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外れ者共は今を生きる  作者: 春夏 フユ
第二章 報復せよ、勝利の顔したあいつを
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回収は重みを無視する



 「今日のクエストは[ツチタケノコ]5個だ。 ラスイよろしく」


 「はい!」


 シクスが仲間入りしてから、試しにクエストを1つ受けている俺達。

 と言っても別に試験的な物でも何でも無くいつも通りの採集クエストだ。 

 今回の採集対象である[ツチタケノコ]は見た目はド派手な虹色のタケノコで、料理に使うと味が言葉では表現出来なくなると言われている世界三代珍味の1つだ。 

 そんなタケノコだが採集の際に厄介な点があり、それは大きさは普通のタケノコなのに異常に重いという事だ。

 どれくらい重いかっていうと、1つで成人男性3人分ぐらい。


 その重量のせいでまず抜くのが大変だし、抜いた後運ぶのも大変だ。

 なので本来かなり大変なクエストなのだが・・・


 「パーティに入れさせて貰えて初めてのクエスト、頑張って活躍するっすよ!」


〈クラック・ブランク〉は重さを無視して収納する事が出来るらしい。

 つまりコレはシクスにうってつけのクエストだろう。


 「見つけました! 抜きますね!」


 シクスが意気込んでいる間にもうラスイが早速1個目を発見していた。

 やはり〈触角探索〉は偉大だ、他の植物に紛れて地表に少し先っちょが出てるだけのツチタケノコを簡単に見つけ出した。

 しかし例え見つけれても、ツチタケノコに限らずタケノコは掘るには付け根を切り離す道具が必要であり、それを俺達は持っていないのだが・・・・・


 「任せろ。 根本を捻り切ってやる」


 テクルの触手のパワーがあれば掘るのも切るのも簡単だろう。

 

 そんなパワーを持つテクルならシクスに頼らずともツチタケノコ5個は普通に持てるかもしれないが・・・・掘るのも持つのも任せると1人だけ負担が凄くなるし、折角ならシクスに活躍して貰いたいのでやめておいた。


 ブチブチッ!


 お、既にテクルが触手でツチタケノコ辺りの土を掘り終え、荒々しく地下茎に繋がった根元を捻り切っている。


 「聞いた通り中々重いな。 確かに5個持つのは私だけじゃめっちゃ疲れてしまう」


 テクルがそんな感想を漏らしながらシクスに近づき触手に乗せたツチタケノコを差し出す。

 というか感想から考えるにやっぱり5個(単純な計算で成人男性15人分の重さ)でも疲れるだけで持てはするのか・・・・


 「これがテクルさんの・・・・[テンタクル]の魔人の力! それにバグスライムの魔人の力である触角センサーもすごいっす!」


 「褒め言葉は嬉しいけど早くやってくれ! 1個でも地味に重いから!」


 感動しているシクスに、喜ぶタイミングは今じゃないと少しキレるシクス。


 「了解っす! 開け、空白の隙間! 〈クラック・ブランク〉!」


 シクスが突き出している掌に、少し長めの手相のように魔法線が僅かな光と共に浮かび上がる。

 そして線が口の如く開き、異空間へと通ずる隙間が空く。

 ギルドの時は腕だったが今回は掌。

 シクスの先の説明通り、どうやら体の表面ならどこでも出せるようだ。


 そしてテクルの触手で持たれてるツチタケノコにシクスが〈クラック・ブランク〉を出している掌を近づけると・・・・あっという間に隙間の中に吸い込まれ回収される。

 一瞬で回収し終わったかと思うと、直ぐに掌の隙間が閉じられ普通の掌へと姿を戻す。

 シクスは調子を確かめるように先程まで隙間が空いていた手を閉じたり開いたりしている。


 「うん、大丈夫っす」


 「皆さん凄いです! それでは次のツチタケノコを探します!」


 一個目をゲットし、そして再びラスイの触角の赴くままに歩き始める。


 「重さを気にせずに何でも持てるってのは便利だな。 俺も欲しいぜ」


 俺が賞賛を込めた正直な感想をシクスに言うと。


 「そうっすかね? 確かに便利っすけど・・・・僕はあんまり好きじゃないっす」


 シクスが冗談でも何でもなく、本当に嫌そうな顰めっ面をしてそう答えた。


 「え、それは一体全体なん」


 「次のツチタケノコ見つかりました!」


 「よぉーし! 再び任せろ!」


 俺とシクスは少し話しながら歩いていたせいで歩幅が小さくなっていおり、少しだけラスイから遅れていた。

 だからだろう、2個目を見つけたラスイが若干大めの声で俺達に発見を伝えてきた。

 それにより、悪気はないんだろうが意図せず俺の言葉を遮ったようだ。


 「あ、今度はテクルさんが回収したら疲れない様にすかさず直ぐに回収するっす! ていうかこんなにすぐまた見つかるなら態々隙間を1回閉じる必要なかったっすね!」


 ラスイの声を聞き、シクスは俺を置いて直ぐにその2個目のツチタケノコがある点に駆け出す。

 その顔には先程までの顰めっ面が嘘かのように、清々しい活発な好青年と儚げな少女を高水準でミックスさせたかのような美しい顔で笑みを携えていた。

 話が中断されてしまったが・・・・好きではないとはどういうことだろうか?

 

 ・・・・・まぁ、魔法の好き嫌いは人の自由か。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「まさかこんなに早く5個全部見つけられるなんて・・・・やっぱり魔人の力はパネェっす!」


 開始して30分も経たずにクエストのツチタケノコ全て見つけ出すラスイ。


 討伐ではなく採集クエストだったが、今回はテクルもツチタケノコを掘り起こす役として大活躍した。


 そして何よりシクスの〈クラック・ブランク〉は本当に便利だ、仲間入りしてくれて良かった。

 俺が3人を見てそう思っていると。


 「クロイさん、1つだけ聞いてもいいっすか?」


 シクスが話しかけてきた。


 「なんだ?」


 さっき中断された話の続きか?


 「クロイさん何もしてないけど、いいんすか?」


 ・・・・・俺は全力で目を逸らした。

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