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「はあ〜あ」


 教室の窓からグラウンドを眺めて、あたしは長いため息を吐いた。


 何やってんだろ、あたし。せっかく修司さんが送ってくれるって言ったのに、嘘ついて断っちゃった。

 なんだか、マリアさんと修司さんが一緒にいるのをあれ以上見たくなくて……


「美男美女で優秀なサイキック……お似合いだよなぁ」


 おまけにマリアさん、すごくいい人そうだったし。


「あたしじゃあ、相手にもならない……はぁ」

「あら?まだ残っていたの?」


 ため息を連発しているところに声をかけられて、あたしは慌てて振り向いた。箱を抱えた米田先生が呆れ顔で教室に入ってきた。


「早く帰りなさい」

「は〜い……先生、その箱ってマコトくんですか?」

「ええ。本当は今日中に家に帰すつもりだったのだけれど、会議が入ってしまって無理なのよ。だから、明日までここに置いておこうと思って」


 米田先生が教室の後ろの空きロッカーに箱をしまおうとする。


「あ、あの、じゃああたしがマコトくんを家に帰してきます!」


 思わずそう言っていた。


「ほら、マコトくんもずっと箱の中だとかわいそうだし、近所の子供達が心配するし……」

「でも、あなた一人でだいじょうぶなの?」

「だいじょうぶです!家に行って箱の蓋を開けるだけだし……」


 あたしの「怖がり」を知っている米田先生は心配そうな目で見てくる。

 あたしも本心では一人で行くのは不安なんだけれど、でも、あたしは結局追試でも何もできていないのだ。これくらい、怖がっていたら本当に何の役にも立たない。


「用事があるんじゃなかったの?」

「あっ、えーと、もう片づきました!」


 必死に誤魔化すと、米田先生はあたしを見てちょっと眉を寄せた。


「でも、青瀬くんがいなくても、だいじょうぶなの?」


 その言葉にぎくりとした。やっぱり、先生にはわかっているよね。あたしは追試ではずっと涼に助けられているんだってこと。

 でも、いつまでもそれじゃあだめなんだ。


「平気です!」


 あたしはムキになって言い放った。




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