四人一緒に
「ハイ、どーんどん。ハイ、じゃんじゃーん」
廃棄本を靴箱に少し入れては閉めて送り込む。下里のわんこそば的掛け声は無視して作業を進めていく。
「本当にコレで解決するのか」
「多分、もしかしたら足りないかもしれないけどね」
「足りないと言う事は必要なのは量というわけですか」
「その通り……えと」
「森当です」
「そう、森当君」
何冊入れただろうか。そろそろ廃棄本も無くなると言う頃、変化が起きた。
「……あれ」
閉めた筈なのに入れた本が残っている。
「出口が開かれたようだね」
「ほんとだ、フツーの靴箱になっちゃった」
「戻ったのですよ。本当によかった」
*
「で、コレはどういう理屈なんだ?」
再度部室に戻り俺たちはひとねに視線を向けた。
「簡単な事だよ。出口の許容量を超えた、ただそれだけだ」
「きょよーりょー?」
「密閉された出口側の箱には突如送った物が出現する。それは出口側に溜まり続ける。どんなに大きくて丈夫な物だとしても空間いっぱいの所に追加されれば……」
「箱が壊れる、ですね」
「まあ大体は先に扉が壊れるだろうけどね、ともかく扉は開かれる」
「なるほど」
確かにその通りだ。待つ必要もなく早い、ひとね好みの解決法である。
「……あの廃棄本はどうするんだよ」
「それこそ君の案と同じさ、誰かが見つけてくれる。判子が押してあるから図書室の物だとわかるしね、それもあってあの廃棄本を選んだ」
恐らくそれを取りに行くのは俺、俺からすれば仕事が増えたような物だがひとねは動かずにすむ……なんか騙された気分だ。
「もし図書室の物だと気付かれなくても落とし物に送られるだろう? そうすれば……」
ひとねの声を放送音が上書きした。
『図書部、図書部。学校に残っていましたら生徒会室までお越しください。繰り返します……』
「廃棄に許可を出している生徒会は私たちを呼び出す、というわけだ。私は行かないけどね」
「怒られるんじゃねぇか?」
「かいちょーさんは怪奇現象を知っていますし、話せばわかってくれると思いますよ」
俺と下里が立ち上がる。ひとねは動かず、森当くんは……
「僕も……行きます?」
そういえば彼は図書部メンバーだった。しかも実質最古参。
「あー、そだとりあえず図書部の現状について説明しないとだな」
現在図書部は実質的に怪奇探偵事務所と化している。森当くんが拒否するのなら潔く取りやめようと思っていたのだが……
「いいですね、面白そうです!」
あっさりと承諾された。
森当くんはホワイトボードの前に立つ。
「あらためまして、森当仁英です。よろしくお願いします」
「ああ、よろしく」
そろそろ生徒会に行かねば、ひとねを除いた三人で生徒会長に弁明せねばならぬ。
森当くんは机から自身の鞄を取る。そのまま部室の出入り口を開ける。
「では、僕は明日から正式参戦という事で」
「……いい性格してるな、君」




