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「さて、もう少ししたら湯浴みをしてお休みになってくださいね。私は準備をしてきますので」
「あー。わかった」
リサが退室したので戻ってくるまでは技能の検索をする。
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【技能/樹魔法の取得方法】
・樹魔法の取得条件。
・水魔法、土魔法の熟練度一定以上。必要熟練度は天職によって異なる。
・水と土の合成魔法の習得。
・水魔法、土魔法を技能として取得可能な者。
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ん?熟練度?調べたら出るかな?
あとは技能として二つの魔法が取得可能な者って取得可能な天職持ちのみってことか。
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【技能の熟練度】
・技能について理解を深め、練習・実践することにより熟練度は上昇する。
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うーん。わからない…。どれくらい練習して何ができたら上位魔法を覚えられるかとかは出ないのか…?
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【技能/魔法の熟練度について】
・熟練度が上がるほど、威力、干渉力、魔力効率、発動速度が上昇する。
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う、うーん…。
その後も書き方を変えて色々試した結果、条件をより詳しく書けばいいらしいとわかった。
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【技能/魔法の熟練度。熟練度の目安や段階について。また熟練度による使用可能な魔法の種類。熟練度確認方法について】
・熟練度が上がるほど、威力、干渉力、魔力効率、発動速度が上昇する。
・魔法は基本熟練度によって十段階に分かれる。一部魔法は段階がなく、習熟によって使えるものが増える。
・一段階/放出魔法
・二段階/形状変化魔法
・三段階/性質変化魔法
・四段階/並列魔法
・五段階/付与魔法
・六段階/合成魔法
・七段階/中範囲魔法
・八段階/状態維持魔法
・九段階/広範囲魔法
・十段階/表示不可
・技能/魔法の熟練度確認方法は使える魔法で測ることが可能。
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んん? 十段階もあるんだ? なら父上は最低でも六段階以上か…凄いな。貴族の父上がそれだけ使えるなら冒険者はもっと使えなきゃいけないってことだよね?
冒険者なら九段階の広範囲くらいは使えないといけないよな。
十段階目の表示不可ってのはよくわからないけど…。
というか魔法について書いてたか…。水魔法の使える魔法を知りたかったんだけど…。書きなおそう。
「アド。集中しているとこすみませんが湯浴みの支度ができましたよ」
「うわっ!?ちょっ!?」
「なんですか?」
なんですかじゃないよ! なんで顔がくっつくくらい近くに来てるの!?
あ…辞典を覗き込んでたんだ…。リサは俺が驚いたことに質問しつつも視線は辞典に向かっていた。
心臓がバクバクしている…。
「さすがは辞典。色々な事が調べられるのですね」
「う、うん。家庭教師はあんまり技能とか魔法については教えてくれないからこれで勉強するよ」
「学園の受験には魔法や技能、天職などについての問題はありませんからね。一般常識程度しか教わりませんよ」
「あ、そうなんだね…」
「ええ。それにこの辞典は…いえ。この広範囲魔法にはどんな魔法があるか、なども調べられるのですか?」
え? この辞典はなに? 気になるんだけど。
「…それを今やろうとしてたんだ」
「そうですか…。雷の魔法について書いてもらっても良いですか?」
「ん?ああ、好きに書いて調べて良いよ」
「アド。天技は個人のものです。アドが書いた物を私が読むことは出来ますが書くことはできません。それにアドが読ませたくないと思えばこの辞典は消えてしまいます」
「そうなの?」
「ええ。誰もが好き勝手出来たら辞典持ちは辞典だけ取られて用済み扱いになってしまうでしょうしね」
確かに…辞典だけ奪っちゃえば人件費もかからないから。もしそうなら辞典を顕現するだけで用済みとして仕事をもらえないとかもあり得るのか…。
「そうじゃなくて良かったよ」
「ええ。まあアドの場合天技は二つありますし、さらに天技/冒険者に付随する技能がたくさんありますからね。辞典を失った程度じゃ痛くも痒くもないでしょうけと」
「それでもせっかく授かったものだもん。調べてて飽きないし。まだ何種類も辞典があるから当分は辞典だけで暇を潰せそうだよ」
「…明日から家庭教師も剣や魔法の稽古も始まりますので暇な時間はあまりないと思いますが」
「あ…そうだった…。寝る前に少し見るくらいしか出来ないかな…」
ショックだ…。魔物辞典とか凄く見たかったのに…。
「湯浴み…といきたいところですが、先に雷魔法について調べてもらうことは出来ますか?アドが湯浴みをしたら私もやる事がたくさんありますので」
「あ、うん。それくらいいいよ。待ってね」
【技能/雷魔法の熟練度別魔法】これで出るかな?
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【技能/雷魔法の熟練度別魔法】
・1段階/雷球、雷撃、雷弾
・2段階/ 雷壁、雷刃、雷槍、雷剣、雷矢
・3段階/変質—固定
・4段階/数字+雷魔法名
・5段階/雷属性付与、雷纏
・6段階/雷属性合成
・7段階/空雷渦雷
・8段階/雷陣、機雷、雷檻
・9段階/雷龍
・10段階/表示不可
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「おお…出た」
リサは食い入るように見ている。
そっとしておこう。一人で湯浴みに向かったら後でリサに怒られそうだからベッドに座り待つ。
数分ほど達とハッと顔を上げたリサは僕と視線がぶつかると軽く咳をして頭を下げてきた。
「申し訳ありません。知らない魔法があったのでボーっとしてました」
「別にそんな時間経ってないし気にしないで」
「ありがとうございます。こちらお返しします。それでは湯浴みにいきましょう」
「わかった」
渡された技能辞典を消し、湯浴みに向かう。




