くじは名を決める
【凄い人達(−1)】 【ラテクシ】 【居場所】 【凸凹道】
前から順にラスイ、テクル、シクス、俺。
それぞれが考えたパーティ名のアイデア達である。
パーティ名決定会議がなかなか上手く進まなかったので、取り敢えず全員で一つ一つ自分で考案した名前を出す事にしたのだ。
「なぁ、ラスイ」
「はい」
「お前の出した【凄い人達(−1)】の(−1)って何?」
「凄い人達は当然、テクルちゃん、クロイさん、シクスさんを表しています。 そしてその決して“凄い人”などではない私を表しているのがこの(−1)なんです」
「ほうほう」
言いたい事は色々ある。
パーティの看板とも言える名前にマイナス要素入れるのはどうなん?とか、(−1)を抜きにしても【凄い人達】ってネーミングはダサくない?とか・・・・
でも自由な意見を出し合ってる中で全面否定するのは流石にどうかと思うワケ。
それにラスイは論理的思考はしっかりと出来る、危ない時はしっかりと状況報告とかしてるし。
けど、それにノイズのように“己への卑下”が入るせいで第三者からすると人格面に破綻が生じてるように見えるのだ。
このネーミングだってラスイ自身も後から冷静になればパーティ名という表看板にこの名前は不適切と多分気付ける。
今この場で【凄い人達(−1)】という名前を出したのはいきなり自分の意見を求められた結果、普段の自己否定と他者肯定がそのまま正面から出力されてこのような形になったのだろう。
少なくともラスイは単純に思ったモノを形にしたってだけであり、そこを責めはしない。
本人の精神的によろしくないからいつかその謙遜癖を直してほしいけど。
「おい、テクル」
「なんだ」
「お前の【ラテクシ】って何だ?」
「ラスイ、テクル、クロイ、シクス。 私達の頭文字を並べただけだ」
「安直だなぁ!」
「安直で悪いかぁ!?」
しまった、遠慮なしで言ってしまった。
ラスイには配慮出来ていたハズなのに・・・・テクルが正面から殴り合うようなストレートな性格だからだろうか、こっちもど直球になってしまう。
まぁテクルは基本考えなしだからな、ネーミングセンスも単純なモノになるか。
「今お前失礼な事考えてないか?」
「いや全然・・・・シクス、お前の【居場所】は?」
「読んで字の如く、居場所っす。 ここにいて安心できる、帰るべき場所・・・・僕はこのパーティをこう捉えてるっす。 あ、勿論僕の勝手な認識であって決して価値観を押し付けてるワケじゃないっすよ!? ただこのパーティの名前を考えろと言われたら自然に浮かび上がってきて・・・・」
重いよ!!
「クロイの【凸凹道】はなんなんだ?」
お、よくぞ聞いてくれた
「支援の俺、膂力のテクル、探知のラスイ、収納のシクス。 それぞれの得意や性格が一つも被っていない、だからこそ互いの不備を埋め合える個性の例えだ。 そしてこの短期間で起きた様々なアクシデントを乗り越えたという実績も合わせて凸凹道と呼べるだろう?」
「なんか気取ってる感じだな」
なんだと!
結構本気で考えてんだぞ!
「それで、どうやって決めるんすか? この四つの中から投票か、くじとかで? それともコレを踏まえた上でまた新しく話し合うんすか?」
ふむ、そうだな。
投票は自分を表に出さないラスイとシクスに不向きか?
かといってまた話し合ってもいいアイデアが思い浮かびそうにない・・・・それぞれの意見が全部別方向で妥協案とかなさそうだし。
「よし、平等にくじでいこう」
公平かつ公正に、コレでいこうか。
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結果、【ラテクシ】に決まった。
いや実際、くじから出たのは俺の【凸凹道】だったんだ。
けど申請する際にギルド受付が申し訳なさそうに『この名称は他のパーティに既に使われています』と言われた。
どうやら名称が被ると色々面倒になるらしい、受付さんが『【凸凹道4】なら可能ですが、どうでしょうか?』と聞かれたが何とも言えない気持ちになったので再度くじを引いて【ラテクシ】に決めた。
俺はテクルが煽るように言った『お前と同じ名前考えてるやつ三人もいるじゃん! お前の方が私より安直なんじゃねぇかぁ?』という言葉を忘れない、いつか絶対煽り返す。




