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第1話 運命と信じたい ~そんな出逢いがあったっていいじゃない
―― 明日 君がいたら
うれしいな
またひとつ 君との思いでが増える
―― 私、いないかもよ
―― そしたら ぼくは
また ひとつ
君への想いが増えるだけさ
そいつは、そう言うとやけに爽やかに笑った。
―― 詩人ね
―― よく言われる
―― 変な人
―― 褒め言葉と受け取りましょう
そのまま、やけに真面目な顔をして、右手を胸に当て、うやうやしい程のお辞儀をする。
まるで、アニメに出てくる執事のように。
それがやたらキザったらしく、でもどこか似合っていて、それ以上にそんなのの目の前に私がいるのが可笑しくて
「あははっ」
私は思わず声に出して笑っていた。
「あはは」とそいつもつられて笑い出す。
いや、初めから笑っていたっけ?
風が吹く。
どこにでもある秋葉原の
どこにでもあるメイドリフレの
どこにでもいるチラシ配りが
どこかにいた あいつに出逢った・・・・・・
これは、そんな物語