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外れ者共は今を生きる  作者: 春夏 フユ
第二章 報復せよ、勝利の顔したあいつを
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二人は知識を照らし合わせる



 「テクル、一回落ち着け。 ほらこのキャンディスライム凝縮のど飴でも食べろ」


 「いらないし、何でのど飴持ってるんだよ!」


 今さっきダッシュで戻ってきたテクルが非常に焦っていたので、のど飴でリラックスさせようとした俺だったが・・・・どうやらいらないようだ。


 いらないなら俺が舐めよう・・・・甘っ。


 「クロイ、それ美味いんすか?」


 「美味いというか甘い」


 「その飴、スライムで出来てるんですよね・・・・・噛み砕きたいなぁ」


 「なにのど飴トーク始めてんだよ! 化け物だよ! また化け物がいたんだよ! そんな呑気にするな!!」


 ダンジョンの中でいきなりテクルそっちのけで、のど飴の話を開始してたら怒られてしまった。

 尋常じゃない焦り様だ。


 ・・・・・化け物か。


 「またってどういう事だ?」


 「ほら。 少し前にさ、人の腕が生えてた魚もどきがいただろ? その魚もどきと同じで、人の体の一部を持ったデカい蛇みたいな魔物かも分からん奴がいたんだよ!」


 魚もどき・・・・やはりあの化け物魚の事だ。

 アイツみたいなギルドでもよく分からなかった正体不明の奴が再びだと?


 だが俺は少し考えて・・・純粋にテクルが知らないだけで、普通の魔物なんじゃないかと思った。

 だってこのダンジョンは金鮫が大量に生息しているが、蛇系の魔物が一匹だけいるのだ。

 その蛇の名は[スフィンクスネーク]、このダンジョンのボス魔物だ。

 そいつをよく分からない化け物と勘違いしただけじゃないか?


 「・・・・テクル。 もしかしてその蛇は金色か?」


 「え? そうだけど」


 「蛇と言っても、そこまで細長いわけでは無く、デカいツチノコみたいな見た目か?」


 「そ、そうだけど・・・・何で分かったんだ?」


 やっぱりだ。


 「それあれだよ。 このダンジョンのボス魔物のスフィンクスネークだよ。 ちゃんと存在をギルドも認知している正体不明ではない正真正銘の魔物だ」


 「え?」


 「このダンジョンの最奥で佇んでいて、金魔石が主食。 体の構造的に金魔石以外食しても問題ないはずなのに、目の前に肉とか置いても見向きもせず金魔石以外齧らない偏食な蛇。 そういう研究結果が出る程ギルド、というか世間もちゃんと把握してる魔物だ」


 恐らくテクルは、自分の何倍もある巨大な姿を見てビックリした事であの化け物を思い出して重ね合わせてしまったのだろう。

 

 「クロイさんの魔物知識って学者さんレベルですけど、どこでその知識を手に入れたんでしょう?」


 「知識って大事っすよね。 クロイのそういう所は普通に尊敬するっす。 ・・・・僕は一般的な知識も割と抜けてるっすし」


 周囲が俺の魔物知識に関心している・・・・良い気分だ。

 俺は小さい頃から趣味で色々な魔物に関する学説や図鑑をよく読み込んできたからな・・・・魔物知識ならそこらの冒険者より優れてる自負がある。


 「そうか? 本当にあれが唯の魔物・・・・いや待ってくれ。 さっき最奥に佇むって言ったか? 私が見たのはまだまだダンジョンの道の途中だったぞ! しかも尾の先が洞窟の床に突き刺さってて、その途中の位置から動けそうには見えなかったぞ!」


 「え、マジで? ・・・・そ、そいつを見た時の情報を詳しく教えてくれ」


 もしかして本当にスフィンクスネークじゃない他の何かなのか?


 「え、えっとな、まず人の声を真似して助けを求めていたな」


 あの明らかに怪しい助けを求める声はその蛇が発していたのか・・・・しかしスフィンクスネークがそんな声真似が出来るという情報は聞いたことがない。


 「近くに人が倒れていたな。 いかんせん蛇と壁の僅かな隙間からみえただけだったから、背中の一部しか見えなかった。 けどその人にこっちから見た感じでは特に傷は見えなかった。 あの大きな口で人1人ぐらい丸呑みして食べれると思うけど、本当にただ置かれてるみたいだった」


 それは金魔石以外食べない偏食なスフィンクスネークだから、突然来た人を襲いこそしたが食べはせず放置しているだけの状態なのでは?

 

 やっぱりスフィンクスネークじゃね?


 「あと蛇の口の中に人の口が大量に見えた」


 スフィンクスネークじゃねえなソイツ。

 そんな特徴的な見た目だったら、体型がツチノコ云々より先にそっちの方が世間的な魔物の情報に記載されるだろ。

 というかテクルがさっき人の器官をもった蛇って言ってたわ、そんな蛇知らない。


 「最後に口から金色の水?を銃弾みたいに発射してきた。 それに私の触手に穴開けられたんだけど・・・・そしたらその液体が入り込んだ所中心にどんどん金そのものになっていてる」


 何それ本当にそんなの知らない。

 絶対確実にそいつスフィンクスネークじゃ無い!


 「ほら見てくれ。 私の触手、金になってるだろ?」


 テクルは触手を俺の前に突き出すと確かにテクルの言う通りに触手の半分程が金色に・・・いや、金になっていた。


 「テ、テクルちゃん! だ、大丈夫?」


 「え? 本当に一部金になってるじゃないっすか!」


 「触手が金化でゴージャスになって、今ちょっとリッチな気分だ」


 何で体の一部が金塊になってるのにこんな余裕なんだよ。


 いや、今はそんなことよりまだ気になる疑問点がある。

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