行方不明になった人たちの行き先
私はフリーのジャーナリスト、西の大国の少数民族が次々と当局に拘束されそのまま行方不明になっている話しを聞きつけ、スクープを物にしようと西の大国に入国したらあっさりと秘密警察に捕まった。
話しを聞きつけたのは私だけではなかったようで、あっさり捕まったのはそれが理由。
「マッタク、西側のジャーナリストはゴキブリと同じだな、1匹見つけたらその周囲に数十匹いるのだから。
まあ好い。
ちょうど荷が入ったところだ、お前達が知りたがった所まで案内してやろう」
秘密警察の幹部はそう言い、私達拘束されたジャーナリストは地下鉄の駅から重武装した兵士が警戒している電車に乗せられる。
電車は地下深くに潜って行き、最後に厳重に警護された五重の門を潜り抜け終点の駅と思われる広い空間に出た。
私達が乗せられていた客車とは違う車両から沢山のウイクル人やチヘット人と思われる男女が降ろされ、ホームの先のトンネルの中に追い込まれて行く。
ホームの先にはトンネルが2ツあり上りと下りなのだろうか線路が中に続いていた。
電車が止まっているホーム以外のホームや線路上には、大口径の大砲や戦車が置かれトンネルの奥に照準を合わせている。
少数民族の人たちが追い込まれているトンネルとは反対側のトンネルから、岩を山盛りに積んだ貨車が出てきた。
!?
貨車を押し出して来たのは人間じゃ無い。
ファンタジー小説や漫画に出てくるオークやゴブリンらしい生き物。
「あれがお前達が知りたがっていた事だ。
あのトンネルの先は異世界に通じている。
異世界の国の1ツを統治している魔王と契約し、レアメタルや地球上には存在しないヒヒイロカネやアダマンタイトなどを輸出して貰っている。
その代金は送り込まれている奴等だ。
男は鉱山で働かされ、女はあの化け物共の慰み者になり、子供は食料にされるらしい。
我が国には独立を企む少数民族や政府に楯突くボンゴンの市民や学生など、必要無い奴等が沢山いる。
1億2億の人間がいなくなっても我が国はまったく困らない。
寧ろ人の数が少なくなって喜ばしい事だ。
さ、お前達が知りたがっていた事を教えてやったんだ。
サッサとあの列の後ろに続け!」
私達ジャーナリストは兵士達に列の最後尾に追いたてられた。