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外れ者共は今を生きる  作者: 春夏 フユ
第二章 報復せよ、勝利の顔したあいつを
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毒は秘密を有する



 「あの蛇・・・・テクルさんのいう通り完全に色がダンジョンと一致してて意識しないと視認しにくい上、途中まで一切動かなかったし、元々おれは目が悪いからなぁ。 それに探知系の魔法はおれは使えねぇ・・・・ だからかなり近づいちまった時に存在に気づいた。 流石にやべぇと思った時にはもう向こうにも気付かれててなぁ。 金化する毒を飛ばしてきてぶち込まれ、上手く動けなくなった。 その後抵抗出来ないおれは蛇の口で咥えられた」


 「え、咥えられたの?」


 自分の何倍も大きい存在に咥えられる・・・想像するだけで滅茶苦茶恐怖体験だな。


 「あぁ、咥えられたと思ったら蛇は自分の後ろ側までおれを運んで落とした。 金化毒のせいか、時間がいくら経っても上手く動けずそのまま無抵抗で横たわってるしかなかった・・・・徐々に金化するのを肌で感じながらずっと子供達に懺悔してたさ。 その結果、いつの間にか5日も経っていたようだな。 ・・・・・助けてくれたアンタらには何度も同じ事だが、本当に感謝だ」


 5日間ずっと馬鹿でかい蛇の後ろでどんどん体が金化しているのを感じながらずっと謝り続ける・・・・常人じゃ発狂とかしてしまいそうだ。

 でもこの人は普通じゃないメンタルをお持ちみたいだ。


 「く、咥えられただけなんですか? その後蛇に何かされたりとかは・・・・?」


 「あぁ、咥えられただけだ。 毒を追加で注入されるでも一部かじられるでも無く、本当にただ運ぶだけの為にくわえられただけみたいだ。 ・・・・これでおれの情報は全部話したな」


 「なぁ、疑問に思ったんだが。 金色の液体・・・・先生が言う、“金化毒”を注入されたのは5日前なんだよな?」


 「あぁ、そのはずだ。 体を害す液体、故にアレは“毒”・・・・・ あとアンタの先生ではないがな」


 必要な説明を終えた後も5日間で枯れた声ながら円滑に話を進める為、積極的に会話する先生。

 俺だったら喉痛すぎて多分声が発せなくなる。 

 先生の根性に一種の感動を覚える俺だが、ここで1つの疑問が生じた。


 「・・・・テクルと先生が受けた金化毒の性質が違いすぎないか?」


 俺が疑問を呈すと、それを聞いたテクルは首を傾げ、先生はそのテクルに視線を向けた。


 「え、何が違うんだ? 私も先生もどっちも金化したじゃないか」


 「え、テクルさんも毒くらってたのかぁ? どこにも金化した部分が見当たらねぇんだが。 もしかして治したのか? どうやって治したんだ? あとテクルさんの先生でもない」


 『金化した部位をちぎって治した!』と伝えたら多分ドン引きするだろうな。


 「な、成程! テクルちゃんも先生さんも、確かに金化したはしましたけど・・・・」


 先生とテクルが頭を悩ましていると、突然ラスイが『はっ!まさか!!』みたいな顔になった。

 どうやらラスイが俺が感じた毒の性質の違い・・・・それに気付いたみたいだ。

 最近ラスイの察しが良すぎて読心術持ってるんじゃないかと疑ってしまう。

 

 ラスイの気付きとの答え合わせも兼ねて、俺は感じた違いを言語化し始めた。


 「5日前に毒を貰った先生に比べて、テクルの金化速度が異常に早かった。 更に先生は毒をくらった直後に動けなくなったらしいけど、テクルはダッシュで逃げれるぐらい動けていた」


 テクルは金化毒が注入されたものの数分で巨大な触手の半分以上が金化で覆われた。

 対して先生の金化は5日も経っていたのに全身の半分までしか進んでいない。


 もしテクルと同じ速度で金化していたら、先生はとっくに全身が金塊になっているだろう。

 この金化の圧倒的速度差は、体質の違いによるもの等の簡単な理由では決してないと分かるほどの違いだ。


 「た、確かに。 じゃあ、もしかして蛇は二体いるとか? 毒の性質が違うのもその2体が似てるようで別の毒を持ってるからとか?」


 「それは違うと思うぞ。 地面で尾が固定されていたからあの場に留まっている1匹は常に変わらず同一個体のはずだ。 多分、俺達を追いかけにこないのも固定されてるのが理由だろ」


 追いかけてくる心配がないから、こんなゆったりとしたスピードで話し合いが出来るのだ。


 「あぁ、実際に5日間ずっとあの蛇はあそこから離れなかったぜ。 地面に尾が固定されてるのは確定だぁ。 四六時中ずっと寝ずに近くにいたから間違いない。 何らかの方法で定期的に二体の蛇が入れ替わっているとかでもないはずだ」


 「その通り。 つまりあの蛇は一匹で二つの毒を使い分けている・・・・おい待て、先生今5日間寝てないって言った? マジで?」


 「? 当たり前だぁ。 さっき言ったろうずっと懺悔してたってよぉ。 寝ながらちゃんとした懺悔なんて出来ねぇだろ? あとクロイさん達の先生じゃねぇ」


 知らんがな!!


 「ま、まぁとりあえず。 あの謎蛇は二つの毒を持っている。 どちらも毒に侵されると体が金化するのは同じ。 だけどテクルに使われたのは動けなくさせる効果は無い代わりに金化速度に全振りしてるもので、先生に使ったのは金化はゆっくりだけど体は動かなくなる・・・・効果はこんなもんかな」


 「・・・・・正確に言えば、体が動かなくなるっていうか・・・・物凄くだるくなるって方が正しいと思うっす・・・・・ あと、人によって効きの早さには個人差があると思うっす・・・」


 途中から話に全然入ってこなかったシクスが、突如そんな情報を開示した。

 なぜそんな事を知っているのか?

 そう聞こうとしたが・・・・それはすぐに分かった。


 「はは。 クロイさんに蛇の注意が向かった後、毒を広範囲にばら撒かれた時に足に入ってたんすねぇ。 僕、意外と鈍いんすかね? さっきまで侵されてるの気付かなかったすよ・・・」


 そこには足が僅かにだが金化していた、シクスがいた。

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