探偵は一人じゃなくてもよい
「と、いう訳でひとねちゃん……探偵が消えてしまいました」
下里が苦笑いで続ける。
「どうします? 後日にします?」
「出来ればどんな怪奇現象なのかだけでも知っておきたいです、土戸先輩もさっきの検索出来るんですよね」
「ああ、まあ知っておくと変わらなくても安心だよな」
検索欄にひとねと同じ文を打ち、ひとつだけの項目をタッチする。
『物隠し』
・同じ建物内にある二つの箱(ロッカーなど全方位が囲まれて、開けれる物)が繋がってしまう現象。
二つの箱は入口側と出口側となり入口の扉を閉めると中の物は出口の中へと移動する。
出口側が解放状態になると怪奇現象は消滅する。
・同じ建物は敷地も含む
・入口と出口が逆転する現象は確認されていない
なるほど条件とは一致している。だが……
「確定は出来ないな」
「そうなんです? 他に候補がないなら確定では?」
「認識が違う可能性がある。例えば物がその場から消えたのでは無く、見えなくなっただけかもしれない」
「ひとねちゃんみたいな事言いますね。でもその通りです」
「確定するには直接見る必要がある。行ってみようじゃないか」
「おや、モノマネですね」
ひとねならば今の台詞に「面倒だが」と入っていただろう。俺は当の本人がいる前でそんな事は言えないけど。
*
「これです」
案内されたのはもちろん本校舎入口の靴箱。全校生徒の靴箱が並ぶためぎゅうぎゅうであり、向かい合わせの靴箱を同時に開くのは……出来ないこともないが大抵は譲り合う。
「その説明の通りです。ここに物を……このいらないプリントを入れますね」
「ちょっとまった! 確認するね」
森当くんからプリントを奪った下里が隅々までソレを触る。
「怪奇現象は靴箱のほうだろ、疑いすぎだ」
「……それもそうですね」
照れ笑いをしながら「どーぞ」と返されたプリントを森当くんは靴箱に入れる。
そのまま何もする事なく閉め……開く。
「こういう訳です」
「びっくりマジック! ホントに消えてます!」
「それを確認しに来たんだろ」
靴箱に手を入れる。手に触れる物は無し。
スマホのライトで中を照らしても不可解な影も無し。写真を撮っても変化なし。
「……矛盾なし、怪奇現象は『物隠し』で問題なさそうだな」
さて、当初の予定はここで終わり。ひとねを待つか、緊急性も無いし後日にするかだが……
「ねえ先輩? これ、わたしたちでも解決出来そうじゃないです?」
「ああ、そうかもな」
「ジエーくんは予定あり?」
「いえ、特にありません」
「じゃあひとねちゃんが来るまでに解決しちゃいましょー! 何処からいきましょうか?」
確かに今回の怪奇現象は出口側の扉を開けば終わり。人海戦術なども考えられるが……
「まずは推理、可能性を消去していこう。とりあえず部室に戻るぞ」




