だが繊細さならラスイの独壇場だ。

 実際今までも〈微光〉の魔法で正確に道を指し示し、〈微暗〉の魔法もこれまた正確なところで切り替えていた。


 やはり“あの時”の現象はラスイの繊細さも手伝っていたのだろうな。


 ちなみに俺が今何をしてるかというと。


 「〈鈍化〉! 〈鈍化〉! 〈鈍化〉!」


 俺が謎蛇の方に向けた掌に構築される黒い魔法陣。

 そして、そこから生み出され発射される黒いシャボン玉のような物。


 俺は先程からずっと鈍化のデバフ球を、ラスイと一緒に毒が届かない安全圏からちまちま飛ばしている。

 現在17発放ったのだが・・・・・その内、蛇に到達しデバフをかけることに成功したのは2発程。


 何に触れても意図せず割れてしまうデバフ球は、ばら撒かれる蛇の毒に直撃、なんなら掠っただけでその場で割れてしまう。


 その割れやすさ、シャボン玉の如し。


 その上、飛ぶ速度の遅さも到達前に割れる要因となっている・・・・俺の歩く速度と同じくらいってなんだよ、もっと早く進めよ。


 ちなみにデバフ球を放ちまくって数発命中さえている事から分かる通り、デバフは重ねがけが出来る。

 本人の技量によるが、俺のデバフは最高で10段階の重ねがけが出来る。

 別のデバフでも同じ種類でも可能だ。

 俺の推測では、この作戦の為には後3発当てて5段階の鈍化にしなければならない。


 なお、現在使用中の発射付与ではなくデバフを直接くらわせれる接触付与ならば1度で3段階上昇させることも可能だが・・・・


 「あぶねっ!」


 『誰、ヵあァァァ!』


 テクルが毒に当たりそうになりながらも、持ち前の運動能力でしっかりと回避した。


 ・・・・そう、テクルの様に運動神経が極まってないと蛇の毒を避けれない。

 俺が近づける訳が無い。


 それにテクルは、遅いといえ後ろから飛んでくる俺のデバフ球を躱しながら、前から鈍化の影響が少なく少ししか遅くなっていない前からの毒飛ばしも躱している。

 ・・・・落ち着いた状態のテクルの運動能力が高すぎる。


 そもそもテクルがゴールドスライムを持ったまま撤退せずに蛇の前でうろちょろしているのは俺の鈍化を当てるためだ。


 謎蛇のヘイトがテクルに向かっているから、ゆっくり飛んでくるデバフ球を直接割ってこようとはしない。

 テクルがいなかったら近くに寄ってくるもの全てに毒を吐いてくる謎蛇に全て割られて1発も命中しないだろう。


 ・・・・それはそうと、完全にヘイトがテクルに向かっている状態なのに意図してない毒の流れ弾でデバフ球15発も無駄になっているってマジ?

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